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番外編
アリシアの誕生日 6
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食事を終えたレイヴンとアリシアは、いつもの通りアリシアの部屋へ戻ってきた。
ソファに深く座ったレイヴンがアリシアを膝の上に乗せている。
エレノアが用意してくれたのは、紅茶とプリンだった。
レイヴンはココットとスプーンを手に持ち、プリンを掬ってはアリシアの口元へ運ぶ。
「美味しい?」
「はい。とても美味しいですわ」
アリシアが応えると、レイヴンは嬉しそうに笑う。
アリシアが食べ終えると次はレイヴンの番だ。
アリシアがココットとスプーンを手に持ち、レイヴンの口元へ運ぶ。少しやり辛いが、レイヴンは零しても怒らない。
「凄く美味しい。ありがとう、アリシア」
上機嫌なレイヴンはアリシアを抱き寄せて額にちゅっと口づけた。
いつもならお茶菓子を食べさせ合った後はいちゃいちゃしながら1日の報告をする。
だけど今日、レイヴンには話したいことがあった。
「え?食事を?」
「うん、駄目かな?」
アリシアの誕生日はリトマインの部屋で一緒に夕食を摂りたい。
勿論2人きりである。
リトマインの部屋はアリシアが許可した者しか入れないので使用人もあまり入ってこないのだ。
「勿論よろしいですけど、どうかされたのですか?」
「……誕生日の日は、家族て特別な食事をすると聞いたから」
「お兄様ですね」
当然そんな話をするのはレオナルドしかいない。
レイヴンは項垂れた。
「今まで本当にごめん。誕生日を1人きりで過ごさせるなんて」
レイヴンはこれまでアリシアの誕生日を一緒に過ごしたことがなかった。
結婚するまではレイヴンが会いに行かなくても公爵家の家族がいた。だけど結婚してからは、レイヴンがいなければ誰もいないのだ。
考えればすぐにわかることなのに、これまで考えたことがなかった。
「まあ、気になさらないで下さいませ。昼間はお兄様が会いに来て下さいましたし、レイヴン様からの贈り物はフランクが届けて下さいました。とても嬉しかったですわ」
「贈り物は、花かお菓子だったのに……」
「私の好きなお菓子でした。誕生日に美味しいお菓子をいただけたのですから、幸せなことですわ」
アリシアがそう言うと、レイヴンはアリシアをぎゅっと抱き締めた。
肩に頭を寄せ、耳元で囁く。
「愛している、アリシア。今年はずっと一緒にいよう」
「まあ。休日ではないのですから、執務はちゃんとして下さいませ」
落ち込んだレイヴンに、アリシアが何でもないことのように笑う。
気にしているレイヴンには申し訳ないが、本当にアリシアは何とも思っていなかったのだ。
寧ろ去年のアリシアなら、誕生日にレイヴンがいたら息苦しいと思っていただろう。
だけど今年はレイヴンと過ごせるのが嬉しい。
たった1年で随分と変わったものである。
エレノアに頼んで部屋の飾りつけをしてみようかしら?
浮かれすぎ、と呆れられるかしら……。
そんなことを考えるのも楽しくて自然と笑みが浮かんでくる。
楽しい気持ちのまま、アリシアもレイヴンをぎゅっと抱き締めた。
ソファに深く座ったレイヴンがアリシアを膝の上に乗せている。
エレノアが用意してくれたのは、紅茶とプリンだった。
レイヴンはココットとスプーンを手に持ち、プリンを掬ってはアリシアの口元へ運ぶ。
「美味しい?」
「はい。とても美味しいですわ」
アリシアが応えると、レイヴンは嬉しそうに笑う。
アリシアが食べ終えると次はレイヴンの番だ。
アリシアがココットとスプーンを手に持ち、レイヴンの口元へ運ぶ。少しやり辛いが、レイヴンは零しても怒らない。
「凄く美味しい。ありがとう、アリシア」
上機嫌なレイヴンはアリシアを抱き寄せて額にちゅっと口づけた。
いつもならお茶菓子を食べさせ合った後はいちゃいちゃしながら1日の報告をする。
だけど今日、レイヴンには話したいことがあった。
「え?食事を?」
「うん、駄目かな?」
アリシアの誕生日はリトマインの部屋で一緒に夕食を摂りたい。
勿論2人きりである。
リトマインの部屋はアリシアが許可した者しか入れないので使用人もあまり入ってこないのだ。
「勿論よろしいですけど、どうかされたのですか?」
「……誕生日の日は、家族て特別な食事をすると聞いたから」
「お兄様ですね」
当然そんな話をするのはレオナルドしかいない。
レイヴンは項垂れた。
「今まで本当にごめん。誕生日を1人きりで過ごさせるなんて」
レイヴンはこれまでアリシアの誕生日を一緒に過ごしたことがなかった。
結婚するまではレイヴンが会いに行かなくても公爵家の家族がいた。だけど結婚してからは、レイヴンがいなければ誰もいないのだ。
考えればすぐにわかることなのに、これまで考えたことがなかった。
「まあ、気になさらないで下さいませ。昼間はお兄様が会いに来て下さいましたし、レイヴン様からの贈り物はフランクが届けて下さいました。とても嬉しかったですわ」
「贈り物は、花かお菓子だったのに……」
「私の好きなお菓子でした。誕生日に美味しいお菓子をいただけたのですから、幸せなことですわ」
アリシアがそう言うと、レイヴンはアリシアをぎゅっと抱き締めた。
肩に頭を寄せ、耳元で囁く。
「愛している、アリシア。今年はずっと一緒にいよう」
「まあ。休日ではないのですから、執務はちゃんとして下さいませ」
落ち込んだレイヴンに、アリシアが何でもないことのように笑う。
気にしているレイヴンには申し訳ないが、本当にアリシアは何とも思っていなかったのだ。
寧ろ去年のアリシアなら、誕生日にレイヴンがいたら息苦しいと思っていただろう。
だけど今年はレイヴンと過ごせるのが嬉しい。
たった1年で随分と変わったものである。
エレノアに頼んで部屋の飾りつけをしてみようかしら?
浮かれすぎ、と呆れられるかしら……。
そんなことを考えるのも楽しくて自然と笑みが浮かんでくる。
楽しい気持ちのまま、アリシアもレイヴンをぎゅっと抱き締めた。
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