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3章
157 寂寞
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お茶会は陽が沈むまで続いた。
生活の一部になっていたこのお茶会も今日が最後だ。
アリシアだけではなく、カナリーとノティスもお茶会が終わることを惜しんでいた。
最後にカナリーとノティスからジェーンへ餞別の品が贈られた。
姉弟で考えたらしく、カナリーからは鍵のついたノートでノティスからはノートとお揃いのペンだ。
厚みのあるノートは日記帳にもできる。
アルスタでの楽しい思い出を沢山書いて戻ってくると、ジェーンは2人と約束していた。
カナリーとノティスが退出すると、ジェーンはレイヴンと向き合った。
2人が愛人関係にあるという噂は嘘だが、レイヴンはジェーンを学生時代からの友人だと思っている。
ジェーンはレイヴンから与えられたチャンスのおかげで身分に相応しいだけの作法を身につけることができた。
改めて頭を下げるジェーンに、レイヴンは「使節団員として活躍するジェーン嬢の報告を楽しみに待っているよ」と笑っていた。
アリシアとはほとんど言葉を交わさなかった。
ただ長い時間抱き合っていた。
抱擁をといた後、見つめ合って微笑みを交わす。
「おめでとう。幸せになってね」と言うジェーンに、アリシアは泣きそうになりながら頷いた。
レオナルドに促されてジェーンが退出していく。
離宮の部屋までレオナルドが送り届けてくれるのだろう。
2人きりになった部屋は静かで、お茶会が楽しかっただけに淋しく感じられた。
レイヴンはアリシアをそっと抱き寄せる。
アリシアの腰へ手をまわしたまま向かいの部屋へ戻ると、楽しかった夢の世界が終わって現実の世界へ戻ったような気がした。
アリシアはしゅんとしていて淋しそうだ。
「絵本を読もうか」
レイヴンがそう言うと、アリシアは「はい」と言って笑顔を見せた。
エレノアが『花の王国』の絵本をレイヴンへ手渡すと、アリシアがレイヴンに凭れるようにしてソファへ座る。
レイヴンに読んでもらわなくてもアリシアはもう自分で読むことができる。
だけど子どもの頃、自分で読めるようになってからもレオナルドに甘えたい時はレオナルドに読んでもらっていた。
レイヴンに読んでもらうのもアリシアが甘えたいからだ。
レイヴンは嬉しそうに笑みを浮かべながら優しい声で絵本を読んでいく。
お茶会で子どもの頃の話を聞いていたレイヴンは羨ましそうだった。
レイヴンもまたアリシアたちとは違う育ち方をしている。
王妃所生の第一王子であるレイヴンは、6歳で立太子して王太子宮へと移された。
それと同時に厳しい王太子教育が始まったので妹たちと走り回って遊んだことなどあるのだろうか。
食事の後、応接間でひと時を一緒に過ごすことは出来ても、1人だけ王太子宮へ戻らなくてはならない。母と同じ殿舎で暮らせる妹たちを羨ましく思ったこともあるはずだ。
通常なら親身になって世話をしてくれるはずの乳母は、レイヴンが王太子宮へ移って1年程で病で亡くなっていた。
レイヴンが幼い頃に立太子して王太子宮へ移されたことも、移ってすぐに乳母を亡くしたことも、アリシアは随分前から知っていた。
だけどレイヴンの淋しさに思い至ったのはつい最近のことだ。
何故、そんなことにも気付けなかったのだろうか。
王太子宮で淋しい思いをしていた幼いレイヴンを思うと哀しくなる。
アリシアは公爵家で淋しい思いをしたことなど一度もなかった。
アリシアはレイヴンの腰へまわした手に力を込めてぎゅっと抱き着いた。
生活の一部になっていたこのお茶会も今日が最後だ。
アリシアだけではなく、カナリーとノティスもお茶会が終わることを惜しんでいた。
最後にカナリーとノティスからジェーンへ餞別の品が贈られた。
姉弟で考えたらしく、カナリーからは鍵のついたノートでノティスからはノートとお揃いのペンだ。
厚みのあるノートは日記帳にもできる。
アルスタでの楽しい思い出を沢山書いて戻ってくると、ジェーンは2人と約束していた。
カナリーとノティスが退出すると、ジェーンはレイヴンと向き合った。
2人が愛人関係にあるという噂は嘘だが、レイヴンはジェーンを学生時代からの友人だと思っている。
ジェーンはレイヴンから与えられたチャンスのおかげで身分に相応しいだけの作法を身につけることができた。
改めて頭を下げるジェーンに、レイヴンは「使節団員として活躍するジェーン嬢の報告を楽しみに待っているよ」と笑っていた。
アリシアとはほとんど言葉を交わさなかった。
ただ長い時間抱き合っていた。
抱擁をといた後、見つめ合って微笑みを交わす。
「おめでとう。幸せになってね」と言うジェーンに、アリシアは泣きそうになりながら頷いた。
レオナルドに促されてジェーンが退出していく。
離宮の部屋までレオナルドが送り届けてくれるのだろう。
2人きりになった部屋は静かで、お茶会が楽しかっただけに淋しく感じられた。
レイヴンはアリシアをそっと抱き寄せる。
アリシアの腰へ手をまわしたまま向かいの部屋へ戻ると、楽しかった夢の世界が終わって現実の世界へ戻ったような気がした。
アリシアはしゅんとしていて淋しそうだ。
「絵本を読もうか」
レイヴンがそう言うと、アリシアは「はい」と言って笑顔を見せた。
エレノアが『花の王国』の絵本をレイヴンへ手渡すと、アリシアがレイヴンに凭れるようにしてソファへ座る。
レイヴンに読んでもらわなくてもアリシアはもう自分で読むことができる。
だけど子どもの頃、自分で読めるようになってからもレオナルドに甘えたい時はレオナルドに読んでもらっていた。
レイヴンに読んでもらうのもアリシアが甘えたいからだ。
レイヴンは嬉しそうに笑みを浮かべながら優しい声で絵本を読んでいく。
お茶会で子どもの頃の話を聞いていたレイヴンは羨ましそうだった。
レイヴンもまたアリシアたちとは違う育ち方をしている。
王妃所生の第一王子であるレイヴンは、6歳で立太子して王太子宮へと移された。
それと同時に厳しい王太子教育が始まったので妹たちと走り回って遊んだことなどあるのだろうか。
食事の後、応接間でひと時を一緒に過ごすことは出来ても、1人だけ王太子宮へ戻らなくてはならない。母と同じ殿舎で暮らせる妹たちを羨ましく思ったこともあるはずだ。
通常なら親身になって世話をしてくれるはずの乳母は、レイヴンが王太子宮へ移って1年程で病で亡くなっていた。
レイヴンが幼い頃に立太子して王太子宮へ移されたことも、移ってすぐに乳母を亡くしたことも、アリシアは随分前から知っていた。
だけどレイヴンの淋しさに思い至ったのはつい最近のことだ。
何故、そんなことにも気付けなかったのだろうか。
王太子宮で淋しい思いをしていた幼いレイヴンを思うと哀しくなる。
アリシアは公爵家で淋しい思いをしたことなど一度もなかった。
アリシアはレイヴンの腰へまわした手に力を込めてぎゅっと抱き着いた。
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