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3巻
3-3
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さっきまで俺が座っていた辺りで睨み合っているのは、顔を真っ赤にした二人の女性。
背の高い金髪の樹霊族女性と赤髪の人間の少女――ティーリさんとフィアスである。
二人とも明らかに酔っ払っている。まさか、フィアスも飲んだのか!?
「何を言う。私は樹霊族の中では、一番若いのだぞ」
「でもやっぱりアルティリエさんの年齢って、私達人間からすると、おばあちゃん……ううん、もうご先祖様って感じですよー」
「はっはっは。それを言うならフィアスの年齢だと、私達樹霊族から見れば赤子だな。酒にしても、匂いを嗅いだだけでそんなになってしまうとは」
「別に赤ちゃんでもいいですよ、私は人間で年頃の年齢ですし。兄様と釣り合いが取れてるもん。お酒については、アルティリエさんだって初めてでしょ?」
よかった。フィアスは飲んでいないらしい。
でも……匂いを嗅ぐだけであんなになるとは。
やっぱりこの酒、ちょっとアルコール度数が高すぎるんじゃないか?
「私も人間で言えば、ちょうどアランくらいの年齢だ。十分釣り合いが取れている」
「あら? でもアルティリエさんは樹霊族じゃないですか」
「そういうフィアスは妹ではないか」
「……でも、アルティリエさんは、あまり胸がないですよね? 兄様はたぶん、胸の大きい人が好みなんじゃないかと思うんですけど」
「なっ!? そ、そういうフィアスこそ、ないではないか!」
「私はまだまだ子供ですもーん。これからきっと大きくなります。母様のように」
「くっ! 確かにマリア殿は……大きい……!」
「ふふふん。私、知ってますもん。兄様の目がヘラさんの大きな胸に釘づけになってるの」
「……ヘラとは、あの牛人の、城の使用人のことか」
……おい。
我が妹よ、何を言っている……?
いや、確かにヘラさんの爆乳には、何度か目を奪われたことはあったけど……って、ティーリさん、何、俯きながら自分の胸を揉んでいるんですか!?
「だから、私のほうが、兄様の好みの体型になれると思うんです」
「……だが、アランは私の脚を凝視していたことがあるぞ」
ちょちょちょ!?
今度はティーリさんが何か言い出したぞ!?
悪い予感しかしないんだけど!?
「あれはアランと私が出会った日のことだ。森の中の川を渡る際、私は水に濡れないよう靴を脱ぎ、服の裾をまくりあげたのだが、アランはしばらくの間私の脚に見入っていた」
「まさか……そんな!」
「胸はなくとも、私の脚はアランにとってそれほど魅力的だったのだろう」
「くっ! 確かに、スラッとした綺麗な脚です」
「ふふふ、そうだろう」
片足を伸ばして見せつけるティーリさんに、悔しそうに顔を歪めるフィアス。
いや、まじで何を張り合っているんだ。
というか、ですね。何だか周囲の視線が痛いんだけど。あれ絶対、「アランさんって、そういうのが好きなんだね~」とか言っているぞ。
……ほんとにもう、勘弁してください。
だけど、止めたくても止められない。
あの二人の間に入っていったら、思いっきり巻き込まれそうだ。
かといって、このまま静観していたら、事態が悪化するのは目に見えている。
誰か、誰か何とかしてください!
そんな願いを込め、思い切って周囲に視線を送るが――誰一人目を合わせてくれなかった。
セアドさん――にはそっぽを向かれた。……口笛がわざとらしい。
彼の恋人であるダーナさん――は、何やらセアドさんに詰問し始めたぞ? 大方、「男という奴は、皆大きな胸や綺麗な脚が好きなのか? そうなのか?」とか言っているのだろう。
そうだ! ルプスさん――だめだ、さっき別の席に置いてきたんだった。
あとは――グイくらいか……。
「アラン。グイも、あれ、飲んでいいか!?」
「ダメ! 絶対!」
ちょうど俺に気づいて近寄ってきたグイに言う。
「えー、グイも飲みたいぞ!」
酒を飲みたいなんて、だめに決まっている。
元ゴブリンだから人間とは年のとり方が違うのかもしれないが、グイは明らかに子供だ。
それに、これでグイまで酔ってしまったら、どうなるかわかったもんじゃない。
って、グイがどこからか持ってきたのは――酒……だと?
いつの間に!
「おい、グイ! 子供にゃまだ早ぇぞ? ぐいっと飲んだりしちゃいけねえよ! がははははは!」
ヴィルホさん! 寒い親父ギャグなんか言ってないで、本気でグイを止めてくださいよ!
