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しおりを挟む体力回復は2日ほど休みに当てれば十分だったようで、元気になった彼らを連れてかなりのスピードでヘーゲルへ向かっていた。アンズだけは背負われたりしていたが、スピードは落ちていない。
「無理そうだったら言ってくれよ?かなりのペースで進めてる。少しくらい休んだって問題ないぞ。」
「いえ、大丈夫です!食事さえありゃ俺達は丈夫ですから!」
「そうか…まぁコクヨウも丈夫だったからそんなもんか?」
「ふふっ僕はタカミの為ならご飯なくたって頑張れるよ?」
「いや、無理すんなっつってんだろうが。お前は良い子だがそういうところは直さねぇとな。」
「ううん、直すつもりはないよ。タカミ大好き!」
「あー、はいはい。俺も好きだぜ。」
「うん!んふふ」
因みに俺は獣人達と話すがコクヨウは話さねぇ。別に関係が悪そうって訳でも無いんだがなぁ。コクヨウはどうにも同族だろうと全く興味がないらしい。反対に獣人の方からは尊敬されてるみたいだけどな。
一応助けたのもコクヨウだし、獣人は強ければ強いほど尊敬される傾向にあるらしいしな。Sランクにまで上り詰めたコクヨウの強さに尊敬を抱かないはずが無い訳だ。一方通行な思いだが、コクヨウのために獲物を取ってきたりして、健気だなぁと思う。
「どうぞ!今日の飯です!」
「お前たちで食べれば?」
「おーい、コクヨウ?せっかく獲ってきてくれたんだぞ?」
「うん、でももっと美味しいやつ僕が獲ってくるよ!待っててタカミ!」
「お?おー…いや、ちょっ…まっ…あー…行っちまった。悪いなお前ら。」
「いえいえ、構いませんよ。番に自分のとった獲物を渡したいのは当然ですから!」
「…そうか。まぁ、コクヨウは食べないらしいから、食べてくれ。」
「はい」
コクヨウは俺のために"美味しい肉"とやらを獲りにいって、高ランクを持って帰ってきた。まぁ確かに美味くはあるんだよな。けど、そんな簡単に狩ってきていい魔物じゃねぇのよ。全くSランクってのはすげぇよな。
「タカミ!これ好きでしょ?」
「おう」
偉い?偉い?って目を輝かせながら聞かれたら否やとは言えねぇ。ここは褒めてやろう。それで一応それとなく弱い魔物でも美味いから大丈夫だと伝えておこう。
「ありがとな。コクヨウ。良い子だ。」
「っ!うん!!えへへ」
とろける様な笑顔を見せるコクヨウに、俺も悪い気はしない。俺をこんなに好いてくれるのなんてコクヨウしか居ねぇだろう。可愛い子だ。ついつい撫でてしまう。
「ただな…こんな高ランク捕まえてこなくて良い。お前が危ない目に合うのは嫌だからな。もっと弱いのでも俺は好きだからよ。次からは弱いの獲って来い。」
「ふふっ心配してくれるの?優しい!好き!でも大丈夫だよ!コイツ弱いから、簡単に狩れる。」
「いや…でもな?」
「ほら!食べよう?すぐに調理するから!」
「お、おう。」
俺の発言を遮るように獲物を捌き始めてしまったコクヨウにそれ以上言葉が出なかった。うん、また今度ちゃんと言おう。
「焼けたよータカミ!」
「おう」
美味い…舌が肥えちまうよなぁ。こんな良いものばっかり食ってたら。コクヨウのおかげで俺は弱い魔物では満足出来なくなりそうだな。
「んふふ!美味しい?」
「おう」
「良かった!またいつでも獲ってくるからね!タカミ」
「…おう。ありがとな。」
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