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番外編・処罰の後
27 処罰の後(16-②)
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あの日以来ミシェルは口をきいてくれない。
楽し気な話声が聞こえていても、ジョッシュが入っていくとそれがピタッと止まってしまう。
そんな中では両親や兄と話していてもお互いに気まずいばかりで、ぎこちなく必要なことだけを言い交すようになった。
そうなると使用人の態度も変わってくる。
使用人の中にはもう伯爵家は終わりだと退職を願い出る者たちもいた。残った者たちも伯爵家の衰退を招いたと、ジョッシュに蔑みの目を向ける。
日々よそよそしくなっていく使用人たちに、ジョッシュは声を掛けることができなくなっていた。
そんな中で考える。
ジェーンはずっとこんな環境の中で暮らしていたのだ。
毎日が孤独で、淋しく、そして怖かっただろう。
そんなジェーンに、エミリーの嘘を真に受けたジョッシュは少しも寄り添おうとしなかった。
アリシアが言う通り、一度でも「エミリーの言うことは本当なのか」と訊いていたら、本当のことがわかったのに。
今更ながら、謝りたいと思う。
だけどもう、ジェーンと顔を合わせることはできない。
詫び状と招待状は一斉に発送された。
宛先が近いものから順に返事が返ってくる。予想していた通り、戻ってくる返事のすべてが欠席だった。
学生時代からの友人も、可愛がってくれていた親戚も、誰も来てくれない。
アリシアが言っていたことをまた思い出す。
『王太子妃を敵に回してまであなたたちと付き合いたいと思う貴族がどれ程いるかしら?』
それがこういうことなのだ。
カルヴィエ伯爵家は王家を敵にまわした。
今後は厳しい状況が続くだろう。
数日経って次兄が邸を訪れた。
次兄は独立して商会を営んでいる。経営も軌道に乗り、もう少しで立ち上げから一緒に働いている女性と結婚する予定だ。
「結婚を延期する…?」
次兄の言葉に耳を疑った。
2人は政略結婚ではなく、互いに想い合って決まった結婚だ。何年も前から婚約を結び、商会の経営が軌道に乗って経済的な不安が解消すれば結婚すると聞いていた。
ジョッシュだけではなく、両親もローガンも驚いている。
「ああ、まだ早いだろうと2人で話し合ったんだ。結婚はもう少し経営が安定してからで良い」
「そうか…。わたしたちも引退することにした。妃殿下に謝罪の文を送っているが、返事は頂けていない」
「っ!!」
それで理解した。
次兄の商会は貴族へ向けた商品を多く扱っている。だけど伯爵家が王家の不興を買ったので、顧客だった貴族が兄の商会から買うのを止めたのだ。顧客がいなくなれば一気に経営は傾いてしまう。
ジョッシュの軽率な行いが伯爵家だけではなく、家を出た兄の生活にも悪い影響を与えている。
「…申し訳ありません」
「…おまえのしていたことを、兄上から聞いたよ。義姉上が嫌悪感を持つもの当然の、とんでもないことだ。妃殿下の怒りが解けるまでには相当な時間が掛かるだろう。だけど、おまえの行いに少しも注意を払っていなかった俺たち家族にも問題はあった」
その言葉にローガンも頷いた。
既に家を出ていた次兄とは違ってローガンは一緒に暮らしている。
ジョッシュの行動にもっと気を配っていたら、社交界で流れる噂にも、伯爵家の使用人たちが結婚式の準備を何もしていないことにも気がついたはずだ。
いや、もっと初めから、婚約者への態度も領主としての勉強をしていないことも、もっと強く咎めなければいけなかった。
「妃殿下からもそういった話があったと聞いた。妃殿下が仰ったのは最もなことだ。だからわたしたちは話し合った」
そこでジョッシュは結婚後、兄の商会で働くことを勧められた。
ジョッシュがいたらもっと経営が難しくなる。