笑顔のヴィルホさんの注意は当然届かず、グイが杯を口に近づける。
「グイ、だめだ!」
俺は慌ててその杯を奪う。
「アラン、グイは飲みたいぞ?」
「だめだってば!」
俺は杯をグイから遠いところに置いた。
「……兄様、そこにいたの?」
「……アラン、いつ戻ってきていたのだ?」
そして俺は捕まる。
フィアスと、ティーリさんに。
……そりゃ、近くでこんなに騒いでいて、見つからないわけがないよな。
「ねえ、兄様。私、聞きたいことがあるの」
「アラン。私も聞きたいことがあるのだが」
「な、何かな?」
両脇から、目の据わった二人が話しかけてくる。
ちょっとドキッとしてしまう。
「兄様は、胸の大きい女の人が、好きなんだよね?」
「アランは、私の脚が好きなのだろう?」
ハハハ、二人が何を言っているのかわからないや。
ふと見ると、さっき俺が向こうに置いた杯に、グイが顔を近づけている。
まだ諦めてないのかよ!
あ、タマラさんがすごい勢いで走ってきたぞ。
グイの手から杯を引ったくって、凄まじい剣幕でグイを叱り出した。
さすがです、タマラさん。
いつの間にか戻ってきたルプスさんは、不思議そうな目で俺を見ている。
「兄様、ヘラさんには敵わないけど、絶対に大きくなってみせるからね!」
「アラン、今ここで触ってもいいのだぞ?」
現実逃避は許されなかった。
一層体を密着させてくる二人に、俺は抗う術がない。
ルプスさん、黙って見てないで、助けてください!
「兄様、答えてください!」
「アラン、どうなのだ!」
「えと、その……」
「兄さ、ま……!」
「アラ、ン……!」
そしてなぜか、急に静かになる二人。
見れば、顔を真っ青にして、必死に何かを堪えている。
これは……まさか!?
「……にいさま、ぎぼちわるい……!」
「……アラン、もうだめだ……!」
「ちょ! ……まっ!?」
がっちり抱きつかれて両サイドを固められている俺に、逃げ場はなかった。
「主!?」
二人の異変に気づいたルプスさんが駆け出すが――時すでに遅し。
俺は、二人に汚されてしまった……。
服と体を洗いに近くの小川へ行き、戻ってくると、すでに会場をあとにする人がちらほらいた。
だが、まだまだ元気な人、隅っこで仲間に背中をさすられている人、眠りの世界へ旅立っている人なども大勢いた。俺はそんな会場の様子をしばらく眺めたあと、城に帰ることにした。
ティーリさんとフィアスは、タマラさんに城へ強制的に連れ帰られたらしい。
宴会の終了予定時間はとうに過ぎていたが、一部の盛り上がりは収まることがなく、それは深夜まで続いたそうだ。
翌日、フィアスとティーリさんは、「頭が痛い、気持ち悪い」と一日中呻いていたという。ついでに、カルラさんも。
第二章
慰霊祭から一ヶ月。
キャンプ地の人々の大半は、精霊樹の森に戻っていた。
彼らとレイナル領民の交流も、慰霊祭をきっかけにして少しずつ活発になりつつあった。
この一ヶ月の間、一週間ほど大雨が降ったかと思えば、今度はからっとした天気が続き、ここ数日は照りつける太陽が肌を焦がさんばかりだ。
夏である。
前世の日本のような湿気はないので、日陰に入れば涼をとることができるが、日差しの下ではじっとしていても体中から汗が噴き出てくる。
「兄様、行ってきまーす!」
「お父さん、行って、きます」
「ああ、気をつけてなー」
レイナル城の入り口で、フィアスとミミアを見送る。
この強烈な日差しの中を駆けていく二人の足取りは軽やかだ。
彼女達が向かうのは、かつてミミ様が起こした大嵐によってできた、城の西にある湖である。今では「レイナル湖」と呼ばれ、人々に親しまれている。
フィアスとミミアはレイナル湖に、海水浴ならぬ、湖水浴に出かけたのだ。
湖畔に造られた遊泳場では、板に掴まってぷかぷか浮かんだり、競泳をしたり、波打ち際で水遊びをしたりする人の姿を見ることができる。
「主は行かないのか?」
後ろに立つルプスさんが聞いてくる。
「今日はやめときます。ネッドさんが城に到着する予定ですし」
湖水浴には、一昨日行ったばかりだ。
その時はフィアスとミミアだけでなく、ティーリさんやグイも一緒で、皆で鳥人族のクックに高いところまで運んでもらい、そこから飛び降りたりして遊んだ。
この世界には前世と似た素材の水着はもちろん存在しないのだが、女性は麻をサラシのように胸に巻き、ホットパンツみたいなものを穿いて水の中に入っていた。俺がまた性懲りもなくティーリさんの脚に釘づけとなったことは言うまでもない。
来客があるからと言ってルプスさんと別れ、城の自室で涼みながら本を読んでいると、執事のジュリオが呼びに来てくれた。ネッドさんが到着したらしい。
