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第2部 6章
1 新しい年を迎えて
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月日はあっという間に流れ初夏になった。
この半年程の間にも様々な出来事があった。
王領から戻って一番最初にあったのは年末年始休暇だ。
この休暇をアリシアはもうレイヴンと過ごすものだと認識してくれていて、誘ったり誘われたりしなくても自然と一緒に過ごす計画を立てることができた。ただレイヴンの希望とは裏腹に2人きりで過ごせることはあまりなく、2人きりになれたのは前回と同じく最後の3日間だけだった。
これまでずっと一緒に過ごしていたカナリーがいない。
それがアイビスには殊の外淋しかったらしく、アイビスは休暇が始まると毎日王太子宮へ来るようになった。
レイヴンとしては思うところがないわけではない。だけどアイビスを可愛がることでアリシアの気が紛れるのならばそれで良いかと静観することにした。
年が明けるとマルグリットが開く宴だ。
レイヴンは隣で笑うアリシアが、今年も宴を開かずに済んでホッとしていることがわかっていた。
その数か月後には学園で卒業式が行われ、ジェイが学園を卒業し、ノティスたちはそれぞれ進級をした。ノティスとディアナは目標通り新学年ではAクラスになっている。
ノティスのところへはあれからも度々友人たちが来ているようだ。
常にグループ行動というわけではなく、来る人数は5人だったり2人だったりしているらしい。
気になることとしては、あの子爵令嬢だけはどんな時でも必ず姿を見せていることだ。ただ侍従からの報告では、子爵令嬢が一方的にノティスへ好意を寄せているだけで、ノティスの振る舞いが友人の域を超えることはないという。
子爵令嬢をどう思っているのか。
そしてジェーンのことはどうするのか。
一度ちゃんとノティスと話した方が良いのかもしれない。
痩せたなあ……。
レイヴンは立ったまま書類を読むアリシアを見ながら心の中で呟いた。
卒業式があったということは、新しい卒業生ができたということだ。そしてレイヴンとアリシアは結婚して4年目を迎えた。
それなのに未だアリシアが懐妊することはなく、その頃から議会がまた煩くなっていた。
議会の言い分はこうだ。
側妃を迎えたくないというレイヴンの希望を考慮してⅠ年間の猶予を与えた。それなのにアリシアが懐妊していない。このまま待っていてもアリシアが懐妊する保証はない。それならば新しい妃を迎え、そちらで試してみるべきだというのだ。
勿論レイヴンはここでも反発をした。
レイヴンの答えはいつだって変わらない。
アリシアを愛している。
側妃を迎えるつもりはない。
だけど議会も強硬だった。議会には議会の面子がある。
レイヴンはこれまでの慣習に異を唱え、1人で反発している。これまで当然として守られていたことが蔑ろにされて、議会が大人しく受け入れるはずがないのだ。
議会の後ろ盾を得たからなのか、令嬢たちの態度も強気なものになった。
元より気が弱く争いを好まない令嬢は、レイヴンの「白い結婚」宣言を聞いてから候補にならないよう急いで婚約している。残っているのは気が強く誰かを押しのけても前に出ようという令嬢ばかりだ。
そう。彼女たちはアリシアを押しのけ、蹴落とすことを躊躇わない。人前でもレイヴンに纏わりつき、アリシアに「子が生めない方は身を引けばいいのに」と暴言を吐くようになった。
アリシアがあまり食事を摂らなくなったのはこの頃からだ。
レイヴンに気付かせないよう無理をして食べようとするが、胃が受け付けないようで中々進まない。無理をして食べた後、部屋でもどすこともあるようだ。
初めの頃、もしや、と思って周りが浮足立った。
口には出さないものの、レイヴンもエレノアも期待していた。アリシアも期待していたはずだ。
だけど定期的にアリシアを診察している侍医長からそんな話が出ることはなく、しばらくして月のモノがきて期待は落胆に変わった。
その時のアリシアの落ち込みようは酷かった。
