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しおりを挟む"お仕置き"のおかげで、1日延泊することになった訳だが…それでも概ね順調に旅路を歩んでいた。温泉地が近づいているからか、周りの景色も山が多くなってきたな。
「タカミ、嬉しそうだね。」
「まぁな。温泉ももうすぐだからな。」
「そうだね。それにタカミ、自然好きだもんね。家だって森にあるし。」
「あー、だな。なんか落ち着くと思ったら街抜けたからか。」
「ふふっタカミって自分のことになると鈍感だよね。」
「そうか?…まあそうかもな。」
「うん、だから代わりに僕がタカミのこと見ててあげる。それでタカミは僕のこと見ててね。」
「ふっ…わかったよ。言われなくてもお前のことはちゃんと見てるけどな。」
「うん、えへへ」
進んでいくと、道は山に続いている。どうやら山越えをする必要があるらしいな。日も沈んできたし、今日はこのへんで野宿にして明日の朝から山へ入ることにした。
「温泉ってこの向こうなんだ。凄いところにあるね。」
「まぁそうだな。温泉は大体山とかの近くにあることが多いからな。」
「へぇ。そうなんだ。タカミは物知りだね!」
「そうか?コクヨウだって色々知ってんだろ。」
「んー、勉強だけはしたからね。魔法とか歴史とか魔物以外の知識はあんまり無いよ。」
「そういうもんか?」
「ふふっうん。ねぇタカミ、今日はくっついて寝てもいい?」
「普段から一緒に寝てんだろ。」
「そうだけど、ぎゅーして寝たいの。」
「いいぞ。今日はちょっと気温低いからな。」
「やった!!んふふー!」
「そんなに嬉しいか?普段と変わらねぇだろ。」
「そんなことないよ?というか普段からもっとくっつきたいなーって思ってるし。」
「はぁ?ならなんで言わねぇ?」
「だって…タカミに嫌って言われたら…僕…耐えられない。」
「言わねぇよ。別に嫌じゃねぇし。」
「ええ!!そうなの?なら早く言えば良かった…今まで勿体なかったなぁ…」
「ふふっそうだろ。これからはしたいことがあればちゃんと言えよ。」
「うん、じゃあエッチしよ?」
「は…?マジで言ってる?」
「うん、タカミが言えって言ったんだよ?」
「断る。断固拒否だ。」
「…えぇ…?なんで…」
「こんなところでするなんて御免だ。寝るぞ。」
「むぅ…温泉街ついたら良い?」
「…いい…と言ってやりたいが、まずは温泉浸からせろ。」
「…そうだね、わかったよ。我慢する…。」
「ふっ…ありがとな。代わりに俺もお前のお願い聞いてやる。まぁ…断るときは断るが。何がいい?」
「ほんと?じゃあ…好きって言って?」
「そんなことでいいのか?」
「うん!タカミからの好きが一番嬉しい!」
「おいで、コクヨウ」
腕を広げて呼べば、コクヨウはすぐにやって来る。俺の胸に額をぐりぐりと押し付けている。そんなコクヨウを抱き締めて、撫でながら、ピンとたった耳元で、囁くように「愛してる」と告げる。
「僕も!僕も愛してるタカミ!」
「ん、お前のこと何よりも大事で、大好きだぞ。」
「うん。」
顔は見えないが、ご機嫌に揺れる尻尾がコクヨウの感情を教えてくれる。ちゃんと喜んでいるらしいな。こんなに可愛いのに、これでも肉食獣なんだよな。こんなに甘えたなところがあるのにな。戦うところを見れば、身体能力の高さも美しいまでに昇華された剣技も、全て格好良く見える。
普段は可愛いやつが、突然男見せてくるんだぞ?そんなの俺の感情グチャグチャになるわ。幼い頃から見てきて頑張ってたのも見てるから、成長してる嬉しさもあるし。って俺何考えてんだ…。
「むぅ…タカミ、こんな時に他ごと考えないで!」
「いや、お前のことだって。」
「ん?そうなの?ならいいや。ずっと僕で頭いっぱいになればいいんだよ。」
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