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番外編2
レイヴンの心当たり
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マルグリットたちとのお茶会の日、アリシアはレイヴンと寝室で2人きりになると、早速お茶会で言われたことを話した。
これまで一人っ子だったクロウは、マーレットに両親の愛情を奪われたと感じて妬いているのだという。
「私たち、知らず知らずのうちにクロウに淋しい思いをさせていたのかもしれません」
アリシアが戸惑いながらそう言うと、レイヴンは顔を青褪めさせた。
レイヴンには心当たりがあったのだ。
「どうしよう。僕のせいだ……」
「レイヴン様?」
レイヴンも最近のクロウの様子には気がついていた。
以前はしなかったような後追いをしてアリシアにしがみついている。アリシアがクロウの元を離れ、マーレットの様子を見にベビーベッドへ近づくと、火が付いたように泣いていた。
だけど考えてみると、クロウが呼ぶのも、後を追うのもアリシアだけだ。
「クロウは最近、僕のことを呼んでくれない……。マーレットばかりを構っているから?」
確かに、レイヴンは子ども部屋へ入るとすぐにマーレットのところへ行っていた。
だけどそれはクロウが「かあちゃあ」とアリシアを呼ぶからだ。アリシアが傍へ行くから、自分は良いかと思っていた。
だけどもし、僕は呼ぶだけ無駄だと思ってるなら……。
嫌な考えが脳裏をよぎり、レイヴンは体を震わせる。
だけどレイヴンもクロウをまったく構っていないわけではないのだ。
アリシアがマーレットのところへ行く時は、代わってクロウのところへ来ている。アリシアを呼んで泣き叫ぶクロウを、抱いて宥めるのが役目になっていた。
だけどクロウは、レイヴンが抱き締めても「いやいや」と身を捩り、アリシアの後を追おうとする。
「父様がいるから良いだろう?」と言っても聞いてくれなくなった。
思えばあの可愛い声で、最後に「とおちゃあ」と呼んでくれたのはいつだっただろうか。
「大丈夫ですわ。レイヴン様はクロウを愛しておられます。その愛情はクロウにもちゃんと伝わっているでしょう」
体を震わせるレイヴンの背中をアリシアが優しく撫でた。
アリシアは子に無関心な…、むしろ嫌悪感を持つ父親を知っている。
デミオンはジェーンがどれだけ良い子に振舞っても邪険に追い払っていた。
それを思えば、クロウが泣いて我儘を言えるのはレイヴンが愛しているからだ。
どれだけ嫌がり、手を振り払ってもレイヴンなら許してくれると本能で察しているのだろう。
「そう言ってもらえると嬉しいけど……。クロウに淋しい思いをさせたのは事実だ。なんとか信頼を取り戻したい」
そして、また「とおちゃあ」と呼んで欲しい。
項垂れるレイヴンにアリシアは微笑んだ。
「そうですわね……。幸い明日は休日ですし、接し方を変えてみても良いかもしれません」
今はまだ小さなすれ違いだとしても、このまま成長したら蟠りを残すこともある。
そうならない内に関係を修復した方が良いだろう。
アリシアがそう言うと、レイヴンは大きく頷いた。
これまで一人っ子だったクロウは、マーレットに両親の愛情を奪われたと感じて妬いているのだという。
「私たち、知らず知らずのうちにクロウに淋しい思いをさせていたのかもしれません」
アリシアが戸惑いながらそう言うと、レイヴンは顔を青褪めさせた。
レイヴンには心当たりがあったのだ。
「どうしよう。僕のせいだ……」
「レイヴン様?」
レイヴンも最近のクロウの様子には気がついていた。
以前はしなかったような後追いをしてアリシアにしがみついている。アリシアがクロウの元を離れ、マーレットの様子を見にベビーベッドへ近づくと、火が付いたように泣いていた。
だけど考えてみると、クロウが呼ぶのも、後を追うのもアリシアだけだ。
「クロウは最近、僕のことを呼んでくれない……。マーレットばかりを構っているから?」
確かに、レイヴンは子ども部屋へ入るとすぐにマーレットのところへ行っていた。
だけどそれはクロウが「かあちゃあ」とアリシアを呼ぶからだ。アリシアが傍へ行くから、自分は良いかと思っていた。
だけどもし、僕は呼ぶだけ無駄だと思ってるなら……。
嫌な考えが脳裏をよぎり、レイヴンは体を震わせる。
だけどレイヴンもクロウをまったく構っていないわけではないのだ。
アリシアがマーレットのところへ行く時は、代わってクロウのところへ来ている。アリシアを呼んで泣き叫ぶクロウを、抱いて宥めるのが役目になっていた。
だけどクロウは、レイヴンが抱き締めても「いやいや」と身を捩り、アリシアの後を追おうとする。
「父様がいるから良いだろう?」と言っても聞いてくれなくなった。
思えばあの可愛い声で、最後に「とおちゃあ」と呼んでくれたのはいつだっただろうか。
「大丈夫ですわ。レイヴン様はクロウを愛しておられます。その愛情はクロウにもちゃんと伝わっているでしょう」
体を震わせるレイヴンの背中をアリシアが優しく撫でた。
アリシアは子に無関心な…、むしろ嫌悪感を持つ父親を知っている。
デミオンはジェーンがどれだけ良い子に振舞っても邪険に追い払っていた。
それを思えば、クロウが泣いて我儘を言えるのはレイヴンが愛しているからだ。
どれだけ嫌がり、手を振り払ってもレイヴンなら許してくれると本能で察しているのだろう。
「そう言ってもらえると嬉しいけど……。クロウに淋しい思いをさせたのは事実だ。なんとか信頼を取り戻したい」
そして、また「とおちゃあ」と呼んで欲しい。
項垂れるレイヴンにアリシアは微笑んだ。
「そうですわね……。幸い明日は休日ですし、接し方を変えてみても良いかもしれません」
今はまだ小さなすれ違いだとしても、このまま成長したら蟠りを残すこともある。
そうならない内に関係を修復した方が良いだろう。
アリシアがそう言うと、レイヴンは大きく頷いた。
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