レイヴンはただアリシアを抱き締めることしかできなかった。
それ以来、無用な期待を見せないよう、もしや、と思うことがあっても誰も触れないようになっていた。
この半年程の間にも様々な出来事があった。
王領から戻って一番最初にあったのは年末年始休暇だ。
この休暇をアリシアはもうレイヴンと過ごすものだと認識してくれていて、誘ったり誘われたりしなくても自然と一緒に過ごす計画を立てることができた。ただレイヴンの希望とは裏腹に2人きりで過ごせることはあまりなく、2人きりになれたのは前回と同じく最後の3日間だけだった。
これまでずっと一緒に過ごしていたカナリーがいない。
それがアイビスには殊の外淋しかったらしく、アイビスは休暇が始まると毎日王太子宮へ来るようになった。
レイヴンとしては思うところがないわけではない。だけどアイビスを可愛がることでアリシアの気が紛れるのならばそれで良いかと静観することにした。
年が明けるとマルグリットが開く宴だ。
レイヴンは隣で笑うアリシアが、今年も宴を開かずに済んでホッとしていることがわかっていた。
その数か月後には学園で卒業式が行われ、ジェイが学園を卒業し、ノティスたちはそれぞれ進級をした。ノティスとディアナは目標通り新学年ではAクラスになっている。
ノティスのところへはあれからも度々友人たちが来ているようだ。
常にグループ行動というわけではなく、来る人数は5人だったり2人だったりしているらしい。
気になることとしては、あの子爵令嬢だけはどんな時でも必ず姿を見せていることだ。ただ侍従からの報告では、子爵令嬢が一方的にノティスへ好意を寄せているだけで、ノティスの振る舞いが友人の域を超えることはないという。
子爵令嬢をどう思っているのか。
そしてジェーンのことはどうするのか。
一度ちゃんとノティスと話した方が良いのかもしれない。
痩せたなあ……。
レイヴンは立ったまま書類を読むアリシアを見ながら心の中で呟いた。
卒業式があったということは、新しい卒業生ができたということだ。そしてレイヴンとアリシアは結婚して4年目を迎えた。
それなのに未だアリシアが懐妊することはなく、その頃から議会がまた煩くなっていた。
議会の言い分はこうだ。
側妃を迎えたくないというレイヴンの希望を考慮してⅠ年間の猶予を与えた。それなのにアリシアが懐妊していない。このまま待っていてもアリシアが懐妊する保証はない。それならば新しい妃を迎え、そちらで試してみるべきだというのだ。
勿論レイヴンはここでも反発をした。
レイヴンの答えはいつだって変わらない。
アリシアを愛している。
側妃を迎えるつもりはない。
だけど議会も強硬だった。議会には議会の面子がある。
レイヴンはこれまでの慣習に異を唱え、1人で反発している。これまで当然として守られていたことが蔑ろにされて、議会が大人しく受け入れるはずがないのだ。
議会の後ろ盾を得たからなのか、令嬢たちの態度も強気なものになった。
元より気が弱く争いを好まない令嬢は、レイヴンの「白い結婚」宣言を聞いてから候補にならないよう急いで婚約している。残っているのは気が強く誰かを押しのけても前に出ようという令嬢ばかりだ。
そう。彼女たちはアリシアを押しのけ、蹴落とすことを躊躇わない。人前でもレイヴンに纏わりつき、アリシアに「子が生めない方は身を引けばいいのに」と暴言を吐くようになった。
アリシアがあまり食事を摂らなくなったのはこの頃からだ。
レイヴンに気付かせないよう無理をして食べようとするが、胃が受け付けないようで中々進まない。無理をして食べた後、部屋でもどすこともあるようだ。
初めの頃、もしや、と思って周りが浮足立った。
口には出さないものの、レイヴンもエレノアも期待していた。アリシアも期待していたはずだ。
だけど定期的にアリシアを診察している侍医長からそんな話が出ることはなく、しばらくして月のモノがきて期待は落胆に変わった。
その時のアリシアの落ち込みようは酷かった。
レイヴンはただアリシアを抱き締めることしかできなかった。
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