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番外編2
休日 4(終)
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おやつの後は庭園へ散歩に出ることにしていた。
散歩といってもクロウはまだ長く歩けないので、庭園の中程にある芝生までルクセンヌ伯爵夫人に抱かれて行く。そこでしばらく遊んだ後またルクセンヌ伯爵夫人に抱かれて戻るのだが、クロウはアリシアの部屋には戻らずそのまま子ども部屋へ帰ることになる。
子ども部屋へ戻るのを嫌がるだろうクロウを自然に部屋へ戻す作戦だった。
だけど「お散歩に行きましょうか」と言われたクロウはアリシアのドレスをぎゅっと掴み、ふるふると首を振る。
アリシアが「どうしたの?」と問い掛けても、しばらくそのままじっとしていた。
クロウは今日が特別な日だと気づいていた。
幼いのでうまく理解できていないが、ここはマーレットが生まれるまでよく来ていた部屋だ。マーレットが生まれてからは入れなくなってしまった。
今はクロウがいつも過ごしている部屋へ両親が会いに来てくれるけれど、一緒に遊んでいても2人の関心が自分よりもマーレットに向いている気がして毎日があまり楽しくなくなっていた。
だけど今日は違う。
レイヴンもアリシアもクロウだけを見てくれている。
クロウが呼び掛けると2人は優しく応えてくれたし、何度もぎゅっと抱き締めてくれた。何度も囁かれる「大好きだよ」の言葉に、心がポカポカして幸せな気持ちになった。
一人っ子に戻った気がして、嬉しくて楽しくてずっとこのままここにいたい。そんな気持ちになっていた。
だけど………。
幸せな気持ちに包まれているとだんだんマーレットのことが気になりだしてきた。
マーレットはここに呼ばれていないので、いつもの部屋で両親を待っているのかもしれない。
淋しい思いをしているのかと思うと、悪いことをしているような気持ちになった。
「クロウ?どうしたの?」
急に様子を変えたクロウにレイヴンが心配そうに腰を落とす。
優しく背中を擦られてもクロウは応えることができなかった。
両親がマーレットに会ってしまったら、また気持ちがマーレットへ向いてしまうかもしれない。
昨日までみたいに戻ってしまうのは絶対に嫌だ。
だけどマーレットが淋しいのも嫌だった。
「クロウ?」
レイヴンは優しく声を掛け続けている。
クロウはパッと振り返るとレイヴンに抱き着いた。
「おへや、かえりゅ」
「え?」
「マーットのとこ、いく」
「!!」
レイヴンはアリシアと顔を見合わせた。
クロウの様子からして本心から部屋に帰りたいわけでもマーレットに会いたいわけでもないのだろう。
それなのに部屋へ戻るというのは、1人残されたマーレットを気遣っているのではないだろうか。
レイヴンもアリシアも部屋に戻るのを嫌がるクロウをどうやって戻そうかと考えていたのに、クロウはちゃんと妹を思い遣ることができるのだ。
「……お部屋に戻っても良いのね?」
アリシアが問い掛けると、クロウはレイヴンの胸に顔を埋めたまま小さく頷いた。
「~~~~~~っ!!大好きだよ、クロウ!ずっとずっと大好きだからね!!」
しがみつくクロウのいじらしい姿に激情が込み上げてきてレイヴンは小さな体をぎゅっと抱き締める。
もう絶対に淋しい思いなんかさせない。
そう心に誓った。
そんな気持ちがクロウに伝わったのだろうか。
クロウが顔を上げてホッとしたように微笑む。
その笑顔を見たレイヴンは泣きそうになった。
そのままレイヴンがクロウを抱き上げ、子ども部屋へ向かう。
それ程距離が離れているわけではない。
3人だけで過ごす最後の時間を惜しむようにレイヴンはゆっくりと歩いた。
「あら、おかえりなさい。早かったのね」
子ども部屋ではマルグリットと国王が待っていた。
マーレットも起きているようでマルグリットに抱かれている。
両親や兄の姿に「だーっ!!」と声を上げて右手を振り回した。
「マーット!!」
床に降ろされたクロウがマーレットに向かって走っていく。
マーレットの小さな手に指を握らせると、何かと話し掛けだした。
レイヴンがすぐ傍まで近づき、床に腰を下ろす。クロウはマーレットと手を繋いだまま、レイヴンの膝に座った。
「どうやら落ち着いたみたいね」
「はい。ありがとうございました」
3人の様子を見ていたマルグリットが顔を綻ばせる。
クロウもマーレットを嫌っているわけではないのだ。
だけどもしあのまま時を過ごしていれば、嫌い合う未来があったかもしれない。
早めに対処できて良かったとアリシアは心から安堵していた。
この部屋で事情を知らないのは国王1人だけだ。
何かあったことは察しているだろう。