ジュリオと一緒に、一階の応接間に向かう。
応接間に俺達が入ると、ソファに座っていた若い男が立ち上がって挨拶をしてきた。ネッドさんその人である。
「アラン様、お久しぶりです」
「お久しぶりです、ネッドさん」
「それに、父さんも」
「ああ」
そう、ネッドさんはジュリオの息子だ。
かつて行商人をしていたジュリオの跡を継ぎ、今は王都で暮らしながら商売を営んでいる。
濃い色をした、ちょっと癖っ毛の茶髪はジュリオにそっくり。人懐っこそうな目は、母親のミランダさんによく似ている。
このグラントラム王国の王都であるダオスタ――俺達一家もかつて住んでいたことがある――から長旅をしてきたネッドさんの肌は、前に会った時よりだいぶ焼けていた。衣服は直前にどこかで着替えてきたのだろう、洗い立てのようなさっぱりした服装で、旅の疲れを感じさせない。
彼は、ダオスタの店を拠点にここ数年で商売を順調に拡大させていて、今では国内のいくつかの都市に支店を持っている。
商人としての実力は本物だ。
何せ、レイナル領名産の鉱石「虹石」をダオスタに持ち込んで流行らせたのはこの人なのだから。
――俺とジュリオもソファに腰かけ、使用人の一人が出してくれた冷たい茶を飲んだ。
「それでネッドさん、道中は大丈夫でしたか?」
「ええ、特にこれといった危険はありませんでしたよ。もし何かあっても、向こうで雇った護衛達も一緒でしたしね」
「そうでしたか」
「しかし、延々と山道を進んでこなければならないというのは、やはり応えますね。もう何度も足を運んでいるのに、いまだに慣れませんよ。あと、急な雨には参りました」
「あはは。山は天気も変わりやすいですからね。とにかく、道中ご苦労様でした」
「いえいえ、親愛なるレイナル家とレイナル領の皆さんのためですから。つい愚痴をこぼしてしまいましたが、なんのなんの、これくらいへっちゃらです。それにレイナル領に来れば虹石をはじめ魅力的な品々に出会えるんですから、一商人としても来ないわけにはいきませんよ。……ただ、もうちょっと近ければありがたいんですけどね」
ネッドさんはそう言って笑った。
ダオスタからこのレイナル領までは、馬車でおよそ二週間。その道程のほとんどが、険しい山道だ。
虹石のおかげで領の財政が潤い、その資金によって道がある程度整備されはしたものの、前世の世界のようにアスファルトで舗装されているわけではない。むき出しの土は雨が降ればひどくぬかるみ、豪雨の場合には土砂崩れが起きることもある。さらに、山に棲むゴブリンをはじめとする危険な生物に襲われる危険まであるのだ。
そんな中、ネッドさんはこのレイナル領にわざわざ来てくれる。いくら魅力的な商品があるといっても、それは簡単なことではない。
「ネッドさん、お久しぶりね」
彼に道中の話を聞いていると、母がやってきた。
ネッドさんはまた立ち上がって母に挨拶する。
「そうだ、先にこれをお渡ししておかないと」
ネッドさんが懐から何か取り出した。
二通の手紙である。
母がそれを受け取り、隣から俺が覗き込む。
差出人は、ヤン・ファー・レイナル。父からの手紙だった。
「あら、あの人からの手紙? でも、二通あるのはどうしてかしら?」
「一通はご家族の皆様に、もう一通は、アラン様に宛てたものだそうです」
「確かに。こっちの手紙には、『アランへ』と書いてあるわ」
俺は母からその手紙を受け取る。
「そちらの手紙は、アラン様お一人でお読みになるように、とヤン様から言われております」
ネッドさんがそう補足する。
「……わかりました、あとで自分の部屋ででも読みますね。……母様、そっちの手紙には何て書かれてるんですか?」
「ええ、ちょっと待ってね」
母が手紙に目を通す。
時々くすっと笑いながら、母は手紙を読み進めていった。
俺も母からそれを受け取って読む。
手紙の内容は主に父の近況についてだった。今、向こうでやっている仕事や、最近王都で流行っていることなど。
どうやら王都も暑いらしく、レイナル領にいる時と同じように半裸で街に出ようとしたら、父が副団長を務める王国近衛騎士団のトップ――ジョルジェット団長に叱られたとか、母の手料理が恋しいとか。成り行きで舞踏会に出たはいいが踊れないから代わりに剣舞を披露したら、弟子入り志望の貴族が群がってきて困ったとか。そんなエピソードが続き、最後に、皆変わりはないか、自分も早くレイナル領に帰るべく、がんばって王都での用を早く済ませる、と締めくくられていた。
変わらず元気そうな父の様子が浮かんできて、俺は安心した。
「ところでネッドさん、今回は何日間こちらにいる予定なんですか?」
「三日ほど、と考えております」
「三日? いつもより短いですね」
