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第2部 4章
幕間 ~レイヴンの部屋へ行ってみよう!~
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「僕の部屋に来てくれる?」
アリシアが落ち着くのを待ってレイヴンが囁くと、アリシアが頷いた。
そっと膝から降ろして、レイヴンも立ち上がる。そのまま手を引くようにしてレイヴンの部屋へ向かった。
扉の前まで来ると2人はごくりと唾を飲み込んだ。
もし通りかかる侍女がいても避けて通るくらい張り詰めた空気が流れている。
この緊張がどちらのものなのかわからない。
それくらい2人は緊張していた。
レイヴンが扉を開く。
アリシアはここへ来るまでの間に、「お兄様の部屋へ入るようなものよ」と自分に言い聞かせていた。
それでもこんなに緊張してしまうのは、やはりレイヴンの部屋だからだ。肉親ではない異性の部屋へ入るのはアリシアにとって初めての経験だった。
「まぁ…」
部屋へ入ったアリシアはさり気なく辺りを見渡した。
そこは特別なことなど何もない、至ってシンプルな部屋だ。
壁はアリシアの部屋と同じ様に白く塗られているし、使われている調度品も同じメーカーの同じ品である。
使い勝手を考慮してアリシアの部屋とは少し配置が違っているけれど、まるで昔アリシアとジェーンが持っていた揃いのドールハウスの様だった。
「あの…どうかな?」
レイヴンが不安げな声で問い掛けた。
同じ調度品を使っているのは、レイヴンがそれを望んだからだ。婚姻前にアリシアが使う調度品を揃えた時に、自分が使う調度品も入れ替えたのである。
「私の部屋と感じが似ているのですね」
アリシアの言葉にレイヴンの体がビクリと跳ねた。
同じものを使いたくて、調度品を入れ替えたことをアリシアは知らない。
同じものを使っていると知られたら嫌がられるかもしれない。そう思っていたけれど、アリシアは思ったことを口にしただけで嫌がっている様子はなかった。
「もっと部屋の中を見てもよろしいですか?」
アリシアに訊かれて、レイヴンは嬉しそうに頷いた。
アリシアはチェストの上に飾られた小物や壁に掛けられた絵をじっくり見ていく。
部屋へ来たのはレイヴンの好みを知る為なのだ。
レイヴンはアリシアが興味を示したものをひとつずつ説明してくれる。
机の傍にある本棚には農業や、鉱業、林業などの、いわゆる学術書が並んでいる。別の一角には剣術の手引書や兵法書が並んでいて、そこは最近新しい本が増えたようだ。
ここには贈り物になる様なものはない。
ある一角には剣や防具が置かれていた。レイヴンも当然幼い頃から剣術の指南を受けている。
アリシアは見たことがないけれど、学園の剣術の授業では見学に来る女生徒もいたようだ。他に乗馬も得意だったはずである。
贈り物は乗馬の鞭やブーツでも良いかもしれない。
アリシアはそう心に留めた。
応接セットの近くに別の本棚があった。
こちらは先程の本棚とは違って娯楽の本が並んでいる。
上段には歴史物の小説が沢山並んでいた。
そのいくつかはレオナルドも持っていて、アリシアも読んだことがある。アナトリアの歴史を元にした小説で、史実がかなり詳しく調べられていて、歴史の勉強にも役立つ小説だった。
中断には歌劇に関する本が沢山並んでいた。
有名どころの戯曲から知名度は低いが名作の戯曲まで揃っている。他に出演女優や劇団に関する本もあった。
「レイヴン様は歌劇がお好きなのですね」
アリシアがそう言うと、レイヴンは少し気まずそうな顔になる。
「アリシアが歌劇を好きだと聞いたから…」
だから話を合わせられるように歌劇の勉強をしたのだという。
そう言われて見てみると、並んでいるのはすべてアリシアが好きな戯曲であり、アリシアが好きな女優や劇団の本である。
「レイヴン様自身はあまりお好きではないのですか?」
「そんなことないよ!!」
アリシアが顔を曇らせるとレイヴンは慌てて否定する。
戯曲を読む内に好きな話もできたし、元から注目している俳優もいたと言う。
