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第四章
4-4
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腹の子供に障るからと憤慨する妻を宥めながら歩いていれば、太助の前でうろうろと道を往ききする少女の横顔が目に入った。
太助の扉を叩こうとするがすぐ手を引っ込めて、去ろうと背を向けるが、すぐに正面を向いて同じように叩こうとする。しかし一向に叩かず、同じような動作をずっと繰り返していた。
その様子に気付いた由希は客人かしらと怒りを鎮めて、二人でその少女に近付いて行けば、二人の気配に気付いたのか、その少女はハッとして二人に顔を向けた。
パサリと肩より少し伸びた髪が揺れて、その少女の頬に当たる。それはまるでゆっくりと時が進むように見えてしまった。
というのも————息を飲むほどの美少女だった。
零れんばかりのぱっちりとした二重で、その瞳は澄んだ淡い茶色に染み一つない肌。瞼が震えれば、長い睫毛も音が立ちそうなほどだった。小さな鼻に形の良い唇に、どこをとっても、文句の付け所がない。
着ている着物は淡い黄色で、その淡さが少女の美少女ぶりを余計目立たせていた。小花が咲き誇る柄は柔らかく女性らしさを醸し出させ……。
先刻から美形ばかりみるから思わず、見惚れてしまった…と由希は思ったが、どうもこの美少女を何処かで見た気がしてならない。
こう…髪が短ければ…
大きく見開いた瞳が潤み出して由希と恵之助は二人して慌てだした。
見つめ過ぎてしまったと思い少女に声を掛けようとした矢先、少女が先に口を開いて、自分の名前を呟かれて驚いた。しかしそれよりも声を聞いて由希は驚愕に目を見開いた。
「————由希さん」
「え…あら…? その声、まさか、ゆき君———」
くしゃりと顔を歪めた少女の名前を呼ぶと————雪は由希の胸に突然飛び込んできて、泣きじゃくりながら謝罪を繰り返す由希の胸に顔を埋める雪の背中を擦りながら、由希は恵之助と顔を見合わせたのだった。
※ ※ ※
「落ち着いた…?」
「ぐす…はい…」
注いであげたお茶の湯飲みを両手で挟んで口に運ぶ雪の仕草をじっと見ながら由希は人知れず溜息を吐く。
何をしてもその仕草、綺麗なのだ…。
「私、謝らなきゃってずっと思ってて…でも私が勝手に現れたら迷惑だろうって、思ってて…」
と弱々しく吐いた雪は湯飲みの茶に映る自身をじっと見つめた。
由希は由希で、自分の知る少年が女の子の格好をして現れ、自分の事も『私』と呼んでいる事に気付いたが、違和感がなさ過ぎて通り過ぎようとした疑問を由希は慌てて掴んだ。
「その恰好はどうしたの…?」
「これ…! やはり変ですよね、女の子の格好…」
「いえ…違和感なさ過ぎて怖いくらいよ…」
純粋に褒めたつもりだったが、お世辞だと思われたようで少女は小さく笑う。
「ありがとうございます…男性の着物で行こうと思ったのですが、これを着ていけと言われて…」
「誰かの世話になってたの?」
「私が行き倒れているのを助けてくれた女性が居て…そこのお世話になってました。そこで私は掃除、洗濯、料理を振舞ったりしてて…」
監禁されてたのではなかった…と由希はホッとして胸を撫で下ろした。
「今まで、どこに…?」
「佐川町の花街にいました」
「そんなに近くに…!? でも姿はなかったけど…」
確か京はそこまで探しに回った筈だ。
「外には全く出なかったので…。そこで拾われて、元気になった後にそこの雑用係として雇ってもらったんです。皆さんから凄く優しくしてもらって…そうこうしてたら、そこに北さんが現れて…お姐さんが病気で倒れたのでお医者さんを呼んだらそのお医者さんが北さんだったんです。そこで北さんから、由希さんの話を聞いて、それで」
ポロポロと流す涙が、ぽたぽたと湯飲みへ落ちて水面が揺れた。
「私の話?」
「由希さんが、僕が家を出た後に久賀様と別れたって聞いて…! それで、僕、僕のせいだって、僕が二人の幸せを壊してしまった! 二人の幸せを壊してしまった僕がこうやって呑気に暮らしてるなんて、なんて愚か者なんだろうって」
「んんんんん?? ちょっと待ってね、ゆき君、私の話を」
「だから、僕はこうして、遅いかもしれないけど、誤解なんだって、久賀様は由希さんを好いていて僕はそれに気付かずに久賀様の優しさに縋っていたんです、誤解だから、久賀様とよりを戻して欲しいです…! 僕はその為に謝罪だけじゃなくて、何でもします…! だから、よりを戻して下さい! それを言いに、僕は此処へ来たんです!」
がしり、と少女は由希の手を握った。
必死な形相に息を飲む。誤解過ぎるが、恵之助と夫婦になった事を知っている筈だし、子供もできた事を知っている北は何故このような事を雪に言ったのか、皆目見当がつかない。
