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61.お出迎えしました。
しおりを挟む藍月くんが出かけていってしばらく寝ていたけれど、たくさん休息したからか身体も動ける程度にはなっていた。
まだ藍月くんが帰るまでには、時間があったのでとりあえず、冷蔵庫の中を確かめさせてもらう。うーん…今日の晩御飯くらいの食材はありそう。ご飯炊いておこうかな。
明日は大学とバイトか。彼方にも会うし、ちゃんと話聞かないとな。暇だー…大学の課題やっておくか。藍月くんが帰ってくるまで課題をやったりしながら時間を潰した。
がちゃ
お!帰ってきた!出迎えるために玄関まで行く。靴を脱いでいる藍月くんに声をかける。
「おかえり、藍月くん」
「ただいまー!!リンさん!お出迎え嬉しいです!」
ニッコリ笑顔の藍月くんが俺に抱き着こうとして近づいてくる。それを避けて部屋の奥に逃げる。近寄った時に香ったのはおそらく女の人の香水の香り。藍月くんがつけるようなものではない事だけは、確信できる甘い香りだった。
なんで…?仕事に行って香水の匂いが付くくらい接近したってこと?もやもやした気持ちになって、リビングに戻る。呼び止める藍月くんを無視して、自分の荷物を引っ掴んで、玄関に直行する。
「え?リンさん!?待ってください!」
「ごめん…」
「え?どこ行くの…!?やだ!待ってリンさん!!」
靴も履かないままの藍月くんに追われて捕まって、少し頭も冷える。藍月くんに嫌われて浮気されたとかじゃないのは、わかってるけど悲しい気持ちが消えない。
藍月くんが側にいることで、藍月くん自身の匂いに混じった匂いがまた鼻をくすぐる。勝手に流れる涙が止まらない。
「えぇっ!!リンさん!?とりあえず、家入ろう?」
「…うん…」
「…えっと…俺何かしちゃったかな…?頑張って直すから…捨てないで…?」
「とりあえず、お風呂入ってきて…それまで近づかないで…」
「はい!」
ぱっと俺から離れた藍月くんがバタバタとお風呂場に駆け込んでいく。俺は俺で立ち直れないまま、体育座りでクッションを抱きしめて、うずくまっていた。
割とすぐに上がってきた藍月くんに後ろから抱き締められるまで、そのままでいた。
「リンさん…嫌な思いさせてごめんね。」
「うん…」
「あのね?今日女アイドルと共演で…断ってるのにしつこく絡まれて…それで匂い移ってたみたい。ごめんね…」
「そっか…」
藍月くん格好いいもんね…そりゃモテるよね。それでも実際にそれを実感してしまえば、より濃く女の人の気配を感じた。
「はぁ…癒やされる…リンさんに会いたかった…。」
「うん…」
「ねぇ、お帰りのちゅーしてくれますか?」
「ん、する」
それでも今は俺の藍月くんだ。何もなければ頬にキスするくらいだっただろう。でも、香水の匂いに気が立っていて、唇にキスを落とす。
「ん…えへへ!ありがと!リンさん、よし!ご飯食べましょうか?」
「うん!」
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