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第2部 4章
100 話し合いが必要なのは②
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国王とマルグリット、2人が婚約したのは10歳の時だった。
2人の意志とは関係なく結ばれた政略での婚約だったが、国王は美しく優しく、そして努力家のマルグリットを気に入っていたし、マルグリットも国王へ親愛の情を向けてくれていた。
恋焦がれるような熱い気持ちはなかったけれど、互いを想い合う穏やかな夫婦になるのだと、そう思っていたのに。
学園でサンドラに出会ってしまったのだ。
「サンドラ殿への気持ちを否定するつもりはない。それでは嘘になってしまう。だが、サンドラ殿を強く想っていた時でさえ、余の正妃は其方だと思っていた。其方とならば、互いを想い合う穏やかな夫婦になれると思っていたのだ」
そして実際、そうなれたのだと思っていた。
2人の間には4人の子が生まれている。
確かに側妃は迎えたけれど、後継者争いの芽は早々に潰した。これ以上大きな問題が起こるとは思えない。
時間は掛かってしまったけれど、今の2人は昔思い描いていたような夫婦になれたのだと思っていた。
つい先ほどまでは。
「其方は色々と思い違いをしている。まず第一に、今はもうサンドラ殿への気持ちはない。確かにジェーン嬢を見ていると、あの頃を思い出して懐かしい気持ちになった。それにサンドラ殿を辛い境遇へ追いやった償いをしたいとも思う。だけど、それだけだ」
「今はもう、サンドラ殿への気持ちはない……?」
マルグリットが怪訝な顔で問い返す。
とても信じられないと、その表情が語っていた。
「先程の話を聞いていたから、信用できないというのは良くわかる。だが其方が思い違いをしていることもあるのだ。だがそれは、話をすることを避けていた余の責任だろう」
先程マルグリットは、レイヴンとアリシアにお互い思っていることを伝え合い、話し合えと言っていた。
話し合いが足りなかったのは国王とマルグリットも同じである。
ただ国王は、マルグリットにサンドラの話をするのは申し訳ないと思ってしまった。
それが間違いだったのかもしれない。
「結婚したばかりの頃、閨が少なかったと言っていたな。サンドラ殿を想っているから、他の女を抱きたくなかったのだと。……あの頃、サンドラ殿を想っていたことは否定しない。だが其方を抱かなかったのは……、申し訳ないと、思っていたからだ。他の女に気持ちを残したまま其方を抱くことは……、其方に対しての、重大な裏切りだと感じていた」
「……私への裏切り?サンドラ殿ではなく?」
驚いて問い返すマルグリットに国王が頷いた。
言い辛そうにしながらも、国王は再度口を開いた。
「サンドラ殿を想いながら其方を抱くことは、まるで其方を…身代わりにしているような気がした。想い人を抱くことができないから、身近にいる其方を抱くのだと……。だが、其方を誰かの身代わりにはしたくない。婚約が決まって初めて会った時から、其方を大切に想ってきたのだ。それなのに……っ!……そう思うと、抱くことができなかった」
苦渋に満ちた表情で項垂れる国王をマルグリットは呆然と見つめた。
国王があの時、サンドラを想っていたのは間違いない。
だけどその一方でマルグリットを大切に思ってくれていたのだ。
少なくともサンドラの身代わりにしたくないと思うほどには、マルグリットを想ってくれていた。
2人の意志とは関係なく結ばれた政略での婚約だったが、国王は美しく優しく、そして努力家のマルグリットを気に入っていたし、マルグリットも国王へ親愛の情を向けてくれていた。
恋焦がれるような熱い気持ちはなかったけれど、互いを想い合う穏やかな夫婦になるのだと、そう思っていたのに。
学園でサンドラに出会ってしまったのだ。
「サンドラ殿への気持ちを否定するつもりはない。それでは嘘になってしまう。だが、サンドラ殿を強く想っていた時でさえ、余の正妃は其方だと思っていた。其方とならば、互いを想い合う穏やかな夫婦になれると思っていたのだ」
そして実際、そうなれたのだと思っていた。
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つい先ほどまでは。
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「今はもう、サンドラ殿への気持ちはない……?」
マルグリットが怪訝な顔で問い返す。
とても信じられないと、その表情が語っていた。
「先程の話を聞いていたから、信用できないというのは良くわかる。だが其方が思い違いをしていることもあるのだ。だがそれは、話をすることを避けていた余の責任だろう」
先程マルグリットは、レイヴンとアリシアにお互い思っていることを伝え合い、話し合えと言っていた。
話し合いが足りなかったのは国王とマルグリットも同じである。
ただ国王は、マルグリットにサンドラの話をするのは申し訳ないと思ってしまった。
それが間違いだったのかもしれない。
「結婚したばかりの頃、閨が少なかったと言っていたな。サンドラ殿を想っているから、他の女を抱きたくなかったのだと。……あの頃、サンドラ殿を想っていたことは否定しない。だが其方を抱かなかったのは……、申し訳ないと、思っていたからだ。他の女に気持ちを残したまま其方を抱くことは……、其方に対しての、重大な裏切りだと感じていた」
「……私への裏切り?サンドラ殿ではなく?」
驚いて問い返すマルグリットに国王が頷いた。
言い辛そうにしながらも、国王は再度口を開いた。
「サンドラ殿を想いながら其方を抱くことは、まるで其方を…身代わりにしているような気がした。想い人を抱くことができないから、身近にいる其方を抱くのだと……。だが、其方を誰かの身代わりにはしたくない。婚約が決まって初めて会った時から、其方を大切に想ってきたのだ。それなのに……っ!……そう思うと、抱くことができなかった」
苦渋に満ちた表情で項垂れる国王をマルグリットは呆然と見つめた。
国王があの時、サンドラを想っていたのは間違いない。
だけどその一方でマルグリットを大切に思ってくれていたのだ。
少なくともサンドラの身代わりにしたくないと思うほどには、マルグリットを想ってくれていた。
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