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その6

6−7

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「こんなこと言うと大人ってみんなエッチだなあって思うかもしれないけどね、サヤちゃんて本当に可愛い。なんか心配になるくらい」

「心配?」

「鳥取に行っても、そこでまた悪い男から眼をつけられるんじゃないかって思ったのよ。ねえ、おばさんのアドバイスだけど、SNSはしないほうがいいと思う。してもいいけど顔は出さないほうがいいよ。私が男だったら・・あ、ごめんなさい!嫌なこと思い出させた?」

「いえ。どうせいつも思い出しちゃうから」
 うつ向いて寂しく笑うその仕草に、私はサヤちゃんの横の椅子に座り直して、その身体をギュッと抱いた。

「駄目よ。忘れるの・・・あれは悪い夢だったのよ」

「おばさん。忘れさせてくれませんか」

「いいよ。USJにでも行く?」

「そうじゃなくて・・・」
 サヤちゃんはそう言うと、私の胸から顔を離して、ブラウスのボタンを外し始めた。

 おっぱいだ・・・人のぬくもりが欲しいのね、と私は察した。

「わかった。脱ぐからね」
 と、私は自分からすすんでブラウスを脱ぎ、そのままブラも脱ぎ捨てると、
 ボヨヨン!
 ふたつの大きなおっぱいが外からの陽ざしにさらされた。

「暗いところがいいんですけど」サヤちゃんが消え入るような声で言う。

「あらま」
 私は腕で乳房を支えながらキッチンの隣、ベッドルームに移動して、カーテンを引いた。
 振り向くと、サヤちゃんがベッド脇で自分の服を脱いでいる。
 あの時の状況を望んでるんだわ、そう判断した私は、ジーパンと下着も脱いだ。

 丸裸になって顔をあげると、美しい子どもの姿が目の前にあった。ほんの少しふくらんだ胸。ふっくらしたあそこに薄っすら生えている柔らかそうな陰毛。
 中性的なその身体はまるで天使みたい。でもこの子は心を深く傷付けられた、可哀想な天使なのだ。

「おいで」
 私はサヤちゃんを抱き寄せて、ベッドに寝せた。それから彼女の口元に乳首を近づける。

「おばさん。お願い、子ども扱いしないで欲しいの」

 私はその意味がわからずにキョトンとするばかり。

「あの人たちがやったようなこと。私をオンナとして扱った、あんなようなことをおばさんにして欲しいの」
 サヤちゃんは張りつめた表情をしていた。その目が真に訴えている。
「記憶を上書きしたいんです」

「でも私は女だよ。肉茄子なんか付いてないし」

「にくなすび?」

「あ、ごめん、わからないよね。肉茄子って呼んでるのよ、男のぶら下げてるやつ」

「ええ?誰がそう呼んでるんです?」

「私だけよ、そんなふうに言うの」

 突然、サヤちゃんは大笑いを始めた。その顔を見た私も釣られ笑いしちゃったわ。

「にくなすび、にくなすび」

「 そう。で、萎んだやつはぶらんぶらん!」

「ぶらんぶらん!アハハハハ」

「 ふふっ。男ってさ、馬鹿みたいだよね、あんなもの前にぶら下げて。サルトルって哲学者が言ったんだけどね、しょせん男は喜劇役者だって。見た目が喜劇そのものなんだよね」

 サヤちゃんは大笑いをしばらく続けたあと、何かを吹っ切ったように乳首に吸い付いてきた。私はサヤちゃんの髪を優しく撫でる。何度も、何度も。

「ずっとそうやってていいわよ。鳥取に行っても、いつでもまたいらっしゃいね。このおっぱいはサヤちゃんにあげるから」


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