「ええ、王都のほうでの仕事が立て込んでおりまして。それが片づけば、少しはゆっくりできそうなんですが」
「お忙しそうですね。じゃあ、せめてここにいる間はゆっくり休んでください」
「そうします、ありがとうございます」
それから少し世間話をして、新しいお茶を飲み、一息ついた頃――。
「それじゃあそろそろ、商談といきましょうか」
ネッドさんが商人の顔つきになって言った。
「そうだな」
ジュリオが答える。俺も頷く。母は他に用があるとかで、すでに退席していた。
「それでは……こちらの品目をご覧ください。今回は麦と塩は控えめにして、代わりに香辛料などを取り揃えてきました」
ジュリオが、ネッドさんから受け取ったリストに目を落とす。
俺も横から覗き込むが、正直何が書いてあるのかよくわからない。
餅は餅屋。商談は基本的に、ジュリオに一任している。
リストに目を通して頷いたジュリオが、懐から紙を取り出し、ネッドさんに渡した。
「では、これが、こちらから出せる今回の品目だ。目玉は新商品の――米酒だな」
「米、酒……ですか? 米って、穀物の米、ですよね? まさか……米から酒を造ったんですか?」
「そうですよ」
ちょっと得意げに、俺が答える。
ネッドさんは驚いた様子だ。無理もない。
この国で流通しているのは、ほとんどが果実から造られた果実酒か、麦から造られた麦酒だからな。米の酒なんて想像したこともないのだろう。
「し、試飲させていただいても?」
「そう言うと思って、用意してある」
ジュリオの合図で、使用人が米酒の入った杯を持ってきた。
ネッドさんはそれを受け取り、注意深く観察する。
「……果実酒や麦酒と違って、色が透き通っているんですね。香りは……かなり酒精を感じます。これ、本当に米から造られているんですか?」
「そうだ」
答えるジュリオもどこか得意そうだ。
「信じられない……。どれ、味のほうは――」
一口飲んで、ネッドさんは目を見開いた。
「どうですか? なかなかいい酒だと思うんですが」
俺の問いかけに、ネッドさんはすぐには応えない。
代わりに、二度、三度と杯に口をつけ、米酒を味わっている。
そして――。
「……これは、素晴らしいですね」
ネッドさんは恍惚とした表情を浮かべて呟いた。
彼の帰りの積み荷の中身が、一つ決まった瞬間だった。
†
商談を終えて自室に戻った俺は、ベッドに寝転がりながら、父からの手紙を読んだ。
そこには、こう綴られていた。
アラン、元気してるか? 俺はまあ、元気だ。あの盗賊騒ぎの時、お前を見失ったまま王都に行くのは心残りだったが、お前から手紙をもらって安心したぞ。俺はお前が無事だと信じてたけどな! だが、お前が強化術を使いこなせていなかったなんて、思いもよらなかった。今はヴィルホに稽古つけてもらってるんだって? お前ならすぐに使いこなせるようになるだろうよ。そうなったお前がどれだけ強くなってるか、楽しみだ。そっち帰ったら、手合わせしような!
で、こっちなんだが、色々あってな。もうしばらく帰れそうにない。まず、俺が王都に呼び出された理由なんだが、神光教会のお偉方が王都にやってくるってんで、都の警備体制を強化するためらしい。俺なんかいなくてもいいじゃねえかって思ったりもしたが、そこはまあ、一応まだ近衛騎士団の副団長だしな、世話になってるジェットのためってことで、俺はがんばった! あ、そうそう、ジェットと言えば、あいつの娘のフランチェスカ、あの子もかなり美人になってたぞ!
あとはそうだな、王子と王女にどういうわけか懐かれちまった。最近じゃ、わざわざ王城から俺に会いに街に出てきたりしてな。まだ小せえ二人なんだが、昔のお前やフィアスを思い出すよ。
さて、長々と書いちまったが、本題だ。アラン、お前、王都に来い。ちょっと頼みたいことができた。お前にしか頼めないことだ。ネッドには、このことを伝えてある。あいつと一緒に、王都に来てくれ。あ、わかってると思うが、ラスは連れてくるなよ? あんなでかい狼が来たら、王都は大混乱だからな。まあ、ラスも最近は森の巡回なんかに忙しいって、お前からの手紙にも書いてあったから、来ないとは思うが。誰か連れてくるんだったら、色々動きやすいように少人数で頼む。
暑いからな、水はしっかり飲め、熱中症には気をつけろよ! 以上だ! 父より
……何だろう、手紙からも伝わってくるこの父らしさは。
とりあえず、元気そうで何よりだ。
母様、フィアス、ミミア、他、皆様――。
そういうことで、俺、王都に行くことになりました。
背の高い金髪の樹霊族女性と赤髪の人間の少女――ティーリさんとフィアスである。
二人とも明らかに酔っ払っている。まさか、フィアスも飲んだのか!?
