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番外編2
今日の佳き日に 1
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お久しぶりです<(_ _)>
このお話では少し時間が巻き戻ります。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ある晴れた秋の日、王都のある教会に華やかに装った人々が集まっていた。
皆にこやかな表情で式の開始を待っている。その様子を目にするだけでアリシアは泣いてしまいそうだ。
「まだ泣くのは早いよ、アリシア様」
早々に目を潤ませるアリシアにレオナルドが苦笑する。
だけどその表情には喜びが溢れていて、レオナルドも同じ気持ちなのだとわかる。
アリシアたちがいるのは教会内に設けられた王家の者の控室だ。今日の主役は他にいるので教会内を歩きまわって注目を浴びるわけにもいかない。だからアリシアたちは式が始まる直前までここで待機することになっている。
レオナルドはずっとここにいるわけではない。主催者側の人間として不備がないか教会内を見てまわり、時々控室の様子も覗きに来る。
国王はレオナルドの自由な出入りを許可していた。
この2人の兄妹にとって今日が特別な日であるとわかっているのだ。
「だってお兄様。こんなに素敵な教会で、あんなに沢山の人たちに祝福されて、ジェーンが結婚するなんて。なんて素晴らしいことでしょう」
アリシアが胸の前で両手を合わせ、感動を口にする。
堪えきれない涙がぽろりと一粒頬を伝った。
そうなのだ。これからここでジェーンとノティスの結婚式が行われる。
ジェーンが結婚式の準備をするのはこれで2回目だが、前回と比べて教会の格も参列者の数も桁違いだ。
以前の時もキャンベル侯爵家の体面を保つ為に王都にある壮大な教会で式を挙げることになっていた。侯爵家クラスなら十分な教会である。
だけどこの教会は王家の者が降嫁する時や、公爵家の婚姻でしか使われることがない。この教会で式を挙げること、それ自体がステータスなのだ。
それに参列者たちも、以前は生前のサンドラへ義理立てして出席する者や、後見のルトビア公爵家との繋がりを求める者ばかりだった。
本心からジェーンの結婚を祝福していた者などおらず、サンドラの死後、評判を落とし続けるキャンベル侯爵家と距離を置きたがっているのは明白だった。
だけど今日は、自ら道を切り開いて我が国初の女侯爵となったジェーンを称える者や、少しずつ改善している領地の経営状態を評価する者が、キャンベル侯爵家との繋がりを求めて出席している。
勿論中にはルトビア公爵家やアリシアたちとの繋がりを期待している者もいるだろうが、以前に比べるとずっと少なくなった。
それに何より嬉しいのは花婿であるノティスがジェーンと寄り添い、良い関係を築いていることだ。
ジェーンが1人で準備していた以前と違ってこの結婚式は2人で話し合いながら準備していた。
「そうだね。ジェーンは幸せになるよ。絶対に」
レオナルドがアリシアをふんわり抱き寄せる。
アリシアも結婚式に参列する為に美しく装っているのでドレスや髪形を崩さないよう気遣っているのだ。
そのまま互いに見つめ合い、幸せそうに微笑み合ったところで邪魔が入った。
レイヴンがアリシアの腰に手をまわし、少し強引に引き寄せたのだ。
「………駄目だよ、アリシア。あんまりレオにくっつかないで」
嫉妬を滲ませた顔と声音にアリシアがきょとんとした顔をする。
レオナルドは盛大に吹き出した。
「アリシアは僕の妹ですが?」
「僕の妻だ!!」
いつものやり取りである。
仲の良すぎる兄妹に嫉妬を隠さないレイヴンだったが、今日は2人にとって特別な日だとわかっているからこれでも耐えていたのだ。
それにレイヴンもジェーンを大切な友人だと思っているし、これからは義妹にもなる。
「今日が特別な日なのはわかってる。だけどやっぱり嫌なんだ」
