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第2部 6章
75 誕生祝い
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子はクロウと名付けられた。
アリシアが自室へ戻るのと同時に子ども部屋へ移される。
主としてクロウの面倒を見るのは慣例に従い乳母である。レイヴンと2人で審議を重ねに重ねてルクセンヌ伯爵夫人を乳母に任命していた。
「まあ、なんと愛らしい王子様ですこと」
初めてクロウを見たルクセンヌ伯爵夫人は顔を綻ばせた。
クロウは栗色の髪に緑色の目をしている。ルトビア公爵家の血筋の色だ。だけど目元や鼻の形はレイヴンにそっくりだった。「僕と同じ色なのに、殿下にそっくりなお顔とは……」とレオナルドが複雑な顔をした程である。
ただレイヴンもアリシアも整った顔をしているので、どちらに似たとしても可愛い顔立ちになるのは間違いなかった。
王宮ではクロウが生まれた翌日から三日三晩舞踏会が開かれる。
これは王妃と王太子妃、所謂正妃が子を生んだ時の慣例で、貴族たちはそろそろかと、普段は領地にいる者も王都へ出てきて報せを待っていた。
当然子を生んだばかりのアリシアは出席しないが、レイヴンは毎夜出席し、貴族たちの祝福を受けるのだ。
アリシアやクロウの傍を離れたがらないレイヴンは、行きたくないと駄々をこねる。
だけどそうして貴族たちとの関係を円滑に保つのも仕事のひとつだ。その貴族たちはいずれクロウを引き立ててくれるのだから、その土台を整えるのは親の務めだろう。
「いってらっしゃいませ、レイヴン様」
「……行ってくる。できるだけ早く戻るよ」
美しく身なりを整えながら、とぼとぼ出ていく背中をアリシアは苦笑して見送った。
華やかな舞踏会へ出るのに、アリシアやクロウがいないことが淋しくて仕方ないらしい。もう3日目になるのだから、そろそろ慣れて欲しいものだ。
1人になったアリシアは執務机へ向かった。
レイヴンがいるとベッドから出してもらえず、やるべきことに手が付かない。
昨日まではそれも有り難かったが、そろそろ少しは動きたい。
「さあ、今の内に礼状を書いてしまいましょう」
出産した日から続々と祝いの品が届いている。品物自体はレイヴンと一緒に包みを開けて中身を確認しているが、礼状を書くのはアリシアの仕事だ。レイヴンは舞踏会で顔を合わせた時に直接礼を伝えているだろう。
同じようにルトビア公爵家にも祝いの品が届いているはずで、届いた品の確認と礼状の手配、それに舞踏会と忙しく、この3日は両親や兄の姿を見ていなかった。
出産直後なのは皆わかっているので急ぎの仕事ではない。
親しい人以外は侍女たちに代筆を頼んでいる。
だけどその代筆を割り振るのもアリシアの仕事なのだ。
「これが本日届いた品と貴族の一覧です」
「ありがとう。流石に数が減ってきたわね」
出産してから既に4日目である。
こういったものは、何を贈るかよりその早さに価値がある。
舞踏会も今日で終わりを迎えるし、贈り物が届くのも今日が最後になるだろう。
アリシアが見ている一覧の中には、キャンベル女侯爵とモルガン子爵の名前もあった。
2人は遅れて送って来たのではなく、毎日送ってきているのだ。
添えられたカードには、毎日何かを見る度にアリシアを思い出し、贈りたくなると書いてあった。2人からは明日からも何か届くかもしれない。
アリシアはクスッと笑うと2人の名前をそっと撫でた。
2人には当然アリシアが礼状を書く。
ただもう少し……。後になってから……。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
子の名前はどうしようかと思いましたが(考えてなかった)、鳥家族の後継者としてクロウになりました!