それからしばらく2人は戯曲や俳優の話で盛り上がった。
レイヴンの蔵書はしっかり役に立ったのだ。
アリシアが落ち着くのを待ってレイヴンが囁くと、アリシアが頷いた。
そっと膝から降ろして、レイヴンも立ち上がる。そのまま手を引くようにしてレイヴンの部屋へ向かった。
扉の前まで来ると2人はごくりと唾を飲み込んだ。
もし通りかかる侍女がいても避けて通るくらい張り詰めた空気が流れている。
この緊張がどちらのものなのかわからない。
それくらい2人は緊張していた。
レイヴンが扉を開く。
アリシアはここへ来るまでの間に、「お兄様の部屋へ入るようなものよ」と自分に言い聞かせていた。
それでもこんなに緊張してしまうのは、やはりレイヴンの部屋だからだ。肉親ではない異性の部屋へ入るのはアリシアにとって初めての経験だった。
「まぁ…」
部屋へ入ったアリシアはさり気なく辺りを見渡した。
そこは特別なことなど何もない、至ってシンプルな部屋だ。
壁はアリシアの部屋と同じ様に白く塗られているし、使われている調度品も同じメーカーの同じ品である。
使い勝手を考慮してアリシアの部屋とは少し配置が違っているけれど、まるで昔アリシアとジェーンが持っていた揃いのドールハウスの様だった。
「あの…どうかな?」
レイヴンが不安げな声で問い掛けた。
同じ調度品を使っているのは、レイヴンがそれを望んだからだ。婚姻前にアリシアが使う調度品を揃えた時に、自分が使う調度品も入れ替えたのである。
「私の部屋と感じが似ているのですね」
アリシアの言葉にレイヴンの体がビクリと跳ねた。
同じものを使いたくて、調度品を入れ替えたことをアリシアは知らない。
同じものを使っていると知られたら嫌がられるかもしれない。そう思っていたけれど、アリシアは思ったことを口にしただけで嫌がっている様子はなかった。
「もっと部屋の中を見てもよろしいですか?」
アリシアに訊かれて、レイヴンは嬉しそうに頷いた。
アリシアはチェストの上に飾られた小物や壁に掛けられた絵をじっくり見ていく。
部屋へ来たのはレイヴンの好みを知る為なのだ。
レイヴンはアリシアが興味を示したものをひとつずつ説明してくれる。
机の傍にある本棚には農業や、鉱業、林業などの、いわゆる学術書が並んでいる。別の一角には剣術の手引書や兵法書が並んでいて、そこは最近新しい本が増えたようだ。
ここには贈り物になる様なものはない。
ある一角には剣や防具が置かれていた。レイヴンも当然幼い頃から剣術の指南を受けている。
アリシアは見たことがないけれど、学園の剣術の授業では見学に来る女生徒もいたようだ。他に乗馬も得意だったはずである。
贈り物は乗馬の鞭やブーツでも良いかもしれない。
アリシアはそう心に留めた。
応接セットの近くに別の本棚があった。
こちらは先程の本棚とは違って娯楽の本が並んでいる。
上段には歴史物の小説が沢山並んでいた。
そのいくつかはレオナルドも持っていて、アリシアも読んだことがある。アナトリアの歴史を元にした小説で、史実がかなり詳しく調べられていて、歴史の勉強にも役立つ小説だった。
中断には歌劇に関する本が沢山並んでいた。
有名どころの戯曲から知名度は低いが名作の戯曲まで揃っている。他に出演女優や劇団に関する本もあった。
「レイヴン様は歌劇がお好きなのですね」
アリシアがそう言うと、レイヴンは少し気まずそうな顔になる。
「アリシアが歌劇を好きだと聞いたから…」
だから話を合わせられるように歌劇の勉強をしたのだという。
そう言われて見てみると、並んでいるのはすべてアリシアが好きな戯曲であり、アリシアが好きな女優や劇団の本である。
「レイヴン様自身はあまりお好きではないのですか?」
「そんなことないよ!!」
アリシアが顔を曇らせるとレイヴンは慌てて否定する。
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それからしばらく2人は戯曲や俳優の話で盛り上がった。
レイヴンの蔵書はしっかり役に立ったのだ。
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