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番外編2
今日の佳き日に 2
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「……あいつは何をしているんだ?」
奥のソファに座り、アリシアたちを見ていた国王が複雑そうな顔をする。
男親として、無意味な嫉妬をする息子に思うことがあるようだ。
だけど隣に座ったマルグリットは楽しそうにコロコロ笑う。
「良いじゃありませんか。楽しそうですわ」
国王よりも子どもたちと過ごす時間の多いマルグリットは、気持ちを素直に伝えられず空回りばかりしていたレイヴンを見てきている。気持ちが通じ合ったからこそ苦しんだアリシアのことも。
それを思えば、ああして意味のないことで怒ったり笑ったりできているのは幸せなことだ。
今日はジェーンとノティスの結婚式なので、ノティスの親である国王とマルグリットも当然式に参列する。
2人がこの教会で式を挙げることになったのも、実はマルグリットの尽力があったからだ。
王族の結婚ということで、国王もマルグリットも初めからこの教会を勧めていた。
だけどこの結婚はキャンベル侯爵家の婿取りである。準備を主体で行うのは侯爵家だ。少し持ち直したとはいえ、侯爵家の経済状況を思えばこの教会を使うのは贅沢すぎる。
ジェーンは2人の提案を有り難く思いながら、丁重に断っていた。
以前の教会でも侯爵家としては十分なのだ。
だけどそんなジェーンをマルグリットが説得した。
費用の面は祝儀という名目で王家が負担できる。それよりもこの教会で式を挙げることで侯爵家に箔をつけることができるし、ノティスが国王に大切にされていると印象づけることもできる。その方が侯爵家にとって有益でしょう。
そう言われたジェーンは熟考した。
王家はありとあらゆる手段でキャンベル侯爵家の名誉を取り戻そうとしてくれている。それとは別にマルグリットがジェーン自身を思い遣ってくれているところもある。
それに何よりマルグリットは、ノティスに愛していると伝えたいのだ。
決して他の王子・王女と差をつけることなくノティスのことを愛していると。
それに思い当ったジェーンは申し出を受けることにした。
未だマルグリットに遠慮したところのあるノティスに、愛されていると実感して欲しい。
「もう少しで2人の準備も終わるでしょう。優しい言葉を掛けてあげて下さいね」
新郎と新婦の準備が終われば少しだけ控室で話すことができる。
式の前に異性と会うことはできないので、国王はノティスの控室へ行き、マルグリットはジェーンのところへ行く。
国王が子どもたちを愛していることは知っているが、今日だけはいつもより何倍も優しくしてあげて欲しいと思う。
「わかっている。だがノティスもそなたに愛されていることは理解しているよ」
国王の言葉にマルグリットは少し笑う。
ノティスは勿論マルグリットに愛されているとわかっているだろう。
だけど実母からの愛情は別物だ。
今日の式のことは、国王からノティスの実母である側妃へ文で知らせていた。
だけど側妃から返ってきたのはノティスが王籍を離れて侯爵家へ入ることへの恨み言だけで、祝いの言葉も息子の幸せを願う言葉も書かれていなかった。
国王の中には側妃の幽閉を一時的に解き、式に参列させようかという気持ちもあったが、あの文でそんな気持ちは吹き飛んでしまった。
国王は文を握り潰し、このことはノティスの耳に入っていないはずだが、どこからか聞いてしまったのか最近少し落ち込んでいたのだ。
ノティス自身に同様の文が届いたのかもしれない。
「お2人の準備が整いました。どうぞ控室へお越しください」
しばらくするとキャンベル侯爵家の侍女が準備の完了を告げに来た。
久しぶりに会うマーサにアリシアの頬が緩む。
普段国王や王妃に接することなどないマーサは緊張しているのだろうが、侯爵家の侍女としてそんなところは見せないマーサが誇らしい。