ジョッシュはそう言ったけれど、家を出たあとどうやって暮らしていくのか全く当てがない。
結局ジョッシュはその提案を有難く受け入れた、
楽し気な話声が聞こえていても、ジョッシュが入っていくとそれがピタッと止まってしまう。
そんな中では両親や兄と話していてもお互いに気まずいばかりで、ぎこちなく必要なことだけを言い交すようになった。
そうなると使用人の態度も変わってくる。
使用人の中にはもう伯爵家は終わりだと退職を願い出る者たちもいた。残った者たちも伯爵家の衰退を招いたと、ジョッシュに蔑みの目を向ける。
日々よそよそしくなっていく使用人たちに、ジョッシュは声を掛けることができなくなっていた。
そんな中で考える。
ジェーンはずっとこんな環境の中で暮らしていたのだ。
毎日が孤独で、淋しく、そして怖かっただろう。
そんなジェーンに、エミリーの嘘を真に受けたジョッシュは少しも寄り添おうとしなかった。
アリシアが言う通り、一度でも「エミリーの言うことは本当なのか」と訊いていたら、本当のことがわかったのに。
今更ながら、謝りたいと思う。
だけどもう、ジェーンと顔を合わせることはできない。
詫び状と招待状は一斉に発送された。
宛先が近いものから順に返事が返ってくる。予想していた通り、戻ってくる返事のすべてが欠席だった。
学生時代からの友人も、可愛がってくれていた親戚も、誰も来てくれない。
アリシアが言っていたことをまた思い出す。
『王太子妃を敵に回してまであなたたちと付き合いたいと思う貴族がどれ程いるかしら?』
それがこういうことなのだ。
カルヴィエ伯爵家は王家を敵にまわした。
今後は厳しい状況が続くだろう。
数日経って次兄が邸を訪れた。
次兄は独立して商会を営んでいる。経営も軌道に乗り、もう少しで立ち上げから一緒に働いている女性と結婚する予定だ。
「結婚を延期する…?」
次兄の言葉に耳を疑った。
2人は政略結婚ではなく、互いに想い合って決まった結婚だ。何年も前から婚約を結び、商会の経営が軌道に乗って経済的な不安が解消すれば結婚すると聞いていた。
ジョッシュだけではなく、両親もローガンも驚いている。
「ああ、まだ早いだろうと2人で話し合ったんだ。結婚はもう少し経営が安定してからで良い」
「そうか…。わたしたちも引退することにした。妃殿下に謝罪の文を送っているが、返事は頂けていない」
「っ!!」
それで理解した。
次兄の商会は貴族へ向けた商品を多く扱っている。だけど伯爵家が王家の不興を買ったので、顧客だった貴族が兄の商会から買うのを止めたのだ。顧客がいなくなれば一気に経営は傾いてしまう。
ジョッシュの軽率な行いが伯爵家だけではなく、家を出た兄の生活にも悪い影響を与えている。
「…申し訳ありません」
「…おまえのしていたことを、兄上から聞いたよ。義姉上が嫌悪感を持つもの当然の、とんでもないことだ。妃殿下の怒りが解けるまでには相当な時間が掛かるだろう。だけど、おまえの行いに少しも注意を払っていなかった俺たち家族にも問題はあった」
その言葉にローガンも頷いた。
既に家を出ていた次兄とは違ってローガンは一緒に暮らしている。
ジョッシュの行動にもっと気を配っていたら、社交界で流れる噂にも、伯爵家の使用人たちが結婚式の準備を何もしていないことにも気がついたはずだ。
いや、もっと初めから、婚約者への態度も領主としての勉強をしていないことも、もっと強く咎めなければいけなかった。
「妃殿下からもそういった話があったと聞いた。妃殿下が仰ったのは最もなことだ。だからわたしたちは話し合った」
そこでジョッシュは結婚後、兄の商会で働くことを勧められた。
ジョッシュがいたらもっと経営が難しくなる。
ジョッシュはそう言ったけれど、家を出たあとどうやって暮らしていくのか全く当てがない。
結局ジョッシュはその提案を有難く受け入れた、
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