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第2部 4章
77 懐かしい騒がしさ
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年が明けて元旦の朝になった。
アリシアが目を覚ますと、いつものようにレイヴンが見つめている。
「おはよう、アリシア」
「おはようございます。レイヴン様」
微笑み合って軽く口づけを交わす。
去年までとは違う年明けだ。
レイヴンは眠る前に、「今年はもっと色んなことを一緒にしよう」と言ってくれた。
今年の年越しも一緒に過ごせるだろうか。
……側妃を迎えていても、レイヴンなら特別な日は一緒に過ごしてくれるかもしれない。
アリシアは軽く頭を振った。
そんなことを考えるべきではない。
レイヴンが側妃を迎えるのは当然のことで、レイヴンがその時誰を選んだとしても受け入れるしかないのだ。
「アリシア?」
アリシアの表情が曇るのをレイヴンが見逃すはずがなく、心配そうな顔で呼びかける。
アリシアは何でもないと言うように微笑んだ。
少なくても今は、アリシアだけのレイヴンだ。
アリシアはそっとレイヴンに抱き着く。
「……今日は、もう少し遅くまで寝ていても、良いですよね?」
「っ!アリシアっ!!」
レイヴンがアリシアの誘いを断るはずがない。
深く口づけると、2人重なったままベッドに深く沈みこんだ。
陛下は昨夜、マルグリット様と一緒に休まれたのかしら。
そんな疑問が浮かんで消えた。
「妃殿下、とてもお綺麗ですわ」
エレノアが感嘆の息を吐いた。
アリシア付きの侍女に年末年始休暇はない。年の初めから宴に出る支度を完璧に整えてくれたのだ。
「妃殿下、殿下がいらっしゃいました。お部屋で待っていただいています」
「そう、ありがとう」
ドレッシングルームへ入って来たジーナの報告に軽く返したアリシアだったが、途端に渋い顔をしたエレノアに、つい笑みが漏れた。エレノアは支度を始めるぎりぎりの時間までアリシアと寝室に籠っていたレイヴンに怒っているのだ。
しかもアリシアの体には無数の赤い斑点がある。それを隠すために白粉を塗ったりレースを足したりしている内にすっかり遅くなってしまった。
だけどもっと一緒にいたいと強請ったのはアリシアである。
「エレノア、ごめんなさいね。すっかり手間を掛けてしまったけれど、今日は私がもっと一緒にいたいとお願いしたの」
だからレイヴン様を怒らないで、とアリシアが言うと、エレノアが呆気にとられた顔をした。ジーナやドナも同じ表情になっている。
だけどそれも一瞬のことで、すぐに嬉しそうな笑顔を見せた。
「仲睦まじくお過ごしのようで安心致しました」
その言葉には万感の思いが込められているようだった。
きっと今朝だけのことではないのだ。
以前とは違ってこの休暇はずっとレイヴンが傍にいる。
2人でお茶やお喋りをするだけではなく、一緒に詩作をしたり読書をすることもあった。
詩作は完全に自分の世界に入るもので、教え合ったりするものではない。会話なく互いにノートに向かっていても、居心地の悪さは感じなかった。
ふと顔を上げるとノートに向かうレイヴンの横顔が見える。
そうしていると学園でのことが思い出された。
あの頃も特に会話はなかったけれど、一緒に勉強をしたこともあったのだ。
「本当に、いつもとは随分違う休暇だわ」
アリシアはふふっと笑う。
以前は誰とも会わず、誰とも会話をしなかったのに、今回の休暇はずっとレイヴンが傍にいる。
それだけではなく、もう何度もカナリーとアイビスが遊びに来ていた。ノティスやジェイまで来たこともある。
ジェイの訪問には驚いたけれど、ジェイの友人も皆領地へ帰っているのだ。それなのにカナリーやアイビスまでが正殿からいなくなると退屈だったのだろう。
