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第2部 5章
63 宰相の後継者①
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「ロイ兄様は今後どうされますの?」
ジェーンが落ち着くのを見計らい、元の席へ戻ったアリシアがロバートへ訊いた。
ロバートには運営している大商会がある。ジェーンが戻って来てから領主代行の権限はジェーンへ返されているし、仕事の引継ぎを終えれば商会の仕事へ戻るのだろう。
ただ以前とは違ってロバートは子爵になった。領地を持っていないので土地に縛られることはないが、以前のように気軽く海外を飛びまわるというわけにはいかないのではないだろうか。
とはいえ、国内に留まるとしてもルーファスとの関係が改善されているので以前ほど心苦しい思いをすることはないだろう。
「そうだな。まずはきちんと引継ぎを終えることが先決だけど、その後は各国の拠点になっている支店の様子を見に行くよ。この1年、信頼できる者たちに運営を任せてきたが、やはり自分の目で見ておきたい」
「そう……。大丈夫なのかしら」
国王がロバートに爵位を与えたのは、ロバートをこの国に留めておきたいからだ。
ロバートが無位の時であれば、国境に儲けられた関所で商会の身分証と通行料を払うだけで通過できた。だけど爵位を得た今は、国王から発行される許可証明書がなければ国境を超えることができない。
国王は許可証明書に印を押してくれるのだろうか。
「大丈夫だよ」
アリシアの不安を感じ取ったようにレイヴンが微笑む。その後ジェーンへも頷いて見せた。
ロバートをこの問題に引き込んだのはジェーンなので、ジェーンも今後どうなるのか気にしているのだ。
「ロバート殿が優秀なのもその能力を借りたいのも事実だけど、ロバート殿の商会がこの国に大きな利益をもたらしているのは間違いないんだ。その根幹を揺るがすようなことはしないよ。例え他国へ行っていてもロバート殿が属する国はアナトリアだ。それがはっきりしているだけで良い」
「ありがとうございます」
レイヴンの言葉にロバートは胸に手を当てて頭を下げる。
あまり国に帰って来なくても、ほとんど王都に近寄ることがなくても、ロバートの故郷はアナトリアだ。それを忘れたことはなかった。
そして今回、国王から半ば強制的に爵位を与えられ、レイヴンの手配によって王宮の舞踏会に出席することになった。そのお陰で長年重しとなっていた兄との関係も改善したのだ。万感の思いが籠った礼だった。
ロバートは顔を上げるとアリシアへ視線を向ける。
「モルガン伯爵家の頭脳といえば、リカルド兄上が王都へ来ると思うよ」
「えっ?!」
リカルドといえば、ロバートの兄でルーファスの弟だ。モルガン伯爵家の次男である。
リカルドはロバートと同様学園を卒業すれば独立するはずだったが、今はモルガン伯爵領でルーファスの補佐をしている。
「ルーファス兄上が陛下のお召で度々王宮へ上がっているのはを知っているだろう?陛下は兄上の能力をいたくお気に召したようなんだ。側近として仕えないか、というお言葉をいただいたそうだ。兄上にとっては至上の喜びだったが……、領地を選んだらしい」
ジェーンが落ち着くのを見計らい、元の席へ戻ったアリシアがロバートへ訊いた。
ロバートには運営している大商会がある。ジェーンが戻って来てから領主代行の権限はジェーンへ返されているし、仕事の引継ぎを終えれば商会の仕事へ戻るのだろう。
ただ以前とは違ってロバートは子爵になった。領地を持っていないので土地に縛られることはないが、以前のように気軽く海外を飛びまわるというわけにはいかないのではないだろうか。
とはいえ、国内に留まるとしてもルーファスとの関係が改善されているので以前ほど心苦しい思いをすることはないだろう。
「そうだな。まずはきちんと引継ぎを終えることが先決だけど、その後は各国の拠点になっている支店の様子を見に行くよ。この1年、信頼できる者たちに運営を任せてきたが、やはり自分の目で見ておきたい」
「そう……。大丈夫なのかしら」
国王がロバートに爵位を与えたのは、ロバートをこの国に留めておきたいからだ。
ロバートが無位の時であれば、国境に儲けられた関所で商会の身分証と通行料を払うだけで通過できた。だけど爵位を得た今は、国王から発行される許可証明書がなければ国境を超えることができない。
国王は許可証明書に印を押してくれるのだろうか。
「大丈夫だよ」
アリシアの不安を感じ取ったようにレイヴンが微笑む。その後ジェーンへも頷いて見せた。
ロバートをこの問題に引き込んだのはジェーンなので、ジェーンも今後どうなるのか気にしているのだ。
「ロバート殿が優秀なのもその能力を借りたいのも事実だけど、ロバート殿の商会がこの国に大きな利益をもたらしているのは間違いないんだ。その根幹を揺るがすようなことはしないよ。例え他国へ行っていてもロバート殿が属する国はアナトリアだ。それがはっきりしているだけで良い」
「ありがとうございます」
レイヴンの言葉にロバートは胸に手を当てて頭を下げる。
あまり国に帰って来なくても、ほとんど王都に近寄ることがなくても、ロバートの故郷はアナトリアだ。それを忘れたことはなかった。
そして今回、国王から半ば強制的に爵位を与えられ、レイヴンの手配によって王宮の舞踏会に出席することになった。そのお陰で長年重しとなっていた兄との関係も改善したのだ。万感の思いが籠った礼だった。
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「えっ?!」
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