歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

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希望の炎編

瓦解

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希望の炎は今、冒険者ギルドの一室にいた。

様変わりして帰ってきた姿を見たリリアが、何かがあったと悟って事情を聞こうとしたのだ。

だがここでもケールとミュア、ユウとパルファが2人ずつ向かい合って座り距離をあけていた。



そうしてしばらくすると誰かが部屋に近づいてきた。ノックと共に入ってきたのは、リリアと見たことの無い人の良さそうな老人だった。



対面の座席があって、その両方に別れて座っているのを見て、老人が片方の眉を少し釣り上げた。

「ほ?面白い座り方をしとるのう。じゃあ儂はこう座るかいな。」

老人はそう言って近くにあった椅子を、俗に言うお誕生日席のポジションに置いて座った。



リリアは少し迷ったものの、ユウがいる方の空いたスペースに座った。



「さて。知っとる者も居るじゃろうが、儂は王都冒険者ギルドのギルド長であるソディスじゃ。そのただ事ならない様子。何があったか話してくれるかのう?」

老人―――ギルド長であるソディスが自己紹介をして、話が始まった。



~~~~~



「なるほどのう。マリと名乗る謎の男か・・・」

洞窟内での話を聞き終えたソディスは、長く蓄えた顎髭を撫でつつ呟く。



「あの・・・ギルド長。あの洞窟には、そんな恐ろしい男が住み着いているのですか?」

リリアの問いに対して、ソディスは首を横に振る。



「うんにゃ。今まで深淵石のクエストを達成した者達から、そのような話は聞いたことがない。今回が初じゃよ。」

そう言ってソディスは立ち上がり、窓から深淵の森の方を見つめる。



「リリアくん。Bランク以上で・・・そうじゃな、精神攻撃スキルに耐性を持っている冒険者を、20名ほど集めて調査団を組んどくれ。その男がまだあの辺りを彷徨うているなら、早急に対処せねばならん。」



リリアは分かりましたと言って、部屋から出ていく。その後、ソディスはまたイスに座って口を開いた。



「して・・・まだ何か話したいことがあるのではないかのう?」

そう言ってソディスが見つめた先に居たのは、パーティーリーダーであるケールだった。

最初はケールも口を開かない。だが数秒して口を開き、全員が恐れていた言葉を発した。











「希望の炎は・・・解散する。」









~~~~~



時が止まったような感覚だった。

パルファは目を見開き、ミュアは涙を流し、ケールは拳を血が滲むほど握っていた。



「確かキミは・・・ケールじゃったな。恵まれた体躯に才覚。希望の炎というのは、勇者パーティーの『希望の光』を真似してつけたのかな?」

メンバーとは反対に、ソディスは淡々とケールに話しかける。



「・・・あぁ。勇者のように偉大なことをしたくって、このパーティーを作った。実力があって、偉業を成し遂げられる奴だけを集めた。」

































「・・・つもりだった。」































少し間を開けた一言。

ユウは目を伏せていたが、その言葉が聞こえた瞬間、顔を前に向けた。

すると目の前には、自分のことを恨めしそうに睨みつけるケールとミュアがいた。



「ギルド長。ユウ・・・こいつはマリって野郎となにか関係がある。1人だけ影響を受けず、今だってピンピンしてやがる。」

「・・・出自も不明だし、街に来たのも最近なんでしょ?あの男もなんだか知ってる風だったし、どっちも隣国のスパイかなにかなんじゃないの?」



ケールとミュアが述べたのは、ここまで何度も何度も言われた疑いの言葉だった。

パルファが何かを怒鳴っているが、その時ユウは別の事で頭がいっぱいだった。



ここは冒険者ギルド。そして目の前には権力者であるギルド長がいる。

そんな場所で嫌疑をかけられ、捕まりでもすれば・・・



ユウの頭に、銀髪の女性が浮かんだ。

自分が冤罪でもかけられれば、優しいあの女ひとが不幸になる・・・





そんなことはゆるサナイ。





思考が歪み、無意識下で2人に向かって手を伸ばし『何か』をしようとした時、パン!と乾いた音によって正気に戻った。

またパルファがケールを叩いたのかと思ったが違う。今の音はソディスが両手を打ち鳴らしたのだ。

前を向くと、ケールとミュアの顔に恐怖の色が張り付いていた。



「そこまで。パーティーの解散は残念じゃが、若い者同士が争う姿を、老い先短い老人に見せんでくれ。」

落ち着きと貫禄のある声によって、各々の声や思いは収まった。



「お主も。冷静さを欠いた意見で捕まえるなんてことはありゃせんから安心せい。」

次にソディスは、ハッキリとユウを見据えてそう言った。



(今・・・俺は何を・・・?)

頭にアルが浮かんだ瞬間、自分は何をしようとしたのか。何かに頭を乗っ取られたような感覚を味わった。











その日はどうやって宿屋に帰ったか覚えていない。ギルドからずっとボーッとしており、いつの間にか宿にいて、いつの間にかベッドに入って休んでいた。











そして夜ふと目を覚ます。

寝起きで朧げな片方の目に映ったのは天井、また、自分に向かって剣を突き立てようとする何者かの姿だった。
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