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第2部 6章
46 報せ②
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扉を叩く音がしてレイヴンは顔を上げた。
フランクが扉を開くとレオナルドが入ってくる。
「人払いをお願いします」
その一言でアリシアのことだとすぐにわかった。
レイヴンが片手を上げるとフランクが部屋を出ていく。その背中を見送った後、レオナルドが文を取り出した。
「母から知らせがありました。アリシアが正気を取り戻したと」
「何っ?!」
レイヴンは差し出された文に慌てて目を走らせる。
マリアンからの文とは違って用件だけを伝える短い文だ。だけどそこにはアリシアが話をしていること、自ら食事を摂ったことが書かれていた。
「あ、アリシア……っ!アリシア……っ!!」
激情が込み上げ、涙が頬を伝う。
安堵と喜びと愛しさとこんなことになってしまった申し訳なさと……。
短い文を抱き締めるようにしてレイヴンは肩を震わせた。
そんなレイヴンを見守っていたレオナルドだが、言い辛そうに言葉を続ける。
「正気が戻ったとはいえ、アリシアはまだ衰弱しています。今しばらくあちらで静養を続けるべきかと」
「……わかっている。王都へ戻ればまた重圧を受けるだけだ。戻るのはせめて以前のように食事ができるようになってから……」
レイヴンは唇を噛みしめた。
本当は今すぐアリシアに会いに行きたい。
会って「愛している」と抱き締めたい。
だけどレイヴンが王宮を飛び出したりしたら、余計な憶測を生むことになる。アリシアがアシェントにいることが知られたりしたら大ごとだ。
アリシアの為にも今は騒ぎ立てないことが一番だった。
「……アリシアに文を書く。すぐに届けてくれ」
「はい。申し訳ございませんが、今日はこのまま失礼させていただき、あちらへ向かいたいと思います。文はわたしが持参しましょう」
「そうか……。よろしく頼む」
レオナルドに頼むのが一番安全で確実に届けられる。
それがわかっているのに、アリシアに会いに行けるレオナルドが羨ましくて妬ましかった。
「アリシアに愛していると伝えて欲しい」
レイヴンが文を託すと、レオナルドは頷いてすぐに部屋を出ていった。
レオナルドがいなくなると、レイヴンはもう一度オレリアからの文に目を通す。
アリシアはキトラから戻った後のことをあまり覚えていないようだ。具合が悪く、苦しんでいた時のことは思い出さなくても良い。
今はまだ体力が落ちているので長く起きていられないのだろう。
文を送ってもすぐには読めないかもしれない。返事を書くことも……。
そうわかっていても、レイヴンは文を書くことを止められなかった。
それだけがアリシアと繋がっていられる唯一の方法なのだ。
「愛している、アリシア。アリシアに会いたい……」
レイヴンはそう呟くと、握り締めた文にそっと口づけた。
引き出しを開け、丁寧にしまい込む。この引き出しは二重底になっていて、重要な書類を隠せるようになっている。
本当はアリシアの所在地を示すものはすべて焼いてしまった方が良い。マリアンからの文は、目を通した後すべて燃やしてしまった。
だけどこの文だけは、どうしても火をつける気になれなかった。
アリシアがこのまま元気になったとしても、問題が解決したわけではない。
すべて振り出しに戻っただけだ。
貴族たちは世継ぎを求め続け、側妃を娶るよう求め続ける。
解決する為にはレイヴンが側妃を迎えるか、ジェイにアリシアを託すか、それともレイヴンが王太子位を降りるのか……。
答えはひとつしかないように思えた。
フランクが扉を開くとレオナルドが入ってくる。
「人払いをお願いします」
その一言でアリシアのことだとすぐにわかった。
レイヴンが片手を上げるとフランクが部屋を出ていく。その背中を見送った後、レオナルドが文を取り出した。
「母から知らせがありました。アリシアが正気を取り戻したと」
「何っ?!」
レイヴンは差し出された文に慌てて目を走らせる。
マリアンからの文とは違って用件だけを伝える短い文だ。だけどそこにはアリシアが話をしていること、自ら食事を摂ったことが書かれていた。
「あ、アリシア……っ!アリシア……っ!!」
激情が込み上げ、涙が頬を伝う。
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短い文を抱き締めるようにしてレイヴンは肩を震わせた。
そんなレイヴンを見守っていたレオナルドだが、言い辛そうに言葉を続ける。
「正気が戻ったとはいえ、アリシアはまだ衰弱しています。今しばらくあちらで静養を続けるべきかと」
「……わかっている。王都へ戻ればまた重圧を受けるだけだ。戻るのはせめて以前のように食事ができるようになってから……」
レイヴンは唇を噛みしめた。
本当は今すぐアリシアに会いに行きたい。
会って「愛している」と抱き締めたい。
だけどレイヴンが王宮を飛び出したりしたら、余計な憶測を生むことになる。アリシアがアシェントにいることが知られたりしたら大ごとだ。
アリシアの為にも今は騒ぎ立てないことが一番だった。
「……アリシアに文を書く。すぐに届けてくれ」
「はい。申し訳ございませんが、今日はこのまま失礼させていただき、あちらへ向かいたいと思います。文はわたしが持参しましょう」
「そうか……。よろしく頼む」
レオナルドに頼むのが一番安全で確実に届けられる。
それがわかっているのに、アリシアに会いに行けるレオナルドが羨ましくて妬ましかった。
「アリシアに愛していると伝えて欲しい」
レイヴンが文を託すと、レオナルドは頷いてすぐに部屋を出ていった。
レオナルドがいなくなると、レイヴンはもう一度オレリアからの文に目を通す。
アリシアはキトラから戻った後のことをあまり覚えていないようだ。具合が悪く、苦しんでいた時のことは思い出さなくても良い。
今はまだ体力が落ちているので長く起きていられないのだろう。
文を送ってもすぐには読めないかもしれない。返事を書くことも……。
そうわかっていても、レイヴンは文を書くことを止められなかった。
それだけがアリシアと繋がっていられる唯一の方法なのだ。
「愛している、アリシア。アリシアに会いたい……」
レイヴンはそう呟くと、握り締めた文にそっと口づけた。
引き出しを開け、丁寧にしまい込む。この引き出しは二重底になっていて、重要な書類を隠せるようになっている。
本当はアリシアの所在地を示すものはすべて焼いてしまった方が良い。マリアンからの文は、目を通した後すべて燃やしてしまった。
だけどこの文だけは、どうしても火をつける気になれなかった。
アリシアがこのまま元気になったとしても、問題が解決したわけではない。
すべて振り出しに戻っただけだ。
貴族たちは世継ぎを求め続け、側妃を娶るよう求め続ける。
解決する為にはレイヴンが側妃を迎えるか、ジェイにアリシアを託すか、それともレイヴンが王太子位を降りるのか……。
答えはひとつしかないように思えた。
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