「誤解よ、由希くん。北さんが何故そのような事を言ったのか分からないけど、隼馬さんも何を雪君に言ったかも詳しくは知らないけど本当に誤解なの」
「嘘はやめてください…!」
大人の嘘に振り回された子供は何が嘘で本当なのか分からなくなっていた。
「ごめんなさい、僕、本当に、ひどい事をしたって思ってて…」
痛そうに胸を掴む仕草をする雪に、本当にそんな事はないのよ、と言っても涙を流すだけだった。
一番悪いのは、京では…。
ゆき君欲しさに子供を手篭めにしたんだから…。
「子供の為にも、寄りを戻すべきです!」
「子供? 子供??」
「久賀様のお兄さんが言ってました…久賀様との子供を妊娠してると。久賀様はとても子供好きです! そんな久賀様とどうかよりを戻して欲しいです!」
あれは子供好きじゃない。好きなのはゆき君だけ。
それはお兄さんがついた嘘よね…。
何を言っても伝わらず、謝罪を繰り返す雪に困り果ててると、先程まで黙っていた恵之助がポンと優し気に雪の肩を叩いた。
顔を上げて恵之助を見上げると人の良さそうな笑みを浮かべ首を振って見せ、雪はそれを黙って見上げた。
「由希さんは久賀の旦那とよりは戻しませんし、まして久賀の旦那との子供を妊娠してません」
「でも、お兄さんが」
「由希さんのお腹見てください。膨らんでないでしょう?」
視線をやると確かに膨らんではおらず、赤ん坊がお腹にいるように見えなかった。
「由希さんは俺と二ヶ月前に夫婦になったんです。なので久賀の旦那とどうこうなりませんし、まして、由希さんのお腹の中には俺の子供が居るんです。まだ膨らんではは居ませんがね」
「お二人は夫婦…?」
頷いた恵之助の目をじっとまっすぐに見上げて、その濁りのない瞳に嘘はないのだと分かった。
「ーーーーおめでとうございます…」
「有難うございます」
そう言って、恵之助は人好きな笑顔を浮かべ、雪も釣られて笑った。
「でも、お兄さんは、なぜ、そのような…嘘を」
久賀様の目に嘘はなかったのに、信じる事が出来なかったけれど、お兄さんの目にも嘘は見当たらなかった。
「隼馬さんは、昔から人の話を聞かないの。誤解があったからで…あんなんでも家族想いの人なのよ」
「北さんは何故…」
「そうね…もしかしたら」
もしかしたら、ゆき君を見かけて、ここへ帰らせる為に嘘を吐いたのかもしれない、と由希は思った。
ふらふらした京の事を心配して嘘を吐いたのでは…。
「久賀様は、お元気ですか…?」
ぼそりと、小さな声で雪は呟いた。
「元気よ」
「良かった…」
元気だと聞いて雪は嬉しそうに微笑む。
たった一言書いた手紙を置いた。
外に出かける時は、行き場所を書きなさいと教えられたけれど、帰るつもりもなく出て行くんだから書けるはずもないし、行き先なんて決まっていなかった。
書く事は沢山あったけれど、
橋の下で助けてくれてありがとう、
優しくしてくれてありがとう、
怪我をした時心配してくれてありがとう、
病気になった時に看病してくれてありがとう、
一緒のお布団で寝てくれてありがとう、
ーーーー私を見つけてくれてありがとう
感謝したい事は沢山あった。
それをまとめたら、あの一言しか思い浮かばなかった。
思い出す余裕も出来ないだろうと思って忙しく動き回った。
それなのに、ふとした瞬間に久賀様の事を思い出しては心細くなる。
あの温かさを忘れなければ生きていけると思っていたけれど、眠る度に毎晩体は冷えてあの温かさを思い出せば思い出す程温かくなる事なんてなかった。
整った綺麗な顔は思い出せるけど、声を忘れて行く。あの、耳元で囁かれる低重音の声で、もう一度名前を呼んで欲しかった。
でも、それでも私はーーー…
「折角、帰ってきたんだもの、京に会ったら…?」
隼馬さんの暴走だと知ったなら、戻っても良いのではと思い雪に提案すると、すぐに首を横に振って会わないと呟いた。
「京は相当探し回ったのよ…? 今も心配して時間を見つけては探し回ってるし、家に戻ってくるのもゆき君が戻っているかもって思って帰るの」
これ以上ゆき君の代わりの女の子を取っ替え引っ替えすれば、女の子ほぼ全員手を出されてしまうか、刺されるかしてしまう。それはどうしても阻止しなければならない。
それに、寂しそうに見える背中をこれ以上どうしても放っておけなかった。
「久賀様は本当に相変わらずお優しいですね…。でも、私なんて久賀様と一緒にいる資格なんてないんです。金食い虫で役に立たないし…役に立つとしたら、性欲処理くらい…」
「でも、こんな体じゃ性欲処理にもならない」と自嘲気味に笑いながら傷付いた顔をした美少女を由希は何とも切ない表情で見つめたのだった。
太助の扉を叩こうとするがすぐ手を引っ込めて、去ろうと背を向けるが、すぐに正面を向いて同じように叩こうとする。しかし一向に叩かず、同じような動作をずっと繰り返していた。
