歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

文字の大きさ
97 / 108
ノワール帝国編

ベルベットという男

しおりを挟む
冒険者ギルドから出て、一行は近くのレストランへ来ていた。
「ベルベットさん、先ほどの話について詳しく教えてください」
巨大な肉の塊にかじりつくベルベットへと、ユウが話しかける。
ベルベットはきょとんとした目でこちらを見ながら、口に含んだ肉を飲み込んで答えた。

「俺ねー、ちょっと前に騎士団入ったばかりでさ。バラモスに声をかけられる前は、森で暮らしてたんだよ」
「森で・・・いつ頃からなんですか?」

「最初からだよ。気づいたときにはもう森で1人だった」
ベルベットはさも当然のことのように告げる。
「森で1人って・・・家族の方など居なかったのですか?」
その答えにパルファも驚き、さらにベルベットに質問をした。

「いないよ。そういうのも少し前に知ったんだよなぁ。これが変だって言われたり、他の人みたりして気づいたんだ」
困ったように腕を組むベルベット。

「・・・じゃあ言葉は?誰に教わったんだ?」
シルバも少し興味が湧いたようで、ベルベットへと問いかける。
「言葉も剣も少し前から教わり始めたんだ。バラモスに初めて会ったときは、まだ何も喋れなかったよ」

「ちょ、ちょっと待ってください!ベルベット殿が騎士団に来られたのっていつ頃なのですか?」
「半年前だよ。それまで他の人間を見たこともなかったし、言葉も剣も知らなかった」
その回答に驚くあまり、パルファが口を開けて固まる。

半年前で言語をマスターし、騎士団団長にまで上り詰める。それならばたしかに大天才だ。
以前、騎士団最強は第1騎士団団長のバラモスであると聞いたことがあるが、この男が現れたことでそれもまた変わっているかもしれない。

「なるほど。生きるために狩ってきた魔物の総量で、登録後一気にBランクまで上がったってとこか」
「うん。バラモスが騎士団になるためには身分証が必要で、1番簡単に取れるのが冒険者証だからって」
説明が終わって、はぐはぐと肉に食いつくベルベット。

(野生的な戦い方はそのせいか・・・)
経歴を知ったことで、ベルベットが今まで見せた行動に一貫性を感じたユウ。
しばらくベルベットを見つめていると、今度はベルベットからユウへと話しかけてきた。

「ユウもさ、なんか同じ感じがするよ」
そう言われて、改めて考えてみる。
物心つく年齢からここまで自分1人の力で生きてきたというベルベット。そこに施設で育ち天涯孤独だった生前の自分を重ねるユウ。

「そうですね、似た者同士なのかもしれません」
ユウがそう言うと、ベルベットはニッと笑ってまた食事を再開する。
その後一行は他愛もない話をしながら食事を終え、ユリウスの街の宿屋で1泊した。

~~~~~

朝起きて、宿屋の1階にあるレストランへと降りるユウ。
そこにはすでにシルバとパルファが居て、パルファの方は朝食をとっていた。
「おはようございます!2人とも早いですね」
「私よりも、シルバさんの方が早かったわ。」
ユウの言葉にパルファが返す。

「街で眠ることに慣れていないんだ」
そう言いながら大きく欠伸をするシルバ。世捨て人の異名はダテじゃないようだ。
ユウが朝食を頼んだ頃、ベルベットも寝ぼけ眼をゴシゴシと掻きながら登場した。

「よし!そろそろ行くぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
4人が揃った頃、別の団体客が威勢よく宿屋から出ていった。
「あれは・・・冒険者じゃないですよね?」
「おそらく傭兵だな。いざこざが絶えない国境付近は、奴らにとっちゃ絶好の稼ぎ場所なのさ」

そういえば、城塞都市ルーグの手前であるディガイアにも多く居たなと思い出すユウ。
(今日この街を出るまでに絡まれなきゃいいけど・・・)
以前あったいざこざを思い出し、そう考えるユウであった。

その後全員が朝食を食べ終わり、宿屋をチェックアウトして早速次の街に向けて歩き出す。
「ほら、今朝みたいな連中がゴロゴロいるだろ?」
シルバの言葉に辺りを見回すユウ達。
確かに周囲には、冒険者や一般人に混ざってそのどちらでもない気配の人間がいる。

「国外担当の第3騎士団であれば、傭兵を相手取ることも多いのではないですか?」
「結構あるねー。でもみんな大したことないよ」
パルファの質問にヒラヒラと手を振って答えるベルベット。周囲に聞こえてたらマズイ内容に一瞬ドキッとしたが、どうやら喧騒に紛れたようだ。

そうして街中を抜けた一行は、来たときと反対側の門へとたどり着く。
そこで不意に、声をかけてくる者がいた。
「あの、すみません!もしや冒険者様ですか?」

振り返る一行の目の前には、黒髪で華奢な女性が立っていた。
「えぇそうですが、どうされましたか?」
パルファが答えると、その女性は懇願するように言う。

「もし隣町まで行くのでしたら、私も同行させてはくれませんか?」
深く頭を下げて、女性は一行へと頼み込んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...