ごめんね、と眉を下げたレイヴンがアリシアの額に口づける。
「まったく実の兄にまで嫉妬するんですからねぇ」とレオナルドが嘆いてみせた。
このお話では少し時間が巻き戻ります。
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ある晴れた秋の日、王都のある教会に華やかに装った人々が集まっていた。
皆にこやかな表情で式の開始を待っている。その様子を目にするだけでアリシアは泣いてしまいそうだ。
「まだ泣くのは早いよ、アリシア様」
早々に目を潤ませるアリシアにレオナルドが苦笑する。
だけどその表情には喜びが溢れていて、レオナルドも同じ気持ちなのだとわかる。
アリシアたちがいるのは教会内に設けられた王家の者の控室だ。今日の主役は他にいるので教会内を歩きまわって注目を浴びるわけにもいかない。だからアリシアたちは式が始まる直前までここで待機することになっている。
レオナルドはずっとここにいるわけではない。主催者側の人間として不備がないか教会内を見てまわり、時々控室の様子も覗きに来る。
国王はレオナルドの自由な出入りを許可していた。
この2人の兄妹にとって今日が特別な日であるとわかっているのだ。
「だってお兄様。こんなに素敵な教会で、あんなに沢山の人たちに祝福されて、ジェーンが結婚するなんて。なんて素晴らしいことでしょう」
アリシアが胸の前で両手を合わせ、感動を口にする。
堪えきれない涙がぽろりと一粒頬を伝った。
そうなのだ。これからここでジェーンとノティスの結婚式が行われる。
ジェーンが結婚式の準備をするのはこれで2回目だが、前回と比べて教会の格も参列者の数も桁違いだ。
以前の時もキャンベル侯爵家の体面を保つ為に王都にある壮大な教会で式を挙げることになっていた。侯爵家クラスなら十分な教会である。
だけどこの教会は王家の者が降嫁する時や、公爵家の婚姻でしか使われることがない。この教会で式を挙げること、それ自体がステータスなのだ。
それに参列者たちも、以前は生前のサンドラへ義理立てして出席する者や、後見のルトビア公爵家との繋がりを求める者ばかりだった。
本心からジェーンの結婚を祝福していた者などおらず、サンドラの死後、評判を落とし続けるキャンベル侯爵家と距離を置きたがっているのは明白だった。
だけど今日は、自ら道を切り開いて我が国初の女侯爵となったジェーンを称える者や、少しずつ改善している領地の経営状態を評価する者が、キャンベル侯爵家との繋がりを求めて出席している。
勿論中にはルトビア公爵家やアリシアたちとの繋がりを期待している者もいるだろうが、以前に比べるとずっと少なくなった。
それに何より嬉しいのは花婿であるノティスがジェーンと寄り添い、良い関係を築いていることだ。
ジェーンが1人で準備していた以前と違ってこの結婚式は2人で話し合いながら準備していた。
「そうだね。ジェーンは幸せになるよ。絶対に」
レオナルドがアリシアをふんわり抱き寄せる。
アリシアも結婚式に参列する為に美しく装っているのでドレスや髪形を崩さないよう気遣っているのだ。
そのまま互いに見つめ合い、幸せそうに微笑み合ったところで邪魔が入った。
レイヴンがアリシアの腰に手をまわし、少し強引に引き寄せたのだ。
「………駄目だよ、アリシア。あんまりレオにくっつかないで」
嫉妬を滲ませた顔と声音にアリシアがきょとんとした顔をする。
レオナルドは盛大に吹き出した。
「アリシアは僕の妹ですが?」
「僕の妻だ!!」
いつものやり取りである。
仲の良すぎる兄妹に嫉妬を隠さないレイヴンだったが、今日は2人にとって特別な日だとわかっているからこれでも耐えていたのだ。
それにレイヴンもジェーンを大切な友人だと思っているし、これからは義妹にもなる。
「今日が特別な日なのはわかってる。だけどやっぱり嫌なんだ」
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