マーサはアリシアと視線が合うと少しだけ笑みを見せた。
マーサもこの日を心待ちにしていたのだ。
奥のソファに座り、アリシアたちを見ていた国王が複雑そうな顔をする。
男親として、無意味な嫉妬をする息子に思うことがあるようだ。
だけど隣に座ったマルグリットは楽しそうにコロコロ笑う。
「良いじゃありませんか。楽しそうですわ」
国王よりも子どもたちと過ごす時間の多いマルグリットは、気持ちを素直に伝えられず空回りばかりしていたレイヴンを見てきている。気持ちが通じ合ったからこそ苦しんだアリシアのことも。
それを思えば、ああして意味のないことで怒ったり笑ったりできているのは幸せなことだ。
今日はジェーンとノティスの結婚式なので、ノティスの親である国王とマルグリットも当然式に参列する。
2人がこの教会で式を挙げることになったのも、実はマルグリットの尽力があったからだ。
王族の結婚ということで、国王もマルグリットも初めからこの教会を勧めていた。
だけどこの結婚はキャンベル侯爵家の婿取りである。準備を主体で行うのは侯爵家だ。少し持ち直したとはいえ、侯爵家の経済状況を思えばこの教会を使うのは贅沢すぎる。
ジェーンは2人の提案を有り難く思いながら、丁重に断っていた。
以前の教会でも侯爵家としては十分なのだ。
だけどそんなジェーンをマルグリットが説得した。
費用の面は祝儀という名目で王家が負担できる。それよりもこの教会で式を挙げることで侯爵家に箔をつけることができるし、ノティスが国王に大切にされていると印象づけることもできる。その方が侯爵家にとって有益でしょう。
そう言われたジェーンは熟考した。
王家はありとあらゆる手段でキャンベル侯爵家の名誉を取り戻そうとしてくれている。それとは別にマルグリットがジェーン自身を思い遣ってくれているところもある。
それに何よりマルグリットは、ノティスに愛していると伝えたいのだ。
決して他の王子・王女と差をつけることなくノティスのことを愛していると。
それに思い当ったジェーンは申し出を受けることにした。
未だマルグリットに遠慮したところのあるノティスに、愛されていると実感して欲しい。
「もう少しで2人の準備も終わるでしょう。優しい言葉を掛けてあげて下さいね」
新郎と新婦の準備が終われば少しだけ控室で話すことができる。
式の前に異性と会うことはできないので、国王はノティスの控室へ行き、マルグリットはジェーンのところへ行く。
国王が子どもたちを愛していることは知っているが、今日だけはいつもより何倍も優しくしてあげて欲しいと思う。
「わかっている。だがノティスもそなたに愛されていることは理解しているよ」
国王の言葉にマルグリットは少し笑う。
ノティスは勿論マルグリットに愛されているとわかっているだろう。
だけど実母からの愛情は別物だ。
今日の式のことは、国王からノティスの実母である側妃へ文で知らせていた。
だけど側妃から返ってきたのはノティスが王籍を離れて侯爵家へ入ることへの恨み言だけで、祝いの言葉も息子の幸せを願う言葉も書かれていなかった。
国王の中には側妃の幽閉を一時的に解き、式に参列させようかという気持ちもあったが、あの文でそんな気持ちは吹き飛んでしまった。
国王は文を握り潰し、このことはノティスの耳に入っていないはずだが、どこからか聞いてしまったのか最近少し落ち込んでいたのだ。
ノティス自身に同様の文が届いたのかもしれない。
「お2人の準備が整いました。どうぞ控室へお越しください」
しばらくするとキャンベル侯爵家の侍女が準備の完了を告げに来た。
久しぶりに会うマーサにアリシアの頬が緩む。
普段国王や王妃に接することなどないマーサは緊張しているのだろうが、侯爵家の侍女としてそんなところは見せないマーサが誇らしい。
マーサはアリシアと視線が合うと少しだけ笑みを見せた。
マーサもこの日を心待ちにしていたのだ。
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