「何を言う。私は樹霊族の中では、一番若いのだぞ」
「でもやっぱりアルティリエさんの年齢って、私達人間からすると、おばあちゃん……ううん、もうご先祖様って感じですよー」
「はっはっは。それを言うならフィアスの年齢だと、私達樹霊族から見れば赤子だな。酒にしても、匂いを嗅いだだけでそんなになってしまうとは」
「別に赤ちゃんでもいいですよ、私は人間で年頃の年齢ですし。兄様と釣り合いが取れてるもん。お酒については、アルティリエさんだって初めてでしょ?」
よかった。フィアスは飲んでいないらしい。
でも……匂いを嗅ぐだけであんなになるとは。
やっぱりこの酒、ちょっとアルコール度数が高すぎるんじゃないか?
「私も人間で言えば、ちょうどアランくらいの年齢だ。十分釣り合いが取れている」
「あら? でもアルティリエさんは樹霊族じゃないですか」
「そういうフィアスは妹ではないか」
「……でも、アルティリエさんは、あまり胸がないですよね? 兄様はたぶん、胸の大きい人が好みなんじゃないかと思うんですけど」
「なっ!? そ、そういうフィアスこそ、ないではないか!」
「私はまだまだ子供ですもーん。これからきっと大きくなります。母様のように」
「くっ! 確かにマリア殿は……大きい……!」
「ふふふん。私、知ってますもん。兄様の目がヘラさんの大きな胸に釘づけになってるの」
「……ヘラとは、あの牛人の、城の使用人のことか」
……おい。
我が妹よ、何を言っている……?
いや、確かにヘラさんの爆乳には、何度か目を奪われたことはあったけど……って、ティーリさん、何、俯きながら自分の胸を揉んでいるんですか!?
「だから、私のほうが、兄様の好みの体型になれると思うんです」
「……だが、アランは私の脚を凝視していたことがあるぞ」
ちょちょちょ!?
今度はティーリさんが何か言い出したぞ!?
悪い予感しかしないんだけど!?
「あれはアランと私が出会った日のことだ。森の中の川を渡る際、私は水に濡れないよう靴を脱ぎ、服の裾をまくりあげたのだが、アランはしばらくの間私の脚に見入っていた」
「まさか……そんな!」
「胸はなくとも、私の脚はアランにとってそれほど魅力的だったのだろう」
「くっ! 確かに、スラッとした綺麗な脚です」
「ふふふ、そうだろう」
片足を伸ばして見せつけるティーリさんに、悔しそうに顔を歪めるフィアス。
いや、まじで何を張り合っているんだ。
というか、ですね。何だか周囲の視線が痛いんだけど。あれ絶対、「アランさんって、そういうのが好きなんだね~」とか言っているぞ。
……ほんとにもう、勘弁してください。
だけど、止めたくても止められない。
あの二人の間に入っていったら、思いっきり巻き込まれそうだ。
かといって、このまま静観していたら、事態が悪化するのは目に見えている。
誰か、誰か何とかしてください!
そんな願いを込め、思い切って周囲に視線を送るが――誰一人目を合わせてくれなかった。
セアドさん――にはそっぽを向かれた。……口笛がわざとらしい。
彼の恋人であるダーナさん――は、何やらセアドさんに詰問し始めたぞ? 大方、「男という奴は、皆大きな胸や綺麗な脚が好きなのか? そうなのか?」とか言っているのだろう。
そうだ! ルプスさん――だめだ、さっき別の席に置いてきたんだった。
あとは――グイくらいか……。
「アラン。グイも、あれ、飲んでいいか!?」
「ダメ! 絶対!」
ちょうど俺に気づいて近寄ってきたグイに言う。
「えー、グイも飲みたいぞ!」
酒を飲みたいなんて、だめに決まっている。
元ゴブリンだから人間とは年のとり方が違うのかもしれないが、グイは明らかに子供だ。
それに、これでグイまで酔ってしまったら、どうなるかわかったもんじゃない。
って、グイがどこからか持ってきたのは――酒……だと?
いつの間に!
「おい、グイ! 子供にゃまだ早ぇぞ? ぐいっと飲んだりしちゃいけねえよ! がははははは!」
ヴィルホさん! 寒い親父ギャグなんか言ってないで、本気でグイを止めてくださいよ!
