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第2部 4章
104 決意
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王太子宮に戻って来たレイヴンとアリシアは、リトマインの部屋へ来ていた。
ここであれば許可を得た一部の者しか入ることができない。その上で人払いをしてしまえば2人きりになれる。
だけど先程のことがあるので、レイヴンはエレノアに扉の前で待機するよう命じた。
これで誰か来ればすぐに知らせを受けることができる。
エレノアには話を聞かれることになるが、それはどうしようもないことだ。アリシアも反対しなかったので、受け入れているだろう。それだけエレノアを信頼しているということだ。
エレノアも、マルグリットの執務室から出て来たアリシアの様子を見て、何かあったことを察している。
アリシアの前には淹れたての紅茶と目元を冷やす為のタオルが置かれていた。何度も泣いていたので目が赤くなってしまっているのだ。
レイヴンが手を伸ばし、かいがいしくアリシアの目元にタオルをあてる。
マルグリットの執務室を出た後、アリシアはすっかり沈んでいた。
レイヴンにエスコートされながらトボトボと歩く。
控室から出て来たエレノアたちはアリシアの様子に驚いていたが、何も言わずに付き従っていた。
「マルグリット様は大丈夫でしょうか」
アリシアが呟く。
アリシアが何を心配しているのか、レイヴンは大体わかるつもりだ。
だけどそのことについて、レイヴンは心配していなかった。
「大丈夫じゃないかな?父上が母上を酷く扱うとは思えないし」
レイヴンは明るく答えた。
漏れ聞こえていた会話は確かに衝撃的なものだったけれど、長年2人を身近で見ているレイヴンは、父が母を大切にしていると確信を持って言える。
だからこそ父はショックを受けているだろうけれど、そればかりは仕方がない。自分がしてきたことの結果なのだ。これから信頼を取り戻していくしかない。
それよりもレイヴンにとって重要なのは、アリシアの気持ちである。
アリシアは、レイヴンが側妃を迎えたら耐えられない、と言っていた。
あれはレイヴンが訊いても教えてくれない本心だ。
アリシアが沈んでいるのは、聞かれたくない本音を聞かれてしまったせいでもあるのだろう。
レイヴンは立ち止まると、アリシアの赤くなった目元にそっと触れた。
アリシアがレイヴンを見上げる。
「好きだよ、アリシア」
レイヴンはそう告げると、アリシアの目元に口づけた。
そのままそっと抱き締める。
レイヴンは先程からこちらを窺う視線に気がついていた。
まだそれ程遅くない時間なので本殿には多くの人が歩いている。
行き会った文官などは抱き合う王太子夫妻に驚いて眼を逸らしているけれど、こちらを見ている視線が逸らされることはなかった。
腕の中のアリシアは、ここは本殿だとか、人目があるとは言わなかった。
レイヴンの背中に腕をまわしてぎゅっと抱き締めてくる。
いつにないその姿にアリシアの不安を感じて、レイヴンは背中にまわした腕に力を込めた。
こちらを窺う視線が睨みつけるものに変わる。
きっと側妃候補の関係者なのだろう。アリシアを寵愛するレイヴンが許せないのだ。
だけど不快に思っているのはこちらも同じである。
側妃は絶対に迎えない。
決意を新たにしたレイヴンは、こちらを睨みつける者たちに見せつけるようアリシアへ口づけると、腰を抱いて歩き出した。
ここであれば許可を得た一部の者しか入ることができない。その上で人払いをしてしまえば2人きりになれる。
だけど先程のことがあるので、レイヴンはエレノアに扉の前で待機するよう命じた。
これで誰か来ればすぐに知らせを受けることができる。
エレノアには話を聞かれることになるが、それはどうしようもないことだ。アリシアも反対しなかったので、受け入れているだろう。それだけエレノアを信頼しているということだ。
エレノアも、マルグリットの執務室から出て来たアリシアの様子を見て、何かあったことを察している。
アリシアの前には淹れたての紅茶と目元を冷やす為のタオルが置かれていた。何度も泣いていたので目が赤くなってしまっているのだ。
レイヴンが手を伸ばし、かいがいしくアリシアの目元にタオルをあてる。
マルグリットの執務室を出た後、アリシアはすっかり沈んでいた。
レイヴンにエスコートされながらトボトボと歩く。
控室から出て来たエレノアたちはアリシアの様子に驚いていたが、何も言わずに付き従っていた。
「マルグリット様は大丈夫でしょうか」
アリシアが呟く。
アリシアが何を心配しているのか、レイヴンは大体わかるつもりだ。
だけどそのことについて、レイヴンは心配していなかった。
「大丈夫じゃないかな?父上が母上を酷く扱うとは思えないし」
レイヴンは明るく答えた。
漏れ聞こえていた会話は確かに衝撃的なものだったけれど、長年2人を身近で見ているレイヴンは、父が母を大切にしていると確信を持って言える。
だからこそ父はショックを受けているだろうけれど、そればかりは仕方がない。自分がしてきたことの結果なのだ。これから信頼を取り戻していくしかない。
それよりもレイヴンにとって重要なのは、アリシアの気持ちである。
アリシアは、レイヴンが側妃を迎えたら耐えられない、と言っていた。
あれはレイヴンが訊いても教えてくれない本心だ。
アリシアが沈んでいるのは、聞かれたくない本音を聞かれてしまったせいでもあるのだろう。
レイヴンは立ち止まると、アリシアの赤くなった目元にそっと触れた。
アリシアがレイヴンを見上げる。
「好きだよ、アリシア」
レイヴンはそう告げると、アリシアの目元に口づけた。
そのままそっと抱き締める。
レイヴンは先程からこちらを窺う視線に気がついていた。
まだそれ程遅くない時間なので本殿には多くの人が歩いている。
行き会った文官などは抱き合う王太子夫妻に驚いて眼を逸らしているけれど、こちらを見ている視線が逸らされることはなかった。
腕の中のアリシアは、ここは本殿だとか、人目があるとは言わなかった。
レイヴンの背中に腕をまわしてぎゅっと抱き締めてくる。
いつにないその姿にアリシアの不安を感じて、レイヴンは背中にまわした腕に力を込めた。
こちらを窺う視線が睨みつけるものに変わる。
きっと側妃候補の関係者なのだろう。アリシアを寵愛するレイヴンが許せないのだ。
だけど不快に思っているのはこちらも同じである。
側妃は絶対に迎えない。
決意を新たにしたレイヴンは、こちらを睨みつける者たちに見せつけるようアリシアへ口づけると、腰を抱いて歩き出した。
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