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第2部 4章
101 罪悪感①
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「だがそのせいで側妃を娶らなくてはいけなくなった。世継ぎが必要なのはわかっていたし、議会からも激しく要求されていた。あの時、側妃は誰でも良いと思っていたのは事実だ。だから議会の推薦をすぐに受け入れた。議会は容姿や人柄、学園での成績、それに権力のバランスを見て候補を選んでいる。議会の推薦であれば間違いないと思ったのだ。だが今は、初めて迎えた側妃がユリアで良かったと思っている」
それはマルグリットも同じだった。
あの時選ばれたのがユリアでなければ、今のマルグリットはいないと思っている。
ユリアが常にマルグリットを立ててくれていたから体面を保つことができた。もしユリアが国王の寵愛を望むような女性であれば、他の側妃たちとの関係も上手くいかなかっただろう。
だが、ユリアにとってはどうなのか。
「ユリアに想う相手がいたのかは知らん。王宮でそんな話をするわけにもいかんからな。ただこれは誰にも話すつもりがなかったのだが……。あの頃、ユリアの元へあまり通わなかったのは、ユリアを気に入らなかったからではない。ユリアから閨を拒否されていたからだ」
「……え?」
「ユリアは学園での噂を良く知っていたよ。そこで其方が、愛されない婚約者と嗤われていたこともな。それなのに余の元へ嫁ぎ、嫁いでからも閨がほとんどないと嗤われている。閨がないのだから子ができないのも当然のことだ。それなのに側妃を迎えるなんてマルグリット様がお気の毒だ、と怒っていた」
ユリアは物静かな女性だが、決して意志がないわけでも、気が弱いわけでもない。普段主張することは少ないが、言うべきことは言う、そんな女性である。
国王やマルグリットとユリアの在学期間は重なっていないが、ユリアは国王たちと入れ替わりで入学している。レイヴンとカナリーのようなものだ。
カナリーは学園でのレイヴンとジェーンの噂を知っていた。すぐ上の学年は在学中のレイヴンの振る舞いを知っていて、卒業したからといってすぐに忘れることはない。それと同じことである。
学園で国王の噂を聞いたユリアは胸を痛めていたようだ。
国王は不貞を犯したわけではない。マルグリットを粗雑に扱ったこともない。
だけど別の女性を想っている。
そんな婚約者の傍近くで、何事もないような顔をしていなければならないマルグリットを、ユリアは気の毒に思っていた。
それなのに、今度は自分がその側妃に選ばれたのである。
初夜の為に訪れた寝室で、国王はユリアに怒られた。
別の相手を想ってしまったのは仕方がない。
だけど伽をするつもりがないなら、なぜ結婚したのか。
マルグリットが社交界で、「愛されない妃は情けも貰えない」と嗤われていると聞かされた国王は青くなった。王太子の閨事情が寝室を掃除する侍女の口から広まることに気がついてなかったのだ。
呆然とする国王に、ユリアは「私に子を生むつもりはありません」と言った。
国王の子を最初に生むのはマルグリットであるべきだ、と言ったのだ。
その日の初夜も、避妊薬をしっかり飲んだ後、中に吐精することを許さなかった。
それはマルグリットも同じだった。
あの時選ばれたのがユリアでなければ、今のマルグリットはいないと思っている。
ユリアが常にマルグリットを立ててくれていたから体面を保つことができた。もしユリアが国王の寵愛を望むような女性であれば、他の側妃たちとの関係も上手くいかなかっただろう。
だが、ユリアにとってはどうなのか。
「ユリアに想う相手がいたのかは知らん。王宮でそんな話をするわけにもいかんからな。ただこれは誰にも話すつもりがなかったのだが……。あの頃、ユリアの元へあまり通わなかったのは、ユリアを気に入らなかったからではない。ユリアから閨を拒否されていたからだ」
「……え?」
「ユリアは学園での噂を良く知っていたよ。そこで其方が、愛されない婚約者と嗤われていたこともな。それなのに余の元へ嫁ぎ、嫁いでからも閨がほとんどないと嗤われている。閨がないのだから子ができないのも当然のことだ。それなのに側妃を迎えるなんてマルグリット様がお気の毒だ、と怒っていた」
ユリアは物静かな女性だが、決して意志がないわけでも、気が弱いわけでもない。普段主張することは少ないが、言うべきことは言う、そんな女性である。
国王やマルグリットとユリアの在学期間は重なっていないが、ユリアは国王たちと入れ替わりで入学している。レイヴンとカナリーのようなものだ。
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国王は不貞を犯したわけではない。マルグリットを粗雑に扱ったこともない。
だけど別の女性を想っている。
そんな婚約者の傍近くで、何事もないような顔をしていなければならないマルグリットを、ユリアは気の毒に思っていた。
それなのに、今度は自分がその側妃に選ばれたのである。
初夜の為に訪れた寝室で、国王はユリアに怒られた。
別の相手を想ってしまったのは仕方がない。
だけど伽をするつもりがないなら、なぜ結婚したのか。
マルグリットが社交界で、「愛されない妃は情けも貰えない」と嗤われていると聞かされた国王は青くなった。王太子の閨事情が寝室を掃除する侍女の口から広まることに気がついてなかったのだ。
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その日の初夜も、避妊薬をしっかり飲んだ後、中に吐精することを許さなかった。
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