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第2部 4章
61 王立病院③
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話を終えたタイミングで診察室の扉が叩かれた。
ナイジェルが応えると院長の声がする。
この病院の院長は伯爵位を持つ貴族だ。アリシアは王都で開かれた舞踏会で何度か顔を合わせたことがあった。国王や王妃の信頼を得ているだけあり、誠実そうな人物である。
「まあ、レイヴン様?!」
扉が開かれると、アリシアは驚いて声を上げた。院長と共にレイヴンが立っているのだ。
そんなアリシアを見てレイヴンが頬を緩める。
「遅くなるって聞いたから、迎えに来たんだ」
「まあ……」
確かにアリシアは病院に着いた時点で知らせを出していた。
時間から考えると、アリシアからの伝言を持った騎士は王城ではなくレイヴンがいる庁舎へ向かったのだろう。
そして知らせを受けたレイヴンはすぐにこちらへ向かって来たに違いない。
「仕事は終わったのですか……?」
「もちろん。庁舎での仕事は終わったよ」
元から庁舎での仕事は2日で終わらせる予定だった。だからどれだけアリシアのことが気に掛かっていても、途中で投げ出してくるわけにはいかなかったのだ。
レイヴンは一刻も早くアリシアの元へ帰る為に、必死で仕事をしていた。そして丁度最後の書類を終えたところにアリシアからの伝言が来たのだ。
レイヴンは迷いなく病院まで迎えに行くと決めた。
暗くなっているのにアリシアを1人で帰らせるのは不安だったし、晩餐会でアリシアと話していたナイジェルに嫉妬する気持ちもあったからだ。
「アリシア、この後の予定は?」
立ち上がって挨拶をするナイジェルに応えながらレイヴンが訊く。
レイヴンが迎えに来たからといって、すぐに帰らなければならないわけではない。
「この後は病院の設備を見せて頂いて、入院している方の慰問もしたいと考えています」
「そうか、わかった。院長、僕も一緒で構わないかな?」
「それは勿論でございます。皆も喜ぶでしょう」
アリシアだけでなくレイヴンも一緒となると、大勢の護衛が一緒に病院内を歩くことになる。
それでも院長は、王太子夫妻が揃って慰問をしてくれたら入院患者たちが喜ぶと賛成してくれた。
それからレイヴンとアリシアは、院長の案内で病院内の設備を確認して歩いた。老朽化した機械の入れ替えなど、今年の予算で賄えなかったものは来年予算を組むことになる。
これもレイヴンが実物を確認していた方が稟議を通しやすいので院長は喜んでいた。
その後、2人で入院患者たちの病室を訪ねた。
2人が病院を訪れていることを知らなかった彼らは、皆一様に驚き、喜んでいる。
ナイジェルの言う通り、すれ違っただけでもこの病院の医師はアリシアに友好的な態度を見せてくれていた。そんな医師たちの気持ちが伝染しているのか、入院患者たちの中にもアリシアに猜疑的な視線を向けてくる者はなかった。
アリシアは1人1人のベッドサイドで言葉を交わす。
請われて片手を差し出すと、皴だらけの両手でアリシアの手を包んで涙を流す老婆もいた。
病院を出る時にはアリシアも暖かい気持ちになっていた。
ナイジェルが応えると院長の声がする。
この病院の院長は伯爵位を持つ貴族だ。アリシアは王都で開かれた舞踏会で何度か顔を合わせたことがあった。国王や王妃の信頼を得ているだけあり、誠実そうな人物である。
「まあ、レイヴン様?!」
扉が開かれると、アリシアは驚いて声を上げた。院長と共にレイヴンが立っているのだ。
そんなアリシアを見てレイヴンが頬を緩める。
「遅くなるって聞いたから、迎えに来たんだ」
「まあ……」
確かにアリシアは病院に着いた時点で知らせを出していた。
時間から考えると、アリシアからの伝言を持った騎士は王城ではなくレイヴンがいる庁舎へ向かったのだろう。
そして知らせを受けたレイヴンはすぐにこちらへ向かって来たに違いない。
「仕事は終わったのですか……?」
「もちろん。庁舎での仕事は終わったよ」
元から庁舎での仕事は2日で終わらせる予定だった。だからどれだけアリシアのことが気に掛かっていても、途中で投げ出してくるわけにはいかなかったのだ。
レイヴンは一刻も早くアリシアの元へ帰る為に、必死で仕事をしていた。そして丁度最後の書類を終えたところにアリシアからの伝言が来たのだ。
レイヴンは迷いなく病院まで迎えに行くと決めた。
暗くなっているのにアリシアを1人で帰らせるのは不安だったし、晩餐会でアリシアと話していたナイジェルに嫉妬する気持ちもあったからだ。
「アリシア、この後の予定は?」
立ち上がって挨拶をするナイジェルに応えながらレイヴンが訊く。
レイヴンが迎えに来たからといって、すぐに帰らなければならないわけではない。
「この後は病院の設備を見せて頂いて、入院している方の慰問もしたいと考えています」
「そうか、わかった。院長、僕も一緒で構わないかな?」
「それは勿論でございます。皆も喜ぶでしょう」
アリシアだけでなくレイヴンも一緒となると、大勢の護衛が一緒に病院内を歩くことになる。
それでも院長は、王太子夫妻が揃って慰問をしてくれたら入院患者たちが喜ぶと賛成してくれた。
それからレイヴンとアリシアは、院長の案内で病院内の設備を確認して歩いた。老朽化した機械の入れ替えなど、今年の予算で賄えなかったものは来年予算を組むことになる。
これもレイヴンが実物を確認していた方が稟議を通しやすいので院長は喜んでいた。
その後、2人で入院患者たちの病室を訪ねた。
2人が病院を訪れていることを知らなかった彼らは、皆一様に驚き、喜んでいる。
ナイジェルの言う通り、すれ違っただけでもこの病院の医師はアリシアに友好的な態度を見せてくれていた。そんな医師たちの気持ちが伝染しているのか、入院患者たちの中にもアリシアに猜疑的な視線を向けてくる者はなかった。
アリシアは1人1人のベッドサイドで言葉を交わす。
請われて片手を差し出すと、皴だらけの両手でアリシアの手を包んで涙を流す老婆もいた。
病院を出る時にはアリシアも暖かい気持ちになっていた。
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