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99.ツアーファイナル2
しおりを挟む会場内の電灯が消え、いよいよライブが始まるという期待感に観客も静かになる。もちろん俺も久々に観客としてライブに参加しているので、楽しみでならなかった。
アナウンスで注意事項や避難路の案内などがあり、ついにライブが始まる。舞台上に注目していれば、前の方にいる観客から歓声があがる。その直後、ライトが点灯し、alfalfaの姿を照らし出す。彼らの背後にある巨大画面に彼らの顔が映る。
みんなのきゃーきゃーと騒ぐ声は右から左へと抜けていき、俺の目は藍月くんに釘付けになる。ライブは、一瞬だった。藍月くんに夢中になっている間にラスト一曲になっていた。
最後の曲の前、藍月くんと目があった気がした。だいぶ距離があるはずなので、確証はないがこちらに視線を向けたのは確かだ。そして、例のバキューンポーズをした。前にも見たことのあるものだ。
「次で最後の曲です!!改めてライブに来てくれてありがとう!!大好きです!!最後まで魅了するから、楽しんでいってね!」
「ラストー!!盛り上がって行こう!!みんなのこと楽しませてみせるから、僕から目を離さないでね!」
「俺達にもっと深くハマらせてやるよ。ラストまでちゃんとついてこいよ!」
「「「「「キャー!!」」」」」
騒いでいた観客たちも、曲が始まると曲にあわせてライトを振る。俺も最後まで目一杯応援しようと、彼らを見守る。関係者席で騒ぐと、周りをびっくりさせてしまうので、自分を抑えて、心の中で頑張れと唱える。
ラストの曲に選ばれたのは、alfalfaの最初の曲だった。藍月くんと出会ったときに歌っていた曲だ。ファンの間でも、彼ら自身にとっても特別な一曲と言えるだろう。
昔見た光景と重なるものの、あの時よりもずっと研ぎ澄まされた動きで踊っていた。歌声も以前より伸びが良い。藍月くん頑張ったんだな。そのことが自身の中の記憶と比べることでよくわかった。
静かに曲が途切れる。あぁ…もう終わってしまった、という喪失感と最高のライブだったという高揚感。ライブの余韻に浸りながら彼らが舞台上からいなくなるのを見ていた。
キラキラ笑顔で、手を振って姿が見えなくなった。興奮冷めやらぬ会場内に、ライブの終了のアナウンスが流れる。観客たちも入り口近くの人から、段々と出ていく。段々と人がいなくなる会場を、上から見ていた。みんな笑顔で出ていく。alfalfaのライブでみんな楽しめたのだろう。やはり彼らは凄い人たちだ。こんなにも多くの観客を笑顔にしてしまえるのだから。
「おーい、そろそろ行くぞ」
「あ、はい」
「楽屋行くか。打ち上げあるからな」
「そうですね。」
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