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第2部 6章
96 アリシアの後悔②
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「僕が何故来たのか……。言わなくてもわかるよね?」
レオナルドの言葉にアリシアは俯いた。
昨日レイヴンとあの話をした直後である。わからないはずがない。
だけどアリシアはその話をしたくなかった。
そんなアリシアの様子を見てレオナルドが溜息を吐く。
レオナルドもアリシアの気持ちをわかっているのだ。
「アリシアが後悔してること、僕は良くわかってる。ジェーンもわかっていると思うよ?」
「………………」
アリシアは俯いたまま応えない。
いや、応えることができなかった。
アリシアが後悔していること。そんなことはひとつしかない。
ジェーンにレイヴンの子を生んでもらおうとしていたことだ。
何故あんなことを思いついたのか、今となってはわからない。だけどあの時はそれが最良の方法だと……、それしかないと、思っていた。
アリシアはぶるりと体を震わせる。
あの時、レイヴンに側妃を薦める話が進んでいた。アダムがそれを口にすれば、もう止めることはできない。
レイヴンの隣に並ぶユニファを想像すれば今でも叫びそうになる。そんな姿をこれから先ずっと見続けることになるのなら、数回だけ……、ジェーンが身籠るまで我慢すれば、と思ったのだ。
だけど冷静になればわかる。
そんなことをして、ジェーンに何の利益があるのだろうか。
身体を傷つけ、人に知られることのできない子どもを生むだけである。夫となる相手には未経験ではなかったと知られるだろう。
その時ジェーンと夫の関係がどうなるかだなんて、アリシアは考えていなかった。
それに子どものこともそうだ。
アリシアはクロウをとても可愛いと思う。日々愛しさを感じている。
だけどアリシアの望みを叶えるのなら、こんな可愛い存在をジェーンから取り上げるのだ。そして取り上げたその宝を、アリシアはクロウのように愛せるだろうか。
ジェーンが生んだ子どもだと、――違う女が生んだ子どもだと、憎むことはなかっただろうか。
「……私はジェーンに酷いことをしようとしていました。ジェーンの友人だなんて、とても名乗れません……っ!」
ジェーンに二度と顔向けできない。
アリシアの胸を占める思いだ。
アリシアはジェーンとの関係に胡坐をかき、ジェーンの名誉も尊厳も踏みにじろうとしていた。
それは友人のすることではない。
あの時、アリシアはジェーンの友人でいる資格を失ったのだ。
「……だから文を書かないの?」
泣き崩れたアリシアをレオナルドが抱き寄せる。
そうして問い掛けられた言葉にアリシアはただ嗚咽を漏らすしかなかった。
ジェーンはこれまでと同じように親しみを込めた文を送ってくれている。
だけど聡いジェーンが何も気づかなかったはずがない。その優しさに甘えて、何もなかった振りをして返事を書くことなどできなかった。
そんなアリシアの態度はジェーンにも伝わっている。だから文の頻度が落ちているのだ。
こうして少しずつ疎遠になっていくのだろう。
有事の際、自分を犠牲にしようとする友人なんていない方が良い。
「それでもジェーンは、アリシアを友人だと思っていると思うよ?」
レオナルドの言葉にアリシアは首を振る。
そのまま何も言わずにただ泣き続けた。
レオナルドの言葉にアリシアは俯いた。
昨日レイヴンとあの話をした直後である。わからないはずがない。
だけどアリシアはその話をしたくなかった。
そんなアリシアの様子を見てレオナルドが溜息を吐く。
レオナルドもアリシアの気持ちをわかっているのだ。
「アリシアが後悔してること、僕は良くわかってる。ジェーンもわかっていると思うよ?」
「………………」
アリシアは俯いたまま応えない。
いや、応えることができなかった。
アリシアが後悔していること。そんなことはひとつしかない。
ジェーンにレイヴンの子を生んでもらおうとしていたことだ。
何故あんなことを思いついたのか、今となってはわからない。だけどあの時はそれが最良の方法だと……、それしかないと、思っていた。
アリシアはぶるりと体を震わせる。
あの時、レイヴンに側妃を薦める話が進んでいた。アダムがそれを口にすれば、もう止めることはできない。
レイヴンの隣に並ぶユニファを想像すれば今でも叫びそうになる。そんな姿をこれから先ずっと見続けることになるのなら、数回だけ……、ジェーンが身籠るまで我慢すれば、と思ったのだ。
だけど冷静になればわかる。
そんなことをして、ジェーンに何の利益があるのだろうか。
身体を傷つけ、人に知られることのできない子どもを生むだけである。夫となる相手には未経験ではなかったと知られるだろう。
その時ジェーンと夫の関係がどうなるかだなんて、アリシアは考えていなかった。
それに子どものこともそうだ。
アリシアはクロウをとても可愛いと思う。日々愛しさを感じている。
だけどアリシアの望みを叶えるのなら、こんな可愛い存在をジェーンから取り上げるのだ。そして取り上げたその宝を、アリシアはクロウのように愛せるだろうか。
ジェーンが生んだ子どもだと、――違う女が生んだ子どもだと、憎むことはなかっただろうか。
「……私はジェーンに酷いことをしようとしていました。ジェーンの友人だなんて、とても名乗れません……っ!」
ジェーンに二度と顔向けできない。
アリシアの胸を占める思いだ。
アリシアはジェーンとの関係に胡坐をかき、ジェーンの名誉も尊厳も踏みにじろうとしていた。
それは友人のすることではない。
あの時、アリシアはジェーンの友人でいる資格を失ったのだ。
「……だから文を書かないの?」
泣き崩れたアリシアをレオナルドが抱き寄せる。
そうして問い掛けられた言葉にアリシアはただ嗚咽を漏らすしかなかった。
ジェーンはこれまでと同じように親しみを込めた文を送ってくれている。
だけど聡いジェーンが何も気づかなかったはずがない。その優しさに甘えて、何もなかった振りをして返事を書くことなどできなかった。
そんなアリシアの態度はジェーンにも伝わっている。だから文の頻度が落ちているのだ。
こうして少しずつ疎遠になっていくのだろう。
有事の際、自分を犠牲にしようとする友人なんていない方が良い。
「それでもジェーンは、アリシアを友人だと思っていると思うよ?」
レオナルドの言葉にアリシアは首を振る。
そのまま何も言わずにただ泣き続けた。
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