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第2部 6章
53 再会②
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「……レイヴン様?」
飛び込んできたレイヴンにアリシアは驚いた。
レオナルドが王都へ報せを出したことは知っていたが、それからまだ3日しか経っていない。報せが着いてすぐに飛び出してきたとしても早すぎる。
それにレイヴンは王太子だ。アリシアの懐妊が伝われば何らかの指示があると思っていたが、まさか本人がやって来るとは思わなかった。
「アリシア!会いたかったよ!!」
戸惑うアリシアには気づかない様子で、ベッドサイドまで駆けてきたレイヴンはアリシアを抱き締める。
「良かった……。本当に良かった……」と繰り返すレイヴンの肩は震えていた。
その声や涙からどれだけレイヴンがアリシアを心配していたのか伝わってくる。
それにアリシアを抱き締めるレイヴンの腕は随分細くなってしまっていた。すっかりやつれてしまった頬からも、どれだけ心労を掛けてしまったのか察せられる。
「ご心配を、お掛けしました……」
アリシアがレイヴンの背中へ腕をまわしてそう言うと、レイヴンが大きく首を振る。
そのまま2人でしばらく抱き合っていた。
どれくらいそうしていただろうか。恐らくほんの短い間だろう。
寝室の入り口からレオナルドの落ち着いた声がする。
「1週間。殿下の不在を誤魔化せるのはそれが限界でしょう。5日後には王宮へお戻りください」
「……ありがとう」
レイヴンがそう言うと、レオナルドは軽く肩を竦めて部屋を出ていった。
レオナルドもこれから忙しくなる。懐妊がわかった以上、アリシアは王都へ戻らなくてはならない。
王領にいるはずのアリシアをどうやって王都へ戻すのか、国王やアダムと話し合わなくてはならない。
だけどその前に。
もう少しだけレイヴンと抱き合っていたいとアリシアは思った。
「……こちらへいらっしゃって下さい」
アリシアがベッドの中へ入るよう促すとレイヴンがおずおずと入ってくる。
勢いで駆けこんできた時は気にならなったようだが、部屋の中で控えているのは公爵家の侍女たちだ。レイヴンを目の敵にしているマリアンもいる。
その中で王太子宮と同じ様に振舞うのは気が引けるようだ。実際マリアンは渋い顔をしている。
「まだあまり具合が良くない……?」
レイヴンが心配そうにアリシアの頬に触れ、膨らみだした腹に触れる。
アリシアがベッドに入っているから具合が悪いと思ったようだ。アリシアはレイヴンの手の上に手を重ねてふわりと微笑む。
「もう大丈夫ですわ。ただ先生からよく休息を取るよう言われているので、お昼寝をするところだったのです」
「そうか……。ごめん、邪魔をしちゃったね」
アリシアは静かに首を振る。
この1年で今が一番穏やかな気持ちかもしれない。
「来て下さり、とても嬉しいです。私も、お会いしたかった……」
「アリシア……っ!!」
アリシアが素直に気持ちを口にするのはあまりないことだ。
特に最近は本音を告げるとレイヴンの負担になるばかりなので努めて口を噤んでいた。
レイヴンもそれを感じ取っていたようで、ぎゅっと抱き締められる。
「レイヴン様も一緒にお昼寝しましょう……?」
レイヴンの胸に頬を押し当てながらそう言うと、頷きが返ってくる。
ベッドへ横になると、いつもの様に抱き締められた。
レイヴンは眠りに落ちるまでアリシアの腹を撫でていた。
飛び込んできたレイヴンにアリシアは驚いた。
レオナルドが王都へ報せを出したことは知っていたが、それからまだ3日しか経っていない。報せが着いてすぐに飛び出してきたとしても早すぎる。
それにレイヴンは王太子だ。アリシアの懐妊が伝われば何らかの指示があると思っていたが、まさか本人がやって来るとは思わなかった。
「アリシア!会いたかったよ!!」
戸惑うアリシアには気づかない様子で、ベッドサイドまで駆けてきたレイヴンはアリシアを抱き締める。
「良かった……。本当に良かった……」と繰り返すレイヴンの肩は震えていた。
その声や涙からどれだけレイヴンがアリシアを心配していたのか伝わってくる。
それにアリシアを抱き締めるレイヴンの腕は随分細くなってしまっていた。すっかりやつれてしまった頬からも、どれだけ心労を掛けてしまったのか察せられる。
「ご心配を、お掛けしました……」
アリシアがレイヴンの背中へ腕をまわしてそう言うと、レイヴンが大きく首を振る。
そのまま2人でしばらく抱き合っていた。
どれくらいそうしていただろうか。恐らくほんの短い間だろう。
寝室の入り口からレオナルドの落ち着いた声がする。
「1週間。殿下の不在を誤魔化せるのはそれが限界でしょう。5日後には王宮へお戻りください」
「……ありがとう」
レイヴンがそう言うと、レオナルドは軽く肩を竦めて部屋を出ていった。
レオナルドもこれから忙しくなる。懐妊がわかった以上、アリシアは王都へ戻らなくてはならない。
王領にいるはずのアリシアをどうやって王都へ戻すのか、国王やアダムと話し合わなくてはならない。
だけどその前に。
もう少しだけレイヴンと抱き合っていたいとアリシアは思った。
「……こちらへいらっしゃって下さい」
アリシアがベッドの中へ入るよう促すとレイヴンがおずおずと入ってくる。
勢いで駆けこんできた時は気にならなったようだが、部屋の中で控えているのは公爵家の侍女たちだ。レイヴンを目の敵にしているマリアンもいる。
その中で王太子宮と同じ様に振舞うのは気が引けるようだ。実際マリアンは渋い顔をしている。
「まだあまり具合が良くない……?」
レイヴンが心配そうにアリシアの頬に触れ、膨らみだした腹に触れる。
アリシアがベッドに入っているから具合が悪いと思ったようだ。アリシアはレイヴンの手の上に手を重ねてふわりと微笑む。
「もう大丈夫ですわ。ただ先生からよく休息を取るよう言われているので、お昼寝をするところだったのです」
「そうか……。ごめん、邪魔をしちゃったね」
アリシアは静かに首を振る。
この1年で今が一番穏やかな気持ちかもしれない。
「来て下さり、とても嬉しいです。私も、お会いしたかった……」
「アリシア……っ!!」
アリシアが素直に気持ちを口にするのはあまりないことだ。
特に最近は本音を告げるとレイヴンの負担になるばかりなので努めて口を噤んでいた。
レイヴンもそれを感じ取っていたようで、ぎゅっと抱き締められる。
「レイヴン様も一緒にお昼寝しましょう……?」
レイヴンの胸に頬を押し当てながらそう言うと、頷きが返ってくる。
ベッドへ横になると、いつもの様に抱き締められた。
レイヴンは眠りに落ちるまでアリシアの腹を撫でていた。
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