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番外編2
休日 2
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「あんね、あんね。こえね、こえね」
クロウが絨毯の上に広げた玩具をレイヴンに披露している。
最近お気に入りの宝物をレイヴンに教えているのだ。
レイヴンも嬉しそうに「うん、うん」と聞いている。
2人はこれまですれ違っていた時間を取り戻そうとするように一時も傍を離れない。
今は見守る側についているアリシアだが、クロウはアリシアを忘れた訳ではない。
時々アリシアの方を向いては「かあちゃあ!こえぇ」と玩具を差し出してくる。アリシアはそれを喜んで受け取るのだ。
この日は昼食も3人で摂ることにしていた。
アリシアの部屋に運び込まれた料理がテーブルに並べられていく。
現在は離乳食を始めているクロウだが、この日はよく食べた。ルクセンヌ伯爵夫人が口元へ運ぶ料理をパクパクと食べていく。マッシュポテトや柔らかく煮た人参もあった。
「あら、クロウ。たくさん食べられるのね。凄いわ」
「いっぱい食べるクロウはきっとすぐに大きくなるね。楽しみだなぁ」
レイヴンとアリシアがそう言って微笑むと、クロウは「あいっ!」と応えて右手に持ったフォークを振り上げる。
まだフォークを上手く使えないけれど、時々自分で差して口へ運ぶ。
だけど本当はクロウは人参が苦手なのだ。普段子ども部屋で食べる時は、ルクセンヌ伯爵夫人が口元へ運んでも嫌がって食べようとしないと聞いている。
それなのに今日は嫌がる素振りもなく食べているのは、たくさん食べるところを見せて両親に褒めて欲しいからである。
レイヴンとアリシアはそれを知っているから、何も知らないふりをして驚いてみせていた。
機嫌よく過ごしていたクロウだが、食事が済むと眠くなってしまったようだ。
レイヴンの膝に乗せられ絵本を読んでいたクロウの頭がゆらゆらと揺れている。ちょうど昼寝の時間である。
「お昼寝の時間ね、クロウ」
アリシアが優しく声をかけると、それに合わせてルクセンヌ伯爵夫人が近づいてくる。
ベビーベッドがあるのは子ども部屋だ。お昼寝をするには子ども部屋へ戻らなくてはならない。
「やっ!お昼寝ちないっ!」
ルクセンヌ伯爵夫人に抱き上げられたクロウは嫌がって抵抗をした。
「えむくない!えむくないのっ!」と言いながらレイヴンへ手を伸ばす。
だけどクロウが眠りそうになっていたのは間違いないのだ。それに決められたお昼寝の時間を変えることはできない。
「ねんねしておいで、クロウ。起きたらまた遊ぼう」
レイヴンがクロウの頭を優しく撫でながら言い聞かせる。
だけどクロウはレイヴンにしがみついて泣き出した。
「やぁなのぉ!ねんねちないっ!ちないのぉ!」
クロウを抱きとめたレイヴンは驚いてアリシアを見る。
アリシアは少しだけ困った顔をして、レイヴンを見返した。
アリシアにはわかっているのだ。
昼寝をする為には子ども部屋に戻らなくてはならない。
だけど子ども部屋にはマーレットがいる。
マーレットがいるところへ戻ってしまったら、またレイヴンを取られるのではないか。
その恐怖からクロウは子ども部屋へ戻るのを嫌がっているのだ。
「……それじゃあ、今日だけ特別に私たちの寝室でお昼寝しましょうか」
アリシアがそう言うと、泣いていたクロウが涙を止めてアリシアを見る。
そして嬉しそうに「おんとっ?!」と声を上げた。
普段子ども部屋で寝起きしているクロウが王太子夫妻の寝室へ入ったことはない。
特別に許された経験だった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
6章前半を改訂していると、クロウを母様大好きっ子にしてやろう!と思いましたが、レイヴンに大事にされているクロウを書くとギデオン(新作「影の王宮」の王太子)が更に気の毒になってきました…(/_;)
「影の王宮」読んでくださった方、お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます!
