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ノワール帝国編
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「次の者!身分証を提示せよ!」
ユウたちはそう言われて、ポケットからバッジ型の冒険者証を出す。
「なんだ冒険者か、紛らわしいから衣服に付けておいてくれ。通ってよし!」
ユウ達一行は街の外へ出る。
「次の者!・・・なんだ薬師のアリスさんか。通ってよし!」
続いて先ほど声をかけてきた女性、アリスも外へ出てきた。
「お待たせしました」
「いえいえ、でも大変でしたね。護衛を依頼していた傭兵に裏切られるなんて・・・」
ユウはアリスへとそう返す。
「はい、往復代で提示していた金額を片道分だと言われて取られてしまって・・・前金がないためギルドへ依頼を出すこともできず、門のところで冒険者の方を探していたのです」
苦笑いをしながら、アリスは続ける。
「隣町のセイムスにある家に帰れましたら、お礼は必ずさせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
そう言って、また深々と頭を下げるアリス。
「頭をあげてください、あなたは被害者です。私たちがセイムスまで、あなたを護衛します」
パルファが勇者然として態度で言うと、アリスは安心したようだ。
「・・・」
「♪~♪~」
マイペースな2人は、アリスについて全く興味を示していない。
だが自然とアリスを真ん中に歩かせているあたり、不満があるわけではないだろう。
「あの、今更なのですが・・・もしかしてクエストを受けていて、私のために隣町まで行くように変更したなんてことは・・・?」
時間を置いて、また少し心配そうに聞いてくるアリス。
「安心してください。我々も王都に用がありまして、セイムスの街は必ず通る予定でした」
その言葉を受けて、改めてアリスはホッとしたようだ。
こんなに気遣いができる人を陥れるとは。以前自分が経験した1件もあり、ユウの傭兵への株価は大暴落している。
「そういえばアリスさんは薬師だと。ユリウスにいらっしゃったのも、そのお仕事ですか?」
「はい。実は私、序列は低いものの宮廷仕えの薬師をしてまして、定期的に国境沿いまで薬を作りに来ているのです」
それを聞いて、だから兵士も存在を知っていたのかと納得するユウ。
「前線はいくら装備と薬があっても足りませんからね」
「えぇ。私の父も、もっと薬が足りていれば戦争で命を落とすこともなかったと思います・・・」
そう言って少し目を伏せるアリス。
「王国が、憎いですか?」
パルファが苦しそうに、そう問いかける。
答えは決まっているだろう。だが勇者として知見を広げるための冒険でもある今回、パルファは知りたくないことも知らなければならない。
だがアリスの答えは、そんな意に反したものだった。
「いいえ、そんなことないです。父が死んだのは薬が足りなかったからで、王国のせいではありません。戦争とはそういうものです。恨みはお互い様でしょう」
そう答えたアリスは口をつぐんだ。敵国といえど、こういう人もいるのだ。
そのまま5人は、隣町へ向けて歩き続けた。
~~~~~
もうすぐ夜にさしかかる頃、一行はセイムスへと到着した。
「私のせいで遅くなってしまいすみません・・・」
そうアリスが謝ってくる。本来ならばもっと早い時間に着く予定だったのだが、一般人である彼女のために何度か休憩を挟んでこの時間になったのだ。
「・・・いえ、我々も実は国境沿いのクエスト終わりで疲れていたので、むしろちょうど良いペースでしたよ」
パルファが嘘をつきフォローをしたことで、少しアリスの顔も晴れる。
「お優しいのですね。ではせめて今晩の宿は、私に面倒みさせてください!」
そう言って、アリスは先頭を歩き門へと近づく。
問題なく街に入った一行は、アリスに案内されるまま1軒の宿屋へ来た。
「ミスラさーん!アリスです!」
扉を開けるなり、大きい声で中に向かって叫ぶアリス。
「はいはい、いらっしゃい!アリスちゃんどうしたの?こんな時間に」
すると奥から恰幅の良い女性が出てきた。
エプロンをしており香ばしい匂いもすることから、夕食でも作っていたのだろう。
「急なんだけど、今晩この方たちのお部屋を用意して欲しいの!今月分のお薬代タダにするから・・・ね?」
拝むように両手を合わせて、アリスはミスラという宿屋の主婦にお願いをする。
「ちょっとちょっと、そんなことしてもらわなくても大丈夫さね。4人ならすぐ用意できるわよ。ちょっと待ってなさい」
そう言って奥に引っ込み、少しして料理を持ってミスラは帰ってきた。
「皆さん、とりあえずご飯でも食べて待っててくださいな。そのあいだにお部屋を準備してきますから」
他の客も匂いを嗅ぎつけて降りてくるなか、テキパキと動きながらミスラは2階へと上がっていった。
「よかったです・・・!この街は帝都方面以外にもアクセスがよくて、結構すぐ宿屋さんが埋まっちゃうので」
アリスが安心したように言う。
「そうなのですね。アリスさん、どうやら宿代までみてもらったようですみません」
「いえいえ、帰ってこれたのは皆さんのおかげですから!もちろん、護衛のお礼はまた別でご用意させてください」
「ここまでしていただいたので、これ以上は・・・」
パルファがそう遠慮すると、アリスは少し考える。
「でしたらお礼の代わりに、次の街にあるおすすめの宿屋さんやお食事処をお教えします!」
「いいですね!それなら是非!」