笑顔のヴィルホさんの注意は当然届かず、グイが杯を口に近づける。
「グイ、だめだ!」
俺は慌ててその杯を奪う。
「アラン、グイは飲みたいぞ?」
「だめだってば!」
俺は杯をグイから遠いところに置いた。
「……兄様、そこにいたの?」
「……アラン、いつ戻ってきていたのだ?」
そして俺は捕まる。
フィアスと、ティーリさんに。
……そりゃ、近くでこんなに騒いでいて、見つからないわけがないよな。
「ねえ、兄様。私、聞きたいことがあるの」
「アラン。私も聞きたいことがあるのだが」
「な、何かな?」
両脇から、目の据わった二人が話しかけてくる。
ちょっとドキッとしてしまう。
「兄様は、胸の大きい女の人が、好きなんだよね?」
「アランは、私の脚が好きなのだろう?」
ハハハ、二人が何を言っているのかわからないや。
ふと見ると、さっき俺が向こうに置いた杯に、グイが顔を近づけている。
まだ諦めてないのかよ!
あ、タマラさんがすごい勢いで走ってきたぞ。
グイの手から杯を引ったくって、凄まじい剣幕でグイを叱り出した。
さすがです、タマラさん。
いつの間にか戻ってきたルプスさんは、不思議そうな目で俺を見ている。
「兄様、ヘラさんには敵わないけど、絶対に大きくなってみせるからね!」
「アラン、今ここで触ってもいいのだぞ?」
現実逃避は許されなかった。
一層体を密着させてくる二人に、俺は抗う術がない。
ルプスさん、黙って見てないで、助けてください!
「兄様、答えてください!」
「アラン、どうなのだ!」
「えと、その……」
「兄さ、ま……!」
「アラ、ン……!」
そしてなぜか、急に静かになる二人。
見れば、顔を真っ青にして、必死に何かを堪えている。
これは……まさか!?
「……にいさま、ぎぼちわるい……!」
「……アラン、もうだめだ……!」
「ちょ! ……まっ!?」
がっちり抱きつかれて両サイドを固められている俺に、逃げ場はなかった。
「主!?」
二人の異変に気づいたルプスさんが駆け出すが――時すでに遅し。
俺は、二人に汚されてしまった……。
服と体を洗いに近くの小川へ行き、戻ってくると、すでに会場をあとにする人がちらほらいた。
だが、まだまだ元気な人、隅っこで仲間に背中をさすられている人、眠りの世界へ旅立っている人なども大勢いた。俺はそんな会場の様子をしばらく眺めたあと、城に帰ることにした。
ティーリさんとフィアスは、タマラさんに城へ強制的に連れ帰られたらしい。
宴会の終了予定時間はとうに過ぎていたが、一部の盛り上がりは収まることがなく、それは深夜まで続いたそうだ。
翌日、フィアスとティーリさんは、「頭が痛い、気持ち悪い」と一日中呻いていたという。ついでに、カルラさんも。
第二章
慰霊祭から一ヶ月。
キャンプ地の人々の大半は、精霊樹の森に戻っていた。
彼らとレイナル領民の交流も、慰霊祭をきっかけにして少しずつ活発になりつつあった。
この一ヶ月の間、一週間ほど大雨が降ったかと思えば、今度はからっとした天気が続き、ここ数日は照りつける太陽が肌を焦がさんばかりだ。
夏である。
前世の日本のような湿気はないので、日陰に入れば涼をとることができるが、日差しの下ではじっとしていても体中から汗が噴き出てくる。
「兄様、行ってきまーす!」
「お父さん、行って、きます」
「ああ、気をつけてなー」
レイナル城の入り口で、フィアスとミミアを見送る。
この強烈な日差しの中を駆けていく二人の足取りは軽やかだ。
彼女達が向かうのは、かつてミミ様が起こした大嵐によってできた、城の西にある湖である。今では「レイナル湖」と呼ばれ、人々に親しまれている。
フィアスとミミアはレイナル湖に、海水浴ならぬ、湖水浴に出かけたのだ。
湖畔に造られた遊泳場では、板に掴まってぷかぷか浮かんだり、競泳をしたり、波打ち際で水遊びをしたりする人の姿を見ることができる。
「主は行かないのか?」
後ろに立つルプスさんが聞いてくる。
「今日はやめときます。ネッドさんが城に到着する予定ですし」
湖水浴には、一昨日行ったばかりだ。
その時はフィアスとミミアだけでなく、ティーリさんやグイも一緒で、皆で鳥人族のクックに高いところまで運んでもらい、そこから飛び降りたりして遊んだ。
この世界には前世と似た素材の水着はもちろん存在しないのだが、女性は麻をサラシのように胸に巻き、ホットパンツみたいなものを穿いて水の中に入っていた。俺がまた性懲りもなくティーリさんの脚に釘づけとなったことは言うまでもない。
来客があるからと言ってルプスさんと別れ、城の自室で涼みながら本を読んでいると、執事のジュリオが呼びに来てくれた。ネッドさんが到着したらしい。