アルファでは好かれない話だろうから目標はお気に入り登録100くらいかな…と思っていたのに、一気に400超えて驚いています!
HOTランキングも32位までいきました!
本当にありがとうございました!!(≧▽≦)
クロウが絨毯の上に広げた玩具をレイヴンに披露している。
最近お気に入りの宝物をレイヴンに教えているのだ。
レイヴンも嬉しそうに「うん、うん」と聞いている。
2人はこれまですれ違っていた時間を取り戻そうとするように一時も傍を離れない。
今は見守る側についているアリシアだが、クロウはアリシアを忘れた訳ではない。
時々アリシアの方を向いては「かあちゃあ!こえぇ」と玩具を差し出してくる。アリシアはそれを喜んで受け取るのだ。
この日は昼食も3人で摂ることにしていた。
アリシアの部屋に運び込まれた料理がテーブルに並べられていく。
現在は離乳食を始めているクロウだが、この日はよく食べた。ルクセンヌ伯爵夫人が口元へ運ぶ料理をパクパクと食べていく。マッシュポテトや柔らかく煮た人参もあった。
「あら、クロウ。たくさん食べられるのね。凄いわ」
「いっぱい食べるクロウはきっとすぐに大きくなるね。楽しみだなぁ」
レイヴンとアリシアがそう言って微笑むと、クロウは「あいっ!」と応えて右手に持ったフォークを振り上げる。
まだフォークを上手く使えないけれど、時々自分で差して口へ運ぶ。
だけど本当はクロウは人参が苦手なのだ。普段子ども部屋で食べる時は、ルクセンヌ伯爵夫人が口元へ運んでも嫌がって食べようとしないと聞いている。
それなのに今日は嫌がる素振りもなく食べているのは、たくさん食べるところを見せて両親に褒めて欲しいからである。
レイヴンとアリシアはそれを知っているから、何も知らないふりをして驚いてみせていた。
機嫌よく過ごしていたクロウだが、食事が済むと眠くなってしまったようだ。
レイヴンの膝に乗せられ絵本を読んでいたクロウの頭がゆらゆらと揺れている。ちょうど昼寝の時間である。
「お昼寝の時間ね、クロウ」
アリシアが優しく声をかけると、それに合わせてルクセンヌ伯爵夫人が近づいてくる。
ベビーベッドがあるのは子ども部屋だ。お昼寝をするには子ども部屋へ戻らなくてはならない。
「やっ!お昼寝ちないっ!」
ルクセンヌ伯爵夫人に抱き上げられたクロウは嫌がって抵抗をした。
「えむくない!えむくないのっ!」と言いながらレイヴンへ手を伸ばす。
だけどクロウが眠りそうになっていたのは間違いないのだ。それに決められたお昼寝の時間を変えることはできない。
「ねんねしておいで、クロウ。起きたらまた遊ぼう」
レイヴンがクロウの頭を優しく撫でながら言い聞かせる。
だけどクロウはレイヴンにしがみついて泣き出した。
「やぁなのぉ!ねんねちないっ!ちないのぉ!」
クロウを抱きとめたレイヴンは驚いてアリシアを見る。
アリシアは少しだけ困った顔をして、レイヴンを見返した。
アリシアにはわかっているのだ。
昼寝をする為には子ども部屋に戻らなくてはならない。
だけど子ども部屋にはマーレットがいる。
マーレットがいるところへ戻ってしまったら、またレイヴンを取られるのではないか。
その恐怖からクロウは子ども部屋へ戻るのを嫌がっているのだ。
「……それじゃあ、今日だけ特別に私たちの寝室でお昼寝しましょうか」
アリシアがそう言うと、泣いていたクロウが涙を止めてアリシアを見る。
そして嬉しそうに「おんとっ?!」と声を上げた。
普段子ども部屋で寝起きしているクロウが王太子夫妻の寝室へ入ったことはない。
特別に許された経験だった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
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本当にありがとうございました!!(≧▽≦)
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