お父さんがレイヴン(大鴉)だから小鴉…(違う)、鴉(クロウ)です。
ただ大鴉と鴉の違いがいまいち…(おい)
アリシアが自室へ戻るのと同時に子ども部屋へ移される。
主としてクロウの面倒を見るのは慣例に従い乳母である。レイヴンと2人で審議を重ねに重ねてルクセンヌ伯爵夫人を乳母に任命していた。
「まあ、なんと愛らしい王子様ですこと」
初めてクロウを見たルクセンヌ伯爵夫人は顔を綻ばせた。
クロウは栗色の髪に緑色の目をしている。ルトビア公爵家の血筋の色だ。だけど目元や鼻の形はレイヴンにそっくりだった。「僕と同じ色なのに、殿下にそっくりなお顔とは……」とレオナルドが複雑な顔をした程である。
ただレイヴンもアリシアも整った顔をしているので、どちらに似たとしても可愛い顔立ちになるのは間違いなかった。
王宮ではクロウが生まれた翌日から三日三晩舞踏会が開かれる。
これは王妃と王太子妃、所謂正妃が子を生んだ時の慣例で、貴族たちはそろそろかと、普段は領地にいる者も王都へ出てきて報せを待っていた。
当然子を生んだばかりのアリシアは出席しないが、レイヴンは毎夜出席し、貴族たちの祝福を受けるのだ。
アリシアやクロウの傍を離れたがらないレイヴンは、行きたくないと駄々をこねる。
だけどそうして貴族たちとの関係を円滑に保つのも仕事のひとつだ。その貴族たちはいずれクロウを引き立ててくれるのだから、その土台を整えるのは親の務めだろう。
「いってらっしゃいませ、レイヴン様」
「……行ってくる。できるだけ早く戻るよ」
美しく身なりを整えながら、とぼとぼ出ていく背中をアリシアは苦笑して見送った。
華やかな舞踏会へ出るのに、アリシアやクロウがいないことが淋しくて仕方ないらしい。もう3日目になるのだから、そろそろ慣れて欲しいものだ。
1人になったアリシアは執務机へ向かった。
レイヴンがいるとベッドから出してもらえず、やるべきことに手が付かない。
昨日まではそれも有り難かったが、そろそろ少しは動きたい。
「さあ、今の内に礼状を書いてしまいましょう」
出産した日から続々と祝いの品が届いている。品物自体はレイヴンと一緒に包みを開けて中身を確認しているが、礼状を書くのはアリシアの仕事だ。レイヴンは舞踏会で顔を合わせた時に直接礼を伝えているだろう。
同じようにルトビア公爵家にも祝いの品が届いているはずで、届いた品の確認と礼状の手配、それに舞踏会と忙しく、この3日は両親や兄の姿を見ていなかった。
出産直後なのは皆わかっているので急ぎの仕事ではない。
親しい人以外は侍女たちに代筆を頼んでいる。
だけどその代筆を割り振るのもアリシアの仕事なのだ。
「これが本日届いた品と貴族の一覧です」
「ありがとう。流石に数が減ってきたわね」
出産してから既に4日目である。
こういったものは、何を贈るかよりその早さに価値がある。
舞踏会も今日で終わりを迎えるし、贈り物が届くのも今日が最後になるだろう。
アリシアが見ている一覧の中には、キャンベル女侯爵とモルガン子爵の名前もあった。
2人は遅れて送って来たのではなく、毎日送ってきているのだ。
添えられたカードには、毎日何かを見る度にアリシアを思い出し、贈りたくなると書いてあった。2人からは明日からも何か届くかもしれない。
アリシアはクスッと笑うと2人の名前をそっと撫でた。
2人には当然アリシアが礼状を書く。
ただもう少し……。後になってから……。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
子の名前はどうしようかと思いましたが(考えてなかった)、鳥家族の後継者としてクロウになりました!
お父さんがレイヴン(大鴉)だから小鴉…(違う)、鴉(クロウ)です。
ただ大鴉と鴉の違いがいまいち…(おい)
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