ジュリオと一緒に、一階の応接間に向かう。
応接間に俺達が入ると、ソファに座っていた若い男が立ち上がって挨拶をしてきた。ネッドさんその人である。
「アラン様、お久しぶりです」
「お久しぶりです、ネッドさん」
「それに、父さんも」
「ああ」
そう、ネッドさんはジュリオの息子だ。
かつて行商人をしていたジュリオの跡を継ぎ、今は王都で暮らしながら商売を営んでいる。
濃い色をした、ちょっと癖っ毛の茶髪はジュリオにそっくり。人懐っこそうな目は、母親のミランダさんによく似ている。
このグラントラム王国の王都であるダオスタ――俺達一家もかつて住んでいたことがある――から長旅をしてきたネッドさんの肌は、前に会った時よりだいぶ焼けていた。衣服は直前にどこかで着替えてきたのだろう、洗い立てのようなさっぱりした服装で、旅の疲れを感じさせない。
彼は、ダオスタの店を拠点にここ数年で商売を順調に拡大させていて、今では国内のいくつかの都市に支店を持っている。
商人としての実力は本物だ。
何せ、レイナル領名産の鉱石「虹石」をダオスタに持ち込んで流行らせたのはこの人なのだから。
――俺とジュリオもソファに腰かけ、使用人の一人が出してくれた冷たい茶を飲んだ。
「それでネッドさん、道中は大丈夫でしたか?」
「ええ、特にこれといった危険はありませんでしたよ。もし何かあっても、向こうで雇った護衛達も一緒でしたしね」
「そうでしたか」
「しかし、延々と山道を進んでこなければならないというのは、やはり応えますね。もう何度も足を運んでいるのに、いまだに慣れませんよ。あと、急な雨には参りました」
「あはは。山は天気も変わりやすいですからね。とにかく、道中ご苦労様でした」
「いえいえ、親愛なるレイナル家とレイナル領の皆さんのためですから。つい愚痴をこぼしてしまいましたが、なんのなんの、これくらいへっちゃらです。それにレイナル領に来れば虹石をはじめ魅力的な品々に出会えるんですから、一商人としても来ないわけにはいきませんよ。……ただ、もうちょっと近ければありがたいんですけどね」
ネッドさんはそう言って笑った。
ダオスタからこのレイナル領までは、馬車でおよそ二週間。その道程のほとんどが、険しい山道だ。
虹石のおかげで領の財政が潤い、その資金によって道がある程度整備されはしたものの、前世の世界のようにアスファルトで舗装されているわけではない。むき出しの土は雨が降ればひどくぬかるみ、豪雨の場合には土砂崩れが起きることもある。さらに、山に棲むゴブリンをはじめとする危険な生物に襲われる危険まであるのだ。
そんな中、ネッドさんはこのレイナル領にわざわざ来てくれる。いくら魅力的な商品があるといっても、それは簡単なことではない。
「ネッドさん、お久しぶりね」
彼に道中の話を聞いていると、母がやってきた。
ネッドさんはまた立ち上がって母に挨拶する。
「そうだ、先にこれをお渡ししておかないと」
ネッドさんが懐から何か取り出した。
二通の手紙である。
母がそれを受け取り、隣から俺が覗き込む。
差出人は、ヤン・ファー・レイナル。父からの手紙だった。
「あら、あの人からの手紙? でも、二通あるのはどうしてかしら?」
「一通はご家族の皆様に、もう一通は、アラン様に宛てたものだそうです」
「確かに。こっちの手紙には、『アランへ』と書いてあるわ」
俺は母からその手紙を受け取る。
「そちらの手紙は、アラン様お一人でお読みになるように、とヤン様から言われております」
ネッドさんがそう補足する。
「……わかりました、あとで自分の部屋ででも読みますね。……母様、そっちの手紙には何て書かれてるんですか?」
「ええ、ちょっと待ってね」
母が手紙に目を通す。
時々くすっと笑いながら、母は手紙を読み進めていった。
俺も母からそれを受け取って読む。
手紙の内容は主に父の近況についてだった。今、向こうでやっている仕事や、最近王都で流行っていることなど。
どうやら王都も暑いらしく、レイナル領にいる時と同じように半裸で街に出ようとしたら、父が副団長を務める王国近衛騎士団のトップ――ジョルジェット団長に叱られたとか、母の手料理が恋しいとか。成り行きで舞踏会に出たはいいが踊れないから代わりに剣舞を披露したら、弟子入り志望の貴族が群がってきて困ったとか。そんなエピソードが続き、最後に、皆変わりはないか、自分も早くレイナル領に帰るべく、がんばって王都での用を早く済ませる、と締めくくられていた。
変わらず元気そうな父の様子が浮かんできて、俺は安心した。
「ところでネッドさん、今回は何日間こちらにいる予定なんですか?」
「三日ほど、と考えております」