2階から帰ってきたミスラにアリスの料理も注文して、一行は食事を楽しみながら次の街について話を聞いた。
ユウたちはそう言われて、ポケットからバッジ型の冒険者証を出す。
「なんだ冒険者か、紛らわしいから衣服に付けておいてくれ。通ってよし!」
ユウ達一行は街の外へ出る。
「次の者!・・・なんだ薬師のアリスさんか。通ってよし!」
続いて先ほど声をかけてきた女性、アリスも外へ出てきた。
「お待たせしました」
「いえいえ、でも大変でしたね。護衛を依頼していた傭兵に裏切られるなんて・・・」
ユウはアリスへとそう返す。
「はい、往復代で提示していた金額を片道分だと言われて取られてしまって・・・前金がないためギルドへ依頼を出すこともできず、門のところで冒険者の方を探していたのです」
苦笑いをしながら、アリスは続ける。
「隣町のセイムスにある家に帰れましたら、お礼は必ずさせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
そう言って、また深々と頭を下げるアリス。
「頭をあげてください、あなたは被害者です。私たちがセイムスまで、あなたを護衛します」
パルファが勇者然として態度で言うと、アリスは安心したようだ。
「・・・」
「♪~♪~」
マイペースな2人は、アリスについて全く興味を示していない。
だが自然とアリスを真ん中に歩かせているあたり、不満があるわけではないだろう。
「あの、今更なのですが・・・もしかしてクエストを受けていて、私のために隣町まで行くように変更したなんてことは・・・?」
時間を置いて、また少し心配そうに聞いてくるアリス。
「安心してください。我々も王都に用がありまして、セイムスの街は必ず通る予定でした」
その言葉を受けて、改めてアリスはホッとしたようだ。
こんなに気遣いができる人を陥れるとは。以前自分が経験した1件もあり、ユウの傭兵への株価は大暴落している。
「そういえばアリスさんは薬師だと。ユリウスにいらっしゃったのも、そのお仕事ですか?」
「はい。実は私、序列は低いものの宮廷仕えの薬師をしてまして、定期的に国境沿いまで薬を作りに来ているのです」
それを聞いて、だから兵士も存在を知っていたのかと納得するユウ。
「前線はいくら装備と薬があっても足りませんからね」
「えぇ。私の父も、もっと薬が足りていれば戦争で命を落とすこともなかったと思います・・・」
そう言って少し目を伏せるアリス。
「王国が、憎いですか?」
パルファが苦しそうに、そう問いかける。
答えは決まっているだろう。だが勇者として知見を広げるための冒険でもある今回、パルファは知りたくないことも知らなければならない。
だがアリスの答えは、そんな意に反したものだった。
「いいえ、そんなことないです。父が死んだのは薬が足りなかったからで、王国のせいではありません。戦争とはそういうものです。恨みはお互い様でしょう」
そう答えたアリスは口をつぐんだ。敵国といえど、こういう人もいるのだ。
そのまま5人は、隣町へ向けて歩き続けた。
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もうすぐ夜にさしかかる頃、一行はセイムスへと到着した。
「私のせいで遅くなってしまいすみません・・・」
そうアリスが謝ってくる。本来ならばもっと早い時間に着く予定だったのだが、一般人である彼女のために何度か休憩を挟んでこの時間になったのだ。
「・・・いえ、我々も実は国境沿いのクエスト終わりで疲れていたので、むしろちょうど良いペースでしたよ」
パルファが嘘をつきフォローをしたことで、少しアリスの顔も晴れる。
「お優しいのですね。ではせめて今晩の宿は、私に面倒みさせてください!」
そう言って、アリスは先頭を歩き門へと近づく。
問題なく街に入った一行は、アリスに案内されるまま1軒の宿屋へ来た。
「ミスラさーん!アリスです!」
扉を開けるなり、大きい声で中に向かって叫ぶアリス。
「はいはい、いらっしゃい!アリスちゃんどうしたの?こんな時間に」
すると奥から恰幅の良い女性が出てきた。
エプロンをしており香ばしい匂いもすることから、夕食でも作っていたのだろう。
「急なんだけど、今晩この方たちのお部屋を用意して欲しいの!今月分のお薬代タダにするから・・・ね?」
拝むように両手を合わせて、アリスはミスラという宿屋の主婦にお願いをする。
「ちょっとちょっと、そんなことしてもらわなくても大丈夫さね。4人ならすぐ用意できるわよ。ちょっと待ってなさい」
そう言って奥に引っ込み、少しして料理を持ってミスラは帰ってきた。
「皆さん、とりあえずご飯でも食べて待っててくださいな。そのあいだにお部屋を準備してきますから」
他の客も匂いを嗅ぎつけて降りてくるなか、テキパキと動きながらミスラは2階へと上がっていった。
「よかったです・・・!この街は帝都方面以外にもアクセスがよくて、結構すぐ宿屋さんが埋まっちゃうので」
アリスが安心したように言う。
「そうなのですね。アリスさん、どうやら宿代までみてもらったようですみません」
「いえいえ、帰ってこれたのは皆さんのおかげですから!もちろん、護衛のお礼はまた別でご用意させてください」
「ここまでしていただいたので、これ以上は・・・」
パルファがそう遠慮すると、アリスは少し考える。
「でしたらお礼の代わりに、次の街にあるおすすめの宿屋さんやお食事処をお教えします!」
「いいですね!それなら是非!」
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