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その5

5−7

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 岡崎です。マキさんにそんな大変なことが起きていたとは、僕は夢にも思っていませんでした。マキさんには何とも言えない色気があって、僕には忘れられないのです。大人の色気というのは、若いうちはわからないものです。でも歳を取ると見えてくる。マキさんはそんなあちこちの年寄りどもから引っ張りだこになってるんだろうなあ、今もどこかの爺さんを天国に連れていってるんだろうな、なんて思っていたのです。

 もう仕事をお辞めになったと書いておいでですね。マキさんのお仕事はいわゆる性行為ではなかったですよね。ただ男たちの溜まったものを放出する、そのお手伝い。それがあなたの仕事だったはずです。掲示板では確かにそうなっていました。それなら法律的にはグレーであるものの黒ではない。

 更に言うなら僕などは放出もしていない、僕のあそこは時折、官能的なしびれが走ったものの、勃起さえしなかったのです。僕はただ、あなたのぬくもりをこの身に感じたい、それだけを希望しているのです。ですのでマキさんはお仕事を再開することなく、僕と時を過ごすことは可能なのです。

 お願いです。寂しい年寄りの願いです。また逢いに来てはくれませんか。送り迎えもします。危険なことは何もありません。どうか、どうかお考えください。

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 岡崎さんの二通目のメール。地下鉄の電車に揺られながら読んだわ。

 岡崎さんのことはよく覚えているわ。私を姐さんと呼び、自分のことは僕、と呼んでたわね。背筋がシャッと伸びていて立ち姿が若々しかったわ。どこを取っても粋な人だった。
 でも、やっぱり会いには行けないな、と私は思ってるの。
 だって今、私はあなたの創った会社に勤めていて、社長はあなたの息子さんで、多分私より若い。もし社長のお父さんの愛人だなんてことが噂になったら、三人が傷付くことになる。
 私は断りのメールを送るしかなかった。

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 マキです。そこまで言ってくださって、本当に嬉しいです。でも会いには行かないでおこうと思います。岡崎さんのことはよく覚えています。あの夜は本当に幸せでした。女の喜びというものを教えて下さいました。私の下半身は今でも冷たいままですが、乳房は誰かに触られるのを待っています。他人の胸にギュッと押しつけられるのを待ち望んでいます。あなたがその喜びを教えてくれたのです。
 それでも私はお会いしないでおこうと思います。岡崎さんの想いに応えるには時間が必要なんです。

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