バスと痴漢とガムテープ

鳴神楓

文字の大きさ
4 / 10

目には目を☆

しおりを挟む
 橋場の話を聞いて、こいつが俺に痴漢した理由は一応理解できた。
 同じ男としては、好きなやつがすぐ側で無防備に寝ていたら手を出したくなる気持ちもわからないでもなかったから、あまり怒る気にもなれなかったし、まだ大学生の橋場に何か償いをさせたいとも思っていない。
 それでもやはり痴漢は犯罪だし、無罪放免というのもこいつの教育上よくない気がする。

 まあ、ちょっとこらしめておけばいいかな。

 心のなかでそう結論を出した俺は、橋場に話しかける。

「まあ、そこまでしてもらう必要はないけど、相応の罰は受けてもらうぞ」
「はい、覚悟してます」
「じゃあ、目には目を歯には歯をってことで」

 そう言いながら俺が橋場の隣に座り直し、橋場のズボンのファスナーを下ろすと、橋場は慌て始めた。

「な、中村さん、何して……」
「俺がお前にしたのと同じことしてやるんだよ。
 他人に急所握られて反抗も出来ずに好き勝手されるのが、どれだけ怖くて嫌なことか、お前もよく味わって反省しろ」

 俺はあの時バスの車内という状況のせいで反抗できなかったのだが、今の橋場も手首をガムテープで拘束されているから反抗できないという点では同じだ。
 こいつもあの時の俺と同じ気分を味わって、ちょっとは反省すればいい。

「えっ、あの、そんな」

 うろたえている橋場には構わずに開けたファスナーから手を入れて下着の中からナニを取り出す。
 自分のモノとは少し形は違うものの似たようなサイズのソレは、取り出してみるとどういうわけか少し芯を持っていた。

「え、なんで固くしてんの?」
「だ、だって、中村さんにこんなことされたら僕……」
「あー、そうか。
 俺のこと、好きなんだっけ……」

 別にそのことを忘れていたわけじゃないのだが、それでも俺はいまいち実感できていなかったのだと思う。
 こうして橋場が俺のすることに期待してナニを反応させているのを見て、俺は何とも言えない気分になる。

「しかし、これじゃあ罰じゃなくてご褒美だよなあ」
「すみません……」

 橋場は体を小さくしているが、股間のモノはさっきよりも大きくなっている。

「まあ、いいか。
 急所握ってることに変わりはないんだし、何とでもやりようはあるだろ」

 とにかく橋場が俺にやったのと同じことをしてみようと、俺は橋場の股間のモノを右手で握る。

 すでに固くなりかけていたソレは、俺が握ると完全な勃起状態になった。

「くぅっ……」

 筒状にした手を軽く上下させただけで、橋場は切なげな声をあげる。
 自分の経験上感じるとわかっている裏筋や先っぽなどを刺激すれば、橋場のモノは面白いくらいに反応する。

 ちらりと橋場の顔を見ると、快感のせいで頬を赤くしながらも、俺に罰だと言われた手前、快感に流されてはまずいと思っているのか、神妙な顔つきをしている。
 そのくせ、瞳だけは嬉しさを隠しきれないようにキラキラと輝いているのだ。

 こいつ、本当に俺のこと好きなんだな。

 あの日バスで橋場に痴漢された時、俺は嫌だったし怖かったのに、俺が橋場に同じことをしても、俺に恋する橋場にとっては、怖いどころかむしろ美味しいシチュエーションなのかもしれない。

 なんていうか、こいつもある意味かわいそうなやつだよな。

 小学生の時に、うっかり自分のような男に恋をしてしまったばっかりに、ずっとかわいい女の子やゲイだとしても身近にいる男と付き合うこともできずに毎日通学する俺を眺めるだけの片思いで、挙句にその片思いをこじらせすぎて痴漢という犯罪行為まで犯してしまい、しかもその結果こんなふうに両手の自由を奪われて急所を握られて好き勝手されているのにそれすらもご褒美だと感じてしまう残念な性癖になってしまうなんて、何というか哀れ過ぎる。
 自分が学生時代にしてきた、辛いこともあったけど楽しいことも多かった幾つかの恋愛のことを思えば、橋場は完全に青春を無駄遣いしていて、俺程度が言うにはあまりに上から目線だが可哀想だ。

 俺の手で大きくなった橋場のモノはそろそろ弾けそうで、橋場はもう快感を隠すことも出来ずに息を荒くしている。

 ここでイカせないようにして寸止めすれば、罰にはなるんだけど、なあ。

 本当は橋場に痴漢行為の罰を与えるべきなんだろうけど、こうして橋場が本気で俺のことを好きなんだと実感し、彼が送ってきた哀れな青春時代を想像してしまった後では、もう罰なんか与える必要なんかないんじゃないかと思ってしまう。

 ……まあ、もういいことにするか。

 そう、心の中でつぶやいて、俺は橋場のモノを握る手の動きを速める。

「あっ、あの、中村さん、そんなにされたら、僕、イッちゃいます……」
「いいぞ、イキそうならイッても」
「え、あ、そんな……あ、くっ…!」

 橋場は本当にイッてしまってもいいのかと迷うような表情をしていたが、結局はイカせようとする俺の手に逆らえず、申し訳なさそうな顔をしながら達してしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

有能課長のあり得ない秘密

みなみ ゆうき
BL
地方の支社から本社の有能課長のプロジェクトチームに配属された男は、ある日ミーティングルームで課長のとんでもない姿を目撃してしまう。 しかもそれを見てしまったことが課長にバレて、何故か男のほうが弱味を握られたかのようにいいなりになるはめに……。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

かわいい王子の残像

芽吹鹿
BL
 王子の家庭教師を務めるアリア・マキュベリー男爵の思い出語り。天使のようにかわいい幼い王子が成長するにつれて立派な男になっていく。その育成に10年間を尽くして貢献した家庭教師が、最終的に主に押し倒されちゃう話。

またのご利用をお待ちしています。

あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。 緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?! ・マッサージ師×客 ・年下敬語攻め ・男前土木作業員受け ・ノリ軽め ※年齢順イメージ 九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮 【登場人物】 ▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻 ・マッサージ店の店長 ・爽やかイケメン ・優しくて低めのセクシーボイス ・良識はある人 ▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受 ・土木作業員 ・敏感体質 ・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ ・性格も見た目も男前 【登場人物(第二弾の人たち)】 ▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻 ・マッサージ店の施術者のひとり。 ・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。 ・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。 ・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。 ▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受 ・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』 ・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。 ・理性が強め。隠れコミュ障。 ・無自覚ドM。乱れるときは乱れる 作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。 徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。 よろしくお願いいたします。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

溺愛じゃおさまらない

すずかけあおい
BL
上司の陽介と付き合っている誠也。 どろどろに愛されているけれど―――。 〔攻め〕市川 陽介(いちかわ ようすけ)34歳 〔受け〕大野 誠也(おおの せいや)26歳

処理中です...