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37.撮影のお手伝いをします。
しおりを挟むスタジオに着いて、とりあえず控え室のような所に案内された。藍月くんはメイクや着替えがあるから、と途中で別れた。
神谷さんと二人きりは緊張する…。俺コミュ力無いし。
「どうぞ、座って。説明させてもらうから。」
「はい、失礼します。」
「そんなに畏まらなくていい。普通にしてくれればいいよ。」
「あ、はい。」
「それじゃあ説明するよ。簡単に言えば、女装して藍月の相手役で写真撮影のモデルをして欲しい。」
「えっと…なんで俺なんですか?」
「…藍月が…藍月は駄目なんだ、他人にベタベタされるのが。」
「はぁ…。」
よくよく聞いたところによると、写真集の反響も良かったので、雑誌に載せてもらえることになったんだそう。
それは良かったんだけど、その雑誌の撮影のコンセプトが「アイドルと恋人になってデート気分!!」みたいな写真だったらしい。
それで相手役の女の人が来ていたんだけど、いざ撮影を始めてみると、その女の人がやたらベタベタしてきたらしい。なんていうか、媚を売るために胸押し付けてきたり、撮影外でもボディタッチしてきたりという感じだったみたい。
理人くんともえぎくんは、それでも無視して撮影出来たみたいなんだけど、藍月くんはもう真顔…。それが引き攣った笑顔になってしまってオッケーが出なかった。
その結果、俺が呼び出されることになった。ということらしい。そして納期が明日なのでここで断ると、とても大変なことになる。藍月くんのためなら女装して撮影くらい…頑張りますとも!
「引き受けてくれますか?」
「…やらせて頂きます」
「それではこちらに」
やけに手際よく着替えやメイク、ウィッグなどを済まされた俺は、撮影場所のドアの前にいた。
スタッフさんにされるがままになっていたが、着替えは自分でしたので、どんな格好をしているかは分かっている。
用意されていたのは、いわゆる花柄ワンピース。一応軽い女装は見られたことあるけど、あの時はボーイッシュな格好というか、パンツスタイルだったから、初めてスカート履くのは初めてだった。
スカートはなんとも心許なくて、不安な感じだ。それにこの格好で皆に見られながら写真に写って、ゆくゆくは雑誌に載るわけだ。
あぁ…どうせヤバイよなぁ。そう思いながらも鏡に視線を向ける。え…?そこそこ可愛い女の子が写ってるんだけど?
プロの方ってすげぇ。メイクってすげぇ。純粋に感動する。俺ってここまで可愛くなれるんだなぁ。
そこまでは良かったけど、撮影場所のドアを開ける手が震える。どんな反応されるんだろう。怖い…。藍月くんはもう準備出来ててスタンバイしているらしい。
ガチャ
迷っている間に内側からドアが開いた。
「うわっ!え…?リンさん?」
「あ、うん」
「ええ!!すっごい可愛いです!!」
「ありがとう、プロの人って凄いんだね…。ちょっと感動しちゃったよ。」
「そうですね、いつも俺も盛ってもらってます!」
「藍月くんは素がいいでしょ。」
二人で話していると、カメラマンと思しき人が近づいてきた。オシャレなお兄さんだ。
「その子が今日の撮影の相手役の子?」
「はい!俺の大事な人です!」
「えっと…はじめまして、司馬咲です。」
「おう、はじめまして、俺は佐野な。カメラマンやってる。」
「はい、よろしくお願いします。」
「なんで二人して俺の言葉スルーするんですか!?」
「なんとなくだろ?」
「うん、なんとなくだよ」
他のスタッフさん方にも軽く挨拶をさせてもらい、撮影が始まっていく。正直緊張している。撮られるの俺じゃないけど。
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