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しおりを挟む朝起きて、朝食をとると直ぐに山へ入る。一応道はしっかりある。ただし整備されているというわけではなく、通る人によって踏み固められていったという感じの小道だ。二人横並びで歩くには狭過ぎる。大人一人で精一杯って感じだな。
感知能力の高いコクヨウに前を歩いてもらい、敵がいた場合には出来るだけ遠距離から仕留める。囲まれると危ないし、この狭さでは剣もまともには振るえないからな。
「ん、タカミ、左前300メートル、クイーンビーの巣があるみたい。蜂蜜美味しいし倒してくるから待っててね?」
「おう、気を付けろよ。」
「うん!すぐ戻る。」
…俺にはクイーンビーの気配なんて微塵もわからないんだが、流石コクヨウだな。クイーンビーはBランク。Sランクのコクヨウなら問題なく倒せるし、心配ないだろう。ここに俺を置いていったということはこのあたりに危険はないのだろうが、一応周りを警戒しながらコクヨウを待つ。
案の定、直ぐにニコニコしながら戻ってきたコクヨウの手には蜂の巣がある。デカくねぇか?コクヨウの上半身隠れるくらいあるんだが…。
「ただいま!」
「おかえり…怪我は…ねぇな。」
「うん、それより見て!美味しそうな蜂蜜いっぱい取れたよ。あとで一緒に食べようね。」
「おう、ありがとなコクヨウ。」
「うん!じゃあ進もっか。」
「だな。そういえばクイーンビーの素材はどうしたんだ?」
「んー、数が多すぎて解体も面倒だったから、集めて燃やしてきた。」
「そうか。んじゃ行くか。」
そのままかなりの速度で山をかける。山の山頂まで来たところで、昼の休憩を取ってまたすぐに移動する。日が暮れるまでには次の街につけそうか。山を降りる最中、コクヨウの鼻が何か嗅ぎつけたらしい。
「タカミ、待って」
「どうした?」
「んー…血の匂い…」
「魔物同士で争ってるとかではないんだな?」
「うん…これは人の血の匂いだよ。」
「…助けに行くって言ったら、怒るか?」
「ううん、タカミならそう言うかなって思ってた。急ごう。こっち」
「おう」
コクヨウが先導してくれるのについて全速力で森を駆ける。俺にも争っているのがわかるほどに剣戟の音や、悲鳴、叫び声が聞こえてきた。どうやら馬車がウルフに襲われているらしい。
戦えそうな者もおらず、首に鎖をつけられ逃げられないようにされた母子らしき獣人だけが残されていた。そして今にも襲われそうな獣人の小さな女の子の前にコクヨウが割って入る。
「はっ!!」
「ウォーターバレット!!」
多重展開したウォーターバレットを的確に急所に当てていく。コクヨウもバサバサとウルフを切って捨てる。残ったウルフは勝てないことを悟って森の中に消えていった。取り敢えず助かったか。
「アンタ等大丈夫か?」
子を守るように立ち向かっていた母親の方がヘタリと座り込む。
「……助かった…の?」
「ふぇ…うわあああああん!!」
「アンズ!よかった…おいで!」
「まま…ままぁ!!」
俺達は取り敢えず周りを警戒しつつ、落ち着くまで見守ることにした。どうしてこんなことになっているか分からないが、それでもこうして首輪をされている以上、普通の状況ではないのは確かだろう。
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