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第2部 6章
43 覚醒①
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なんだかふわふわしているように感じる。
ゆらゆら波間を揺蕩っているような。
そんな心地良い世界から引き戻される感じがして、アリシアは目を開いた。
「ここは……?」
声に出して驚いた。
自分の声とは思えない程掠れていて弱弱しい。もう何年も声を出していないような気さえする。
それにここはどこだろうか。
視界に映るのは見慣れた王太子宮の天蓋ではない。使われているシーツも毛布も違うようだ。
誘拐された……?
アリシアが最初に思ったのはそれだった。
だけど落ち着いて辺りを見渡してみると、飾られた小物やカーテンに見覚えがある。
ここは領地のマナーハウスではないだろうか。
え?どうして……?
私は嫁いだはず……。
アリシアは記憶の中を探る。
学園を卒業してすぐに結婚式を挙げた。それから王太子宮へ移ってそこで生活していたはずだ。
何事もなく平穏に過ごしていたのに、転機が訪れたのは結婚して2年が経った時。
レイヴンに側妃候補を選んで欲しいと持ち掛けた時だ。
ズキンッと胸が痛んでアリシアは胸を押さえた。
同時に様々な記憶が流れ込んでくる。
レイヴンに愛していると告げられたこと、用意されていた贈り物。
一緒に舞踏会に出て、エミリーとジョッシュの不貞を知ったこと。それから侯爵邸へ行き、デミオンとアンジュを処罰して……。
アリシアもレイヴンを愛していると気がついた。
それからの想いが通じ合い幸せだった日々。
だけどアリシアが懐妊することはなく、側妃を求める声が大きくなって――。
「いやああぁっ!!」
すべて思い出した。
アダムがユニファを側妃として推薦すると知り、ジェーンに子を生んでもらおうと思いついた。
ジェーンにレイヴンの子を生むよう頼む為にキトラへ行き、そこで幸せそうなジェーンとノティスの姿を見た……。
あの時の、絶望した気持ちは覚えている。
だけどその後は……?
……思い出せない。
その時、バタバタと廊下を走る音がして、バンッ!と扉が開かれた。
オレリアとマリアンが飛び込んでくる。
「アリシアっ?!」
「お嬢様っ?!」
2人はアリシアの悲鳴を聞いて駆けつけてきたようだ。
そんな2人の姿を見て確信する。
「私は、……離縁された、のね。……これから修道院へ?」
一度王家へ嫁いだ娘が実家に戻されることはない。
例外として有り得るとすれば、離縁されて王太子宮から追い出された時。
何があったか思い出せないが、子の生めない正妃は邪魔になったのかもしれない。
通常であれば廃妃にされた後、そのまま離宮へ幽閉されるか修道院へ押し込められるかするはずだが、憐れに思ったレイヴンが温情を掛けてくれたのだろう。
それなら公爵領にある馴染みの修道院へ入ることができる。
悟ったようなアリシアに、オレリアとマリアンが目を見開いた。
「アリシア?!あなた、何を言って……っ!!いえ、それよりも正気に……っ?!」
「お嬢様っ!私がわかりますか?!私の名前は……っ?!」
「……マリアン、でしょう?」
なぜそんなことを訊かれるのか、不思議そうに首を傾げるアリシアに、オレリアとマリアンが嬉しそうに抱き着いた。
「良かった……っ!アリシア……っ!」
「お嬢様!心配したんですからね……っ!」
そう言って肩を震わす2人をアリシアは戸惑いながら見つめていた。
ゆらゆら波間を揺蕩っているような。
そんな心地良い世界から引き戻される感じがして、アリシアは目を開いた。
「ここは……?」
声に出して驚いた。
自分の声とは思えない程掠れていて弱弱しい。もう何年も声を出していないような気さえする。
それにここはどこだろうか。
視界に映るのは見慣れた王太子宮の天蓋ではない。使われているシーツも毛布も違うようだ。
誘拐された……?
アリシアが最初に思ったのはそれだった。
だけど落ち着いて辺りを見渡してみると、飾られた小物やカーテンに見覚えがある。
ここは領地のマナーハウスではないだろうか。
え?どうして……?
私は嫁いだはず……。
アリシアは記憶の中を探る。
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何事もなく平穏に過ごしていたのに、転機が訪れたのは結婚して2年が経った時。
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ズキンッと胸が痛んでアリシアは胸を押さえた。
同時に様々な記憶が流れ込んでくる。
レイヴンに愛していると告げられたこと、用意されていた贈り物。
一緒に舞踏会に出て、エミリーとジョッシュの不貞を知ったこと。それから侯爵邸へ行き、デミオンとアンジュを処罰して……。
アリシアもレイヴンを愛していると気がついた。
それからの想いが通じ合い幸せだった日々。
だけどアリシアが懐妊することはなく、側妃を求める声が大きくなって――。
「いやああぁっ!!」
すべて思い出した。
アダムがユニファを側妃として推薦すると知り、ジェーンに子を生んでもらおうと思いついた。
ジェーンにレイヴンの子を生むよう頼む為にキトラへ行き、そこで幸せそうなジェーンとノティスの姿を見た……。
あの時の、絶望した気持ちは覚えている。
だけどその後は……?
……思い出せない。
その時、バタバタと廊下を走る音がして、バンッ!と扉が開かれた。
オレリアとマリアンが飛び込んでくる。
「アリシアっ?!」
「お嬢様っ?!」
2人はアリシアの悲鳴を聞いて駆けつけてきたようだ。
そんな2人の姿を見て確信する。
「私は、……離縁された、のね。……これから修道院へ?」
一度王家へ嫁いだ娘が実家に戻されることはない。
例外として有り得るとすれば、離縁されて王太子宮から追い出された時。
何があったか思い出せないが、子の生めない正妃は邪魔になったのかもしれない。
通常であれば廃妃にされた後、そのまま離宮へ幽閉されるか修道院へ押し込められるかするはずだが、憐れに思ったレイヴンが温情を掛けてくれたのだろう。
それなら公爵領にある馴染みの修道院へ入ることができる。
悟ったようなアリシアに、オレリアとマリアンが目を見開いた。
「アリシア?!あなた、何を言って……っ!!いえ、それよりも正気に……っ?!」
「お嬢様っ!私がわかりますか?!私の名前は……っ?!」
「……マリアン、でしょう?」
なぜそんなことを訊かれるのか、不思議そうに首を傾げるアリシアに、オレリアとマリアンが嬉しそうに抱き着いた。
「良かった……っ!アリシア……っ!」
「お嬢様!心配したんですからね……っ!」
そう言って肩を震わす2人をアリシアは戸惑いながら見つめていた。
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