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その5
5−6
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どのメールももう一度逢いたい、というものだった。みんながみんな、私みたいなぽっちゃりおばさんに逢いたいだなんて、と感激したけれど、やはり商売を再開する気にはなれなかったの。だから私は全員に同じメールを送ったわ。
ーーーーー
マキです。連絡が遅れてごめんなさい。詳しいことは書きませんけど、ある人に騙されました。酷い目にあって、命からがら脱出、なんてことになったんです。私はそれを機にお仕事を辞めさせていただきました。メールアカウントも削除していました。たまたま復活させたらメールをいただいてたのに気づき、あわてて返信しているのです。
そういうわけで、もうお会いすることはできません。どうぞお元気で。
ーーーーー
お客さんとの思い出は楽しいものだけど、どうしてもあの時のことまで思い出してしまう。
思い出したついでにと、サヤちゃんと香織さんを見舞いに行くことにした。二人ともまだ入院してるのかしら。
香織さんはずいぶん前に退院していた。だけどサヤちゃんはまだもう少し入院が必要とかで、病室には母親が付き添っていた。
私はサヤちゃんに挨拶をし、それから母親にも挨拶した。
「このたびはどうも。あなたが頑張って脱出したおかげで娘も助かったとか」
と、ていねいにお礼を言ってくれたけれど、その節々にどこか私を蔑むような目つき、表情、もの言いが混じっているように感じた。これが身体を売ることの心の痛みなのかもしれなかった。
少し休ませてもらいます、と母親が病室を出ていくと、サヤちゃんはそれを待っていたように、すぐさま私の手を握ってきた。
「おばさん。私、今も怖いんです」
「寛治くんだね。まだ捕まらないの?」
サヤちゃんは黙ってうなずいた。
「大丈夫。きっと警察が捕まえてくれるから。何か情報入ったら私にも教えてくれない?私も送るからさ」
私たちはラインIDを教えあった。
その帰り、何人かの元お客さんからメールが来た。
お見舞いの言葉と、再開するときは一番に知らせてくれ、というものだったわ。
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マキです。連絡が遅れてごめんなさい。詳しいことは書きませんけど、ある人に騙されました。酷い目にあって、命からがら脱出、なんてことになったんです。私はそれを機にお仕事を辞めさせていただきました。メールアカウントも削除していました。たまたま復活させたらメールをいただいてたのに気づき、あわてて返信しているのです。
そういうわけで、もうお会いすることはできません。どうぞお元気で。
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お客さんとの思い出は楽しいものだけど、どうしてもあの時のことまで思い出してしまう。
思い出したついでにと、サヤちゃんと香織さんを見舞いに行くことにした。二人ともまだ入院してるのかしら。
香織さんはずいぶん前に退院していた。だけどサヤちゃんはまだもう少し入院が必要とかで、病室には母親が付き添っていた。
私はサヤちゃんに挨拶をし、それから母親にも挨拶した。
「このたびはどうも。あなたが頑張って脱出したおかげで娘も助かったとか」
と、ていねいにお礼を言ってくれたけれど、その節々にどこか私を蔑むような目つき、表情、もの言いが混じっているように感じた。これが身体を売ることの心の痛みなのかもしれなかった。
少し休ませてもらいます、と母親が病室を出ていくと、サヤちゃんはそれを待っていたように、すぐさま私の手を握ってきた。
「おばさん。私、今も怖いんです」
「寛治くんだね。まだ捕まらないの?」
サヤちゃんは黙ってうなずいた。
「大丈夫。きっと警察が捕まえてくれるから。何か情報入ったら私にも教えてくれない?私も送るからさ」
私たちはラインIDを教えあった。
その帰り、何人かの元お客さんからメールが来た。
お見舞いの言葉と、再開するときは一番に知らせてくれ、というものだったわ。
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