【完結済】こんなに好きになるつもりなんて、なかったのに~彼とわたしの愛欲にまみれた日々~

水鏡こうしき

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15/快楽の余韻★

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「ちょっと待ってろ」

 そう言って立ち上がり、とおやがベッドサイドに置かれたビニール袋の中から取り出してきたのは、まだ封を切っていないコンドームの箱だった。外包を剥がし中身を取り出すと、とおやはわたしに背を向けた。

「できる?」
「……できた」

 がちがちに立ち上がった彼の性器に、思わず喉がごくりと鳴った。ゆっくりと仰向けになると、とおやがわたしの足をそろりと開き、己の先端をわたしの膣口に擦り当てる。

「……いいか」
「ん、んッ…………いいよ…………あ、あ、はぅ……ッ!」
「うッ……あッ……!」

 二人の身体が一体となるぞくりとした感覚に、思わず肩が浮く。大きく息を吐けば、ゆっくりととおやがわたしのなかを突いた。

「ほたる……! あ、やば……ッ」

 何度か突いた後、一度身体を外に出したとおやは、わたしの上半身を無理矢理起こす。「どうしたの?」と小首を傾げると、すがるような目で見つめてくる。

「頼む、後ろ……後ろ向いてくれ」
「えっ、ちょっと……待って、とおや、とおや!」

 抵抗する間もなく、強い力で体勢を変えられる。膝をつきシーツを握りしめると、くるりと首だけで振り返った。わたしの腰を引き上げ入口を探すとおやに、か細い声で訴える。

「と……とおや、後ろは……」
「挿れたい」
「うん、いいけど、さ、わたし……後ろは」
「何」
「すぐイッちゃうから、イッちゃうから……あ、あ、あああッ!」
「あぁッ…………!!」

 わたしの膣にとおやが入り込む。ずん──と、一つになった瞬間、わたしの最奥にとおやが達した。

「あッ!あッ!あッ…………ぁぁああッ!」

「どう?」

「あッ……あぅ、うッ……やッ!あッ!あんッ!ああッ……!」

「答えらんねえくらい……気持ちいいってか」

「う、あ、あ、あ、あ、あ、あ……だッ……め、え、い……いッ……イッ……ぅ……」

「もっと?」

「そんな、あッ……突いたらッ、あ…………あああッ!だめぇ、や……い、い……イク……イク、イク、イッちゃう、イッちゃう、イッあ……あああああッ!!」

 ベッドに突っ張っていた腕は力なくふにゃりと折れ、顔面からシーツに突っ伏した。腰から下はぴりぴりと痺れているにも関わらず、尚もとおやはなかを突き続ける。

「……ほら、まだ……!」

「あッうぅッ、も、むりッ!や、イッ……あ、あ、イク、いや、またぁッ……イ、イ、イッちゃう、イク、イク……あ……ああッ!!」

「反応やべ……ほたるッ……お前、すげえ……可愛い……可愛い、ほたる……ほたる……!」

「あ、ああッあ、あ……はぁッ…………あ、あ、んッんッ、やぁああッ!むり、イク、イクぅ、うッあああ!!」



 ──もう、完全に──わたしは──


 彼に……溶かされて、溺れてしまっていた。


 いくら藻掻もがけども、逃れることは叶わない。

 快感で身体じゅうがおかしくなりそうだ。

 それでもわたしは、このまま、彼と、ずっと繋がっていたいと──。










「はーッ…………はーッ…………はーッ…………」
「大丈夫か?」
「むり、むりぃ……」

 身体が離れても、うつ伏せになり動くことが出来ない。快感の余韻はまだ全身にまとわりついていて、わたしをベッドに縛り付けていた。
 ようやく仰向けになると、とおやが力いっぱい抱きしめてくれる。

「でも気持ち良かっただろ?」
「良かった……けど」
「けど、何?」
「なんでもない」

 起き上がれない。というよりも起きたがりたくない気持ちの方が強かった。いつまでもこの余韻に浸っていたい、このまま眠れたらどれだけ幸せか。
 けれどそういうわけにもいかないのだ。明日も仕事なので、そろそろ帰らなければならない。

「ていうかとおや、一人だけお風呂入ったのズルい」
「お前が寝てたからだろうが……つか、わかるのか」
「味でわかるわよ。シャンプーの匂いもするし」

 どうにか身を起こし、服を着た。時計を見てとおやも理解したのか、下着と部屋着を身に付ける。

「……帰りたくないな」
「次来るときは、着替えとかここに置いとけよ」
「そうする」
「んじゃ、送るわ」

 名残惜しげに部屋を後にするわたしとは対照的に、とおやは足取り軽く車へと向かう。やることをやってすっきりとしたような顔つきに、少しの苛立ちも覚えなかったかといえば嘘になる。ひょっとするとまた週末に会えるのだし、と楽観的に考えているだけなのかもしれない。


(なんだろう、この温度差)


 ほんの少しの気持ちのズレ。この時は「そこまで深く気にしたら駄目だ」と目を背けた、わずかな違和。

 帰りの車内で指を絡めて手を繋ぎ、とおやの横顔を見つめると、小さなことに囚われ続けるのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 今が楽しければ──幸せならばそれで良いと、その時はそう思えたのだから。


 


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