短編小話

kuro

文字の大きさ
6 / 6
ヤンデレ後輩ちゃん

囚われた少年は今

しおりを挟む
俺はあの後、条件付きで家の中を歩き回っていいことになった。相変わらず手には手錠がはめられているため、楽にとは言わないが…それでもあの暗闇と比べたらマシだと思ってしまった。

家には家族がいないので、おそらく俺は突然学校を休み出したヤバいやつ…っていう認識になっているだろう。課題とか、そういうのは大丈夫だろうか……

「ただいまです~」

一葉が帰ってきた。俺は行けないが、一葉は学校に行くように言っている。さすがにこいつまで行かないというのはまずいからだ。勉強はしてもらいたい。

「言ってた参考書とか買ってきましたよ」

そう言って一葉はリュックから大量の参考書などを出して俺に渡した。
俺はそれを確認して「ありがとう」と言ってページをパラパラと開いた。

「勉強するんですか?」

「一応な。受験の時に困らないように家でもやらないといけない。」

それにここから逃げだしてから何も理解できない…なんてことだけは避けたい。

「一応、お前にも教えてやるつもりだから…分からないことがあったら聞いてくれよ」

「でもテストまで結構日数ありますよ?」

「早いうちからやっておいたら1日漬けでやる必要も無いだろ。」

「確かにそうかも」

「ま、ゆっくりやることにするよ。ありがとうな」

これでペンも持てるようになるな。早く逃げ出せるようにしなければ……
俺は密かに勘づかれないようにそう思うのだった。




「あれ……遅いな」

いつもなら帰ってくる時間に帰ってこない。何かあったのか?
あいつは毎日最低でも誤差5分の間には帰ってくるくらい時間をしっかりと守る。だが何故かわからないが今日は30分経過した今でも帰ってくる様子がない。

「…なんで俺……心配してるんだ?」

まさかこれまでのここでの生活で何か変なことでも…
いやまさかそんな……等と考え込んでいると玄関の扉が開いた。
帰ってきた一葉は何故か怒っているような様子で、黙ってこちらに歩いてきて

「先輩…何かしましたか?」

と尋ねられた。なんの話しか分からなかったので
「何がだ?」と聞き返すと

「さっき先輩と同じ学年の人が近くまで来てました。もしかしたら何か情報を流したのかなと」

「そんなことできないだろ…ここには固定電話もないから外のの連絡方法はお前の携帯だけだ」

「うーーん…でも一応一週間くらいは行動を制限しますね」

どうやら信用は足りなかったらしい。

「わかった…仕方ない」

「一週間の我慢ですから…ね。」

今すぐに逃げ出せる筈なのに……なんで俺はこうもここから逃げ出せないのだろうか。
そう思えてくるのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

【ヤンデレ八尺様に心底惚れ込まれた貴方は、どうやら逃げ道がないようです】

一ノ瀬 瞬
恋愛
それは夜遅く…あたりの街灯がパチパチと 不気味な音を立て恐怖を煽る時間 貴方は恐怖心を抑え帰路につこうとするが…?

看病ヤンデレ

名乃坂
恋愛
体調不良のヒロインがストーカーヤンデレ男に看病されるお話です。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...