「三日? いつもより短いですね」
「ええ、王都のほうでの仕事が立て込んでおりまして。それが片づけば、少しはゆっくりできそうなんですが」
「お忙しそうですね。じゃあ、せめてここにいる間はゆっくり休んでください」
「そうします、ありがとうございます」
それから少し世間話をして、新しいお茶を飲み、一息ついた頃――。
「それじゃあそろそろ、商談といきましょうか」
ネッドさんが商人の顔つきになって言った。
「そうだな」
ジュリオが答える。俺も頷く。母は他に用があるとかで、すでに退席していた。
「それでは……こちらの品目をご覧ください。今回は麦と塩は控えめにして、代わりに香辛料などを取り揃えてきました」
ジュリオが、ネッドさんから受け取ったリストに目を落とす。
俺も横から覗き込むが、正直何が書いてあるのかよくわからない。
餅は餅屋。商談は基本的に、ジュリオに一任している。
リストに目を通して頷いたジュリオが、懐から紙を取り出し、ネッドさんに渡した。
「では、これが、こちらから出せる今回の品目だ。目玉は新商品の――米酒だな」
「米、酒……ですか? 米って、穀物の米、ですよね? まさか……米から酒を造ったんですか?」
「そうですよ」
ちょっと得意げに、俺が答える。
ネッドさんは驚いた様子だ。無理もない。
この国で流通しているのは、ほとんどが果実から造られた果実酒か、麦から造られた麦酒だからな。米の酒なんて想像したこともないのだろう。
「し、試飲させていただいても?」
「そう言うと思って、用意してある」
ジュリオの合図で、使用人が米酒の入った杯を持ってきた。
ネッドさんはそれを受け取り、注意深く観察する。
「……果実酒や麦酒と違って、色が透き通っているんですね。香りは……かなり酒精を感じます。これ、本当に米から造られているんですか?」
「そうだ」
答えるジュリオもどこか得意そうだ。
「信じられない……。どれ、味のほうは――」
一口飲んで、ネッドさんは目を見開いた。
「どうですか? なかなかいい酒だと思うんですが」
俺の問いかけに、ネッドさんはすぐには応えない。
代わりに、二度、三度と杯に口をつけ、米酒を味わっている。
そして――。
「……これは、素晴らしいですね」
ネッドさんは恍惚とした表情を浮かべて呟いた。
彼の帰りの積み荷の中身が、一つ決まった瞬間だった。
†
商談を終えて自室に戻った俺は、ベッドに寝転がりながら、父からの手紙を読んだ。
そこには、こう綴られていた。
アラン、元気してるか? 俺はまあ、元気だ。あの盗賊騒ぎの時、お前を見失ったまま王都に行くのは心残りだったが、お前から手紙をもらって安心したぞ。俺はお前が無事だと信じてたけどな! だが、お前が強化術を使いこなせていなかったなんて、思いもよらなかった。今はヴィルホに稽古つけてもらってるんだって? お前ならすぐに使いこなせるようになるだろうよ。そうなったお前がどれだけ強くなってるか、楽しみだ。そっち帰ったら、手合わせしような!
で、こっちなんだが、色々あってな。もうしばらく帰れそうにない。まず、俺が王都に呼び出された理由なんだが、神光教会のお偉方が王都にやってくるってんで、都の警備体制を強化するためらしい。俺なんかいなくてもいいじゃねえかって思ったりもしたが、そこはまあ、一応まだ近衛騎士団の副団長だしな、世話になってるジェットのためってことで、俺はがんばった! あ、そうそう、ジェットと言えば、あいつの娘のフランチェスカ、あの子もかなり美人になってたぞ!
あとはそうだな、王子と王女にどういうわけか懐かれちまった。最近じゃ、わざわざ王城から俺に会いに街に出てきたりしてな。まだ小せえ二人なんだが、昔のお前やフィアスを思い出すよ。
さて、長々と書いちまったが、本題だ。アラン、お前、王都に来い。ちょっと頼みたいことができた。お前にしか頼めないことだ。ネッドには、このことを伝えてある。あいつと一緒に、王都に来てくれ。あ、わかってると思うが、ラスは連れてくるなよ? あんなでかい狼が来たら、王都は大混乱だからな。まあ、ラスも最近は森の巡回なんかに忙しいって、お前からの手紙にも書いてあったから、来ないとは思うが。誰か連れてくるんだったら、色々動きやすいように少人数で頼む。
暑いからな、水はしっかり飲め、熱中症には気をつけろよ! 以上だ! 父より
……何だろう、手紙からも伝わってくるこの父らしさは。
とりあえず、元気そうで何よりだ。
母様、フィアス、ミミア、他、皆様――。
そういうことで、俺、王都に行くことになりました。
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