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しおりを挟むコクヨウは助けた彼女らには興味なさそうに俺のことを後ろから抱き締めている。褒めてほしいとばかりにすりすりと頭を首筋に擦り寄せてくる。コクヨウの頭を撫でてやりつつ、落ち着いてきたところで、事情を聞くために話しかける。
「なぁ、何があったのか聞かせてくれるか?」
「…はい…助けてくださってありがとうございます。私達は北の方の獣人の集落で暮らしていたのですが…ある日人間に襲われて攫われ、無理矢理に隷属させる魔法をかけられて…奴隷として連れてこられました。」
「なるほど…違法奴隷ってやつか…それで?どうしてこんなところで襲われかけてたんだ?」
「…私達を運んでいた奴隷商人がここを通っていて襲われ、最も商品価値の低い私達を囮にして、私達が襲われている間に逃げる算段だったようです…」
「とんだクズも居たもんだな…。災難だったな。」
「…はい…あの…私達が生きている事は秘密にしておいてくださいませんか…?あの…奴隷商人に知られてしまったら、隷属魔法でまた奴隷にされてしまいます…」
「そんなこと頼まれなくても言いふらしたりなんてしねぇよ。鎖だけならなんとかなるが…隷属魔法は…どうにもしてやれない。とにかく術者から離れるくらいしかないだろうな。俺達は温泉街に向かうが、アンタ等はどうすんだ?」
「そう…ですね…私達の元いた集落に戻りたいですが…移動するにも子供連れですし…魔物に対抗できるほどの力もありませんから。この近くの街でなんとか暮らしていこうかと…」
「…そうか。取り敢えず鎖外すか。コクヨウ」
「ん、タカミが言うなら。」
女性の首元におもむろに手を伸ばし、がしりと首輪を掴むと簡単に破壊して見せた。同じように子供の首輪も外した。自由になった彼女らを助けてはやりたいが、助けすぎて頼られてしまっても困る。俺達は旅をしているんだしな。精々街まで届けるくらいだな。
「温泉街まで一緒に行くか?そんなに遠くないはずだ。」
「いいのでしょうか?」
「まぁ、それくらいなら。」
「ありがとうございます。街までよろしくお願いします。」
「ああ、コクヨウ、いいか?」
「…絶対に街までだからね。それ以上は干渉しない。助けは期待するなよ。」
「……わかっています…」
この女、絶対に優しいタカミに付け込もうとしてた。さっさと離れるに限るな。釘は刺したけど、タカミは気にかけちゃいそうだからなぁ。はぁ…楽しい二人での旅路が台無しだよ…。折角の温泉なのに…
半日もすれば温泉街にたどり着いた。そして身分証のない二人に街に入る税金と1食買えるくらいのお金だけを渡してやった。そしてそのまま街に入る手前で彼女らとは別れた。これ以上はコクヨウが許さないだろう。基本的にコクヨウは他人を甘やかさないからな。
「はぁ…やっと二人になれた…」
「俺のわがままで悪かったな。気を取り直して、行くか。コクヨウ」
「うん!タカミ、良い宿取ろうね!」
「おう、奮発して二人っきりで温泉入ろうぜ。」
「うん、良いね!楽しみ。」
ずっとご機嫌斜めだったコクヨウも、楽しそうにしている。俺も楽しみだ。やっぱりコクヨウが嬉しそうにしていてくれるのは良いな。好きな奴が笑ってるのってこんなに嬉しいんだな。
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