だけどそんなことは気にならない様子で戯れる孫たちをにこにこ眺めている。
平和な夕暮れだった。
散歩といってもクロウはまだ長く歩けないので、庭園の中程にある芝生までルクセンヌ伯爵夫人に抱かれて行く。そこでしばらく遊んだ後またルクセンヌ伯爵夫人に抱かれて戻るのだが、クロウはアリシアの部屋には戻らずそのまま子ども部屋へ帰ることになる。
子ども部屋へ戻るのを嫌がるだろうクロウを自然に部屋へ戻す作戦だった。
だけど「お散歩に行きましょうか」と言われたクロウはアリシアのドレスをぎゅっと掴み、ふるふると首を振る。
アリシアが「どうしたの?」と問い掛けても、しばらくそのままじっとしていた。
クロウは今日が特別な日だと気づいていた。
幼いのでうまく理解できていないが、ここはマーレットが生まれるまでよく来ていた部屋だ。マーレットが生まれてからは入れなくなってしまった。
今はクロウがいつも過ごしている部屋へ両親が会いに来てくれるけれど、一緒に遊んでいても2人の関心が自分よりもマーレットに向いている気がして毎日があまり楽しくなくなっていた。
だけど今日は違う。
レイヴンもアリシアもクロウだけを見てくれている。
クロウが呼び掛けると2人は優しく応えてくれたし、何度もぎゅっと抱き締めてくれた。何度も囁かれる「大好きだよ」の言葉に、心がポカポカして幸せな気持ちになった。
一人っ子に戻った気がして、嬉しくて楽しくてずっとこのままここにいたい。そんな気持ちになっていた。
だけど………。
幸せな気持ちに包まれているとだんだんマーレットのことが気になりだしてきた。
マーレットはここに呼ばれていないので、いつもの部屋で両親を待っているのかもしれない。
淋しい思いをしているのかと思うと、悪いことをしているような気持ちになった。
「クロウ?どうしたの?」
急に様子を変えたクロウにレイヴンが心配そうに腰を落とす。
優しく背中を擦られてもクロウは応えることができなかった。
両親がマーレットに会ってしまったら、また気持ちがマーレットへ向いてしまうかもしれない。
昨日までみたいに戻ってしまうのは絶対に嫌だ。
だけどマーレットが淋しいのも嫌だった。
「クロウ?」
レイヴンは優しく声を掛け続けている。
クロウはパッと振り返るとレイヴンに抱き着いた。
「おへや、かえりゅ」
「え?」
「マーットのとこ、いく」
「!!」
レイヴンはアリシアと顔を見合わせた。
クロウの様子からして本心から部屋に帰りたいわけでもマーレットに会いたいわけでもないのだろう。
それなのに部屋へ戻るというのは、1人残されたマーレットを気遣っているのではないだろうか。
レイヴンもアリシアも部屋に戻るのを嫌がるクロウをどうやって戻そうかと考えていたのに、クロウはちゃんと妹を思い遣ることができるのだ。
「……お部屋に戻っても良いのね?」
アリシアが問い掛けると、クロウはレイヴンの胸に顔を埋めたまま小さく頷いた。
「~~~~~~っ!!大好きだよ、クロウ!ずっとずっと大好きだからね!!」
しがみつくクロウのいじらしい姿に激情が込み上げてきてレイヴンは小さな体をぎゅっと抱き締める。
もう絶対に淋しい思いなんかさせない。
そう心に誓った。
そんな気持ちがクロウに伝わったのだろうか。
クロウが顔を上げてホッとしたように微笑む。
その笑顔を見たレイヴンは泣きそうになった。
そのままレイヴンがクロウを抱き上げ、子ども部屋へ向かう。
それ程距離が離れているわけではない。
3人だけで過ごす最後の時間を惜しむようにレイヴンはゆっくりと歩いた。
「あら、おかえりなさい。早かったのね」
子ども部屋ではマルグリットと国王が待っていた。
マーレットも起きているようでマルグリットに抱かれている。
両親や兄の姿に「だーっ!!」と声を上げて右手を振り回した。
「マーット!!」
床に降ろされたクロウがマーレットに向かって走っていく。
マーレットの小さな手に指を握らせると、何かと話し掛けだした。
レイヴンがすぐ傍まで近づき、床に腰を下ろす。クロウはマーレットと手を繋いだまま、レイヴンの膝に座った。
「どうやら落ち着いたみたいね」
「はい。ありがとうございました」
3人の様子を見ていたマルグリットが顔を綻ばせる。
クロウもマーレットを嫌っているわけではないのだ。
だけどもしあのまま時を過ごしていれば、嫌い合う未来があったかもしれない。
早めに対処できて良かったとアリシアは心から安堵していた。
この部屋で事情を知らないのは国王1人だけだ。
何かあったことは察しているだろう。
だけどそんなことは気にならない様子で戯れる孫たちをにこにこ眺めている。
平和な夕暮れだった。
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