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二話 出逢い
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「はぁ,はぁ,助けて!お父さんが,あかあ,さん,が,みお,が。」
海は助けを求めた。だが,必死に走ったためか,うまく呼吸ができず,過呼吸状態。
「おい!坊主!しっかりしろ!」
少し弱々しいが優しいこの男性の声が,遠ざかっているのを感じながら,海は気を失った。
「みお,行かないで,嫌だよ,お父さん,お母さん。」
海が泣きながらうなさていると,ふわっと頭にあったかくて優しい手が乗っかった。
「んっ。」
「おお!目が覚めたか,坊主!」
目が覚めると,海はベッドに横になっていた。
その隣では「良かった,良かった。」と嬉しそうに頷く四十代くらいの男性がいた。
「ここは?」
と海が聞くと,
「ここは僕の家だよ。」
そう男が答えた。
「おじさん誰?僕,なんでここにいるの?」
海がそう質問を投げかけると,少し驚いたように男性が答えた。
「僕は,武久弥(たけひさあつし)だよ。坊主,なんでここにいるのか覚えてないのか?」
「なん,で...。あ!そうだ,お母さんとお父さんが殺されて,澪まで殺されて,それで必死に逃げてきて。あ,あぁっ,あぁぁぁぁぁぁっ!」
海は泣きじゃくった。外の風の音など聞こえないくらい声を出して泣いた。そんな海を,弥は抱きしめて,「大丈夫。」「辛かったね。」と優しく声をかけてくれた。しばらくして,海は泣き止んだ。
「落ち着いたか?ゆっくりでいいから話してくれ。まず,坊主の名前を教えてくれ。」
そう聞かれて海は鼻をずびっとすすって,「海」
そう一言だけ言った。
「そうか,海か。じゃあ海,何があったか聞かせてくれないか?」
海はコクンと頷き,今日が誕生日だったことや,
ケーキを買いに行ったはずの両親が殺されたこと
自分を逃がすために犠牲になった澪のこと,そして家族を殺した男の事など全てを話た。
「そうか。まだ五歳なのに辛い思いをしたな。」
弥はまるで自分の事のように言った。
「そうだ!海!探偵は好きか?」
そう聞かれた時,家族を亡くしたショックで光が消えていた海の目に再び光が灯った。
「うん!好き!」
「そうか!実は僕,探偵なんだよ!」
「そーなの!」
海は興味津々に言った。
「そうだよ!海,探偵になりたくな」
「なりたい!!」
海は弥の話を最後まで聞かずに答えた。
「そうかそうか。よし!海,今日からここに住め!僕が立派な探偵にしてやる!」
弥は弱々しい声をこれでもかというくらいに張って嬉しそうに言った。
「いいの!やったぁー!」
いつの間にか海の顔には笑顔が戻っていた。
海は助けを求めた。だが,必死に走ったためか,うまく呼吸ができず,過呼吸状態。
「おい!坊主!しっかりしろ!」
少し弱々しいが優しいこの男性の声が,遠ざかっているのを感じながら,海は気を失った。
「みお,行かないで,嫌だよ,お父さん,お母さん。」
海が泣きながらうなさていると,ふわっと頭にあったかくて優しい手が乗っかった。
「んっ。」
「おお!目が覚めたか,坊主!」
目が覚めると,海はベッドに横になっていた。
その隣では「良かった,良かった。」と嬉しそうに頷く四十代くらいの男性がいた。
「ここは?」
と海が聞くと,
「ここは僕の家だよ。」
そう男が答えた。
「おじさん誰?僕,なんでここにいるの?」
海がそう質問を投げかけると,少し驚いたように男性が答えた。
「僕は,武久弥(たけひさあつし)だよ。坊主,なんでここにいるのか覚えてないのか?」
「なん,で...。あ!そうだ,お母さんとお父さんが殺されて,澪まで殺されて,それで必死に逃げてきて。あ,あぁっ,あぁぁぁぁぁぁっ!」
海は泣きじゃくった。外の風の音など聞こえないくらい声を出して泣いた。そんな海を,弥は抱きしめて,「大丈夫。」「辛かったね。」と優しく声をかけてくれた。しばらくして,海は泣き止んだ。
「落ち着いたか?ゆっくりでいいから話してくれ。まず,坊主の名前を教えてくれ。」
そう聞かれて海は鼻をずびっとすすって,「海」
そう一言だけ言った。
「そうか,海か。じゃあ海,何があったか聞かせてくれないか?」
海はコクンと頷き,今日が誕生日だったことや,
ケーキを買いに行ったはずの両親が殺されたこと
自分を逃がすために犠牲になった澪のこと,そして家族を殺した男の事など全てを話た。
「そうか。まだ五歳なのに辛い思いをしたな。」
弥はまるで自分の事のように言った。
「そうだ!海!探偵は好きか?」
そう聞かれた時,家族を亡くしたショックで光が消えていた海の目に再び光が灯った。
「うん!好き!」
「そうか!実は僕,探偵なんだよ!」
「そーなの!」
海は興味津々に言った。
「そうだよ!海,探偵になりたくな」
「なりたい!!」
海は弥の話を最後まで聞かずに答えた。
「そうかそうか。よし!海,今日からここに住め!僕が立派な探偵にしてやる!」
弥は弱々しい声をこれでもかというくらいに張って嬉しそうに言った。
「いいの!やったぁー!」
いつの間にか海の顔には笑顔が戻っていた。
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