とにかく、入れ代わり立ち代わり弟妹たちが訪ねて来る。
一族が集まる領地を彷彿させて懐かしい気持ちになっていた。
アリシアが目を覚ますと、いつものようにレイヴンが見つめている。
「おはよう、アリシア」
「おはようございます。レイヴン様」
微笑み合って軽く口づけを交わす。
去年までとは違う年明けだ。
レイヴンは眠る前に、「今年はもっと色んなことを一緒にしよう」と言ってくれた。
今年の年越しも一緒に過ごせるだろうか。
……側妃を迎えていても、レイヴンなら特別な日は一緒に過ごしてくれるかもしれない。
アリシアは軽く頭を振った。
そんなことを考えるべきではない。
レイヴンが側妃を迎えるのは当然のことで、レイヴンがその時誰を選んだとしても受け入れるしかないのだ。
「アリシア?」
アリシアの表情が曇るのをレイヴンが見逃すはずがなく、心配そうな顔で呼びかける。
アリシアは何でもないと言うように微笑んだ。
少なくても今は、アリシアだけのレイヴンだ。
アリシアはそっとレイヴンに抱き着く。
「……今日は、もう少し遅くまで寝ていても、良いですよね?」
「っ!アリシアっ!!」
レイヴンがアリシアの誘いを断るはずがない。
深く口づけると、2人重なったままベッドに深く沈みこんだ。
陛下は昨夜、マルグリット様と一緒に休まれたのかしら。
そんな疑問が浮かんで消えた。
「妃殿下、とてもお綺麗ですわ」
エレノアが感嘆の息を吐いた。
アリシア付きの侍女に年末年始休暇はない。年の初めから宴に出る支度を完璧に整えてくれたのだ。
「妃殿下、殿下がいらっしゃいました。お部屋で待っていただいています」
「そう、ありがとう」
ドレッシングルームへ入って来たジーナの報告に軽く返したアリシアだったが、途端に渋い顔をしたエレノアに、つい笑みが漏れた。エレノアは支度を始めるぎりぎりの時間までアリシアと寝室に籠っていたレイヴンに怒っているのだ。
しかもアリシアの体には無数の赤い斑点がある。それを隠すために白粉を塗ったりレースを足したりしている内にすっかり遅くなってしまった。
だけどもっと一緒にいたいと強請ったのはアリシアである。
「エレノア、ごめんなさいね。すっかり手間を掛けてしまったけれど、今日は私がもっと一緒にいたいとお願いしたの」
だからレイヴン様を怒らないで、とアリシアが言うと、エレノアが呆気にとられた顔をした。ジーナやドナも同じ表情になっている。
だけどそれも一瞬のことで、すぐに嬉しそうな笑顔を見せた。
「仲睦まじくお過ごしのようで安心致しました」
その言葉には万感の思いが込められているようだった。
きっと今朝だけのことではないのだ。
以前とは違ってこの休暇はずっとレイヴンが傍にいる。
2人でお茶やお喋りをするだけではなく、一緒に詩作をしたり読書をすることもあった。
詩作は完全に自分の世界に入るもので、教え合ったりするものではない。会話なく互いにノートに向かっていても、居心地の悪さは感じなかった。
ふと顔を上げるとノートに向かうレイヴンの横顔が見える。
そうしていると学園でのことが思い出された。
あの頃も特に会話はなかったけれど、一緒に勉強をしたこともあったのだ。
「本当に、いつもとは随分違う休暇だわ」
アリシアはふふっと笑う。
以前は誰とも会わず、誰とも会話をしなかったのに、今回の休暇はずっとレイヴンが傍にいる。
それだけではなく、もう何度もカナリーとアイビスが遊びに来ていた。ノティスやジェイまで来たこともある。
ジェイの訪問には驚いたけれど、ジェイの友人も皆領地へ帰っているのだ。それなのにカナリーやアイビスまでが正殿からいなくなると退屈だったのだろう。
とにかく、入れ代わり立ち代わり弟妹たちが訪ねて来る。
一族が集まる領地を彷彿させて懐かしい気持ちになっていた。
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