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第2部 5章
20 婚約挨拶④
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「学園ではとやかく言う人もいるでしょう。だけど気にし過ぎては駄目よ」
その言葉にディアナはハッとして顔を上げた。
アリシアはそれまでと変わらない様子で微笑んでいる。
アリシアが本当に言いたかったのはこれかもしれない。
ディアナは小さく頭を下げた。
アリシアが言う通り、学園では様々に言われていた。
レオナルドは王族を除けば最高位の公爵子息である。本人も王太子の側近として認められ、辣腕を振るっている。
長年婚約者を作らないことから、誰がその座を射止めるのかと噂されていた。
そう、令嬢たちは自身に婚約者がいる、いないに関わらず、レオナルドの婚約者となる人物に憧れと羨望を向けていたのだ。
そこへ降って湧いたような縁談である。
選ばれたのは特に美しくもなく、優秀でもないディアナだった。
グーリッド伯爵家に目立った功績があるわけでもなく、ルトビア公爵家と繋がりもない。
華やかな美人のキャロルならば納得したかもしれないが、平凡なディアナが何故選ばれたのか、不審がられるのも当然だった。
元々キャロルが婚約者候補から外れた後も、レオナルドがグーリッド伯爵邸を訪れていたことは知られていた。
それでもディアナが婚約者に選ばれたと知られた頃から、様々に言われるようになっていた。
「レオナルド様の婚約者に選ばれたというからどんな方かと思ったら……」
「特に美しくもないし、Bクラスでしょう?」
「レオナルド様はどこが良かったのかしら……」
「お金を積んで……、と言える程、資産家でもありませんわよねぇ」
そんな声が教室にいても廊下を歩いていても聞こえてくる。
わざわざ他のクラスや違う学年からディアナを見に来る令嬢もいた。
そして中にはこんな声もあった。
「お姉様は何度申し入れても断られたのに、どうしてあんな方が……っ!」
それを聞いた時、ディアナは悟ったのだ。
キャロルと同年代の令嬢や、ディアナより少し上の既に卒業してしまった令嬢にもまだ婚約者もおらず結婚していない令嬢がいる。その令嬢たちは皆レイヴンの側妃の座を狙っていると思われていた。
だけど中にはレオナルドの妻の座を狙っていた者……、レオナルドに想いを寄せていた者もいるのだ。
何度婚約を申し入れて断られても諦められず、いつか目に留めてもらえるようにと教養や作法、そして自分自身を磨き続けていたのだろう。その令嬢の姉は婚期を逃しているにも関わらず、社交界で高嶺の花と呼ばれていた。
そんな令嬢たちがぽっと出のディアナを認められないのもわかる気がした。
だけどオレリアに言われたことがある。
「ルトビア公爵家嫡男の婚約者に選ばれたということは、それだけで羨まれ、妬まれるものよ。だけどこれだけは覚えておきなさい。誰に何を言われても、あなたが公爵家とレオナルドに相応しいかどうか、決めるのは私たちでありレオナルドなの。周りの誰かも知れない人ではないわ。だからあなたは、誰に何を言われても毅然としていなさい。あなたが次期公爵夫人として課題に取り組み、真面目に学んでいる限り、レオナルドの妻となるのはあなたよ」
それ以来、ディアナは何を言われても毅然と顔を上げて歩くようになった。
公爵家は最高の家庭教師を雇ってディアナを育てようとしてくれている。その気持ちに応える為にもAクラスに入りたいと思うようになった。
少なくともAクラスに入れれば、「それほど優秀でもない」とは言われなくなるだろう。
その言葉にディアナはハッとして顔を上げた。
アリシアはそれまでと変わらない様子で微笑んでいる。
アリシアが本当に言いたかったのはこれかもしれない。
ディアナは小さく頭を下げた。
アリシアが言う通り、学園では様々に言われていた。
レオナルドは王族を除けば最高位の公爵子息である。本人も王太子の側近として認められ、辣腕を振るっている。
長年婚約者を作らないことから、誰がその座を射止めるのかと噂されていた。
そう、令嬢たちは自身に婚約者がいる、いないに関わらず、レオナルドの婚約者となる人物に憧れと羨望を向けていたのだ。
そこへ降って湧いたような縁談である。
選ばれたのは特に美しくもなく、優秀でもないディアナだった。
グーリッド伯爵家に目立った功績があるわけでもなく、ルトビア公爵家と繋がりもない。
華やかな美人のキャロルならば納得したかもしれないが、平凡なディアナが何故選ばれたのか、不審がられるのも当然だった。
元々キャロルが婚約者候補から外れた後も、レオナルドがグーリッド伯爵邸を訪れていたことは知られていた。
それでもディアナが婚約者に選ばれたと知られた頃から、様々に言われるようになっていた。
「レオナルド様の婚約者に選ばれたというからどんな方かと思ったら……」
「特に美しくもないし、Bクラスでしょう?」
「レオナルド様はどこが良かったのかしら……」
「お金を積んで……、と言える程、資産家でもありませんわよねぇ」
そんな声が教室にいても廊下を歩いていても聞こえてくる。
わざわざ他のクラスや違う学年からディアナを見に来る令嬢もいた。
そして中にはこんな声もあった。
「お姉様は何度申し入れても断られたのに、どうしてあんな方が……っ!」
それを聞いた時、ディアナは悟ったのだ。
キャロルと同年代の令嬢や、ディアナより少し上の既に卒業してしまった令嬢にもまだ婚約者もおらず結婚していない令嬢がいる。その令嬢たちは皆レイヴンの側妃の座を狙っていると思われていた。
だけど中にはレオナルドの妻の座を狙っていた者……、レオナルドに想いを寄せていた者もいるのだ。
何度婚約を申し入れて断られても諦められず、いつか目に留めてもらえるようにと教養や作法、そして自分自身を磨き続けていたのだろう。その令嬢の姉は婚期を逃しているにも関わらず、社交界で高嶺の花と呼ばれていた。
そんな令嬢たちがぽっと出のディアナを認められないのもわかる気がした。
だけどオレリアに言われたことがある。
「ルトビア公爵家嫡男の婚約者に選ばれたということは、それだけで羨まれ、妬まれるものよ。だけどこれだけは覚えておきなさい。誰に何を言われても、あなたが公爵家とレオナルドに相応しいかどうか、決めるのは私たちでありレオナルドなの。周りの誰かも知れない人ではないわ。だからあなたは、誰に何を言われても毅然としていなさい。あなたが次期公爵夫人として課題に取り組み、真面目に学んでいる限り、レオナルドの妻となるのはあなたよ」
それ以来、ディアナは何を言われても毅然と顔を上げて歩くようになった。
公爵家は最高の家庭教師を雇ってディアナを育てようとしてくれている。その気持ちに応える為にもAクラスに入りたいと思うようになった。
少なくともAクラスに入れれば、「それほど優秀でもない」とは言われなくなるだろう。
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