その様子に気付いた由希は客人かしらと怒りを鎮めて、二人でその少女に近付いて行けば、二人の気配に気付いたのか、その少女はハッとして二人に顔を向けた。
パサリと肩より少し伸びた髪が揺れて、その少女の頬に当たる。それはまるでゆっくりと時が進むように見えてしまった。
というのも————息を飲むほどの美少女だった。
零れんばかりのぱっちりとした二重で、その瞳は澄んだ淡い茶色に染み一つない肌。瞼が震えれば、長い睫毛も音が立ちそうなほどだった。小さな鼻に形の良い唇に、どこをとっても、文句の付け所がない。
着ている着物は淡い黄色で、その淡さが少女の美少女ぶりを余計目立たせていた。小花が咲き誇る柄は柔らかく女性らしさを醸し出させ……。
先刻から美形ばかりみるから思わず、見惚れてしまった…と由希は思ったが、どうもこの美少女を何処かで見た気がしてならない。
こう…髪が短ければ…
大きく見開いた瞳が潤み出して由希と恵之助は二人して慌てだした。
見つめ過ぎてしまったと思い少女に声を掛けようとした矢先、少女が先に口を開いて、自分の名前を呟かれて驚いた。しかしそれよりも声を聞いて由希は驚愕に目を見開いた。
「————由希さん」
「え…あら…? その声、まさか、ゆき君———」
くしゃりと顔を歪めた少女の名前を呼ぶと————雪は由希の胸に突然飛び込んできて、泣きじゃくりながら謝罪を繰り返す由希の胸に顔を埋める雪の背中を擦りながら、由希は恵之助と顔を見合わせたのだった。
※ ※ ※
「落ち着いた…?」
「ぐす…はい…」
注いであげたお茶の湯飲みを両手で挟んで口に運ぶ雪の仕草をじっと見ながら由希は人知れず溜息を吐く。
何をしてもその仕草、綺麗なのだ…。
「私、謝らなきゃってずっと思ってて…でも私が勝手に現れたら迷惑だろうって、思ってて…」
と弱々しく吐いた雪は湯飲みの茶に映る自身をじっと見つめた。
由希は由希で、自分の知る少年が女の子の格好をして現れ、自分の事も『私』と呼んでいる事に気付いたが、違和感がなさ過ぎて通り過ぎようとした疑問を由希は慌てて掴んだ。
「その恰好はどうしたの…?」
「これ…! やはり変ですよね、女の子の格好…」
「いえ…違和感なさ過ぎて怖いくらいよ…」
純粋に褒めたつもりだったが、お世辞だと思われたようで少女は小さく笑う。
「ありがとうございます…男性の着物で行こうと思ったのですが、これを着ていけと言われて…」
「誰かの世話になってたの?」
「私が行き倒れているのを助けてくれた女性が居て…そこのお世話になってました。そこで私は掃除、洗濯、料理を振舞ったりしてて…」
監禁されてたのではなかった…と由希はホッとして胸を撫で下ろした。
「今まで、どこに…?」
「佐川町の花街にいました」
「そんなに近くに…!? でも姿はなかったけど…」
確か京はそこまで探しに回った筈だ。
「外には全く出なかったので…。そこで拾われて、元気になった後にそこの雑用係として雇ってもらったんです。皆さんから凄く優しくしてもらって…そうこうしてたら、そこに北さんが現れて…お姐さんが病気で倒れたのでお医者さんを呼んだらそのお医者さんが北さんだったんです。そこで北さんから、由希さんの話を聞いて、それで」
ポロポロと流す涙が、ぽたぽたと湯飲みへ落ちて水面が揺れた。
「私の話?」
「由希さんが、僕が家を出た後に久賀様と別れたって聞いて…! それで、僕、僕のせいだって、僕が二人の幸せを壊してしまった! 二人の幸せを壊してしまった僕がこうやって呑気に暮らしてるなんて、なんて愚か者なんだろうって」
「んんんんん?? ちょっと待ってね、ゆき君、私の話を」
「だから、僕はこうして、遅いかもしれないけど、誤解なんだって、久賀様は由希さんを好いていて僕はそれに気付かずに久賀様の優しさに縋っていたんです、誤解だから、久賀様とよりを戻して欲しいです…! 僕はその為に謝罪だけじゃなくて、何でもします…! だから、よりを戻して下さい! それを言いに、僕は此処へ来たんです!」
がしり、と少女は由希の手を握った。
必死な形相に息を飲む。誤解過ぎるが、恵之助と夫婦になった事を知っている筈だし、子供もできた事を知っている北は何故このような事を雪に言ったのか、皆目見当がつかない。
「誤解よ、由希くん。北さんが何故そのような事を言ったのか分からないけど、隼馬さんも何を雪君に言ったかも詳しくは知らないけど本当に誤解なの」
「嘘はやめてください…!」
大人の嘘に振り回された子供は何が嘘で本当なのか分からなくなっていた。
「ごめんなさい、僕、本当に、ひどい事をしたって思ってて…」
痛そうに胸を掴む仕草をする雪に、本当にそんな事はないのよ、と言っても涙を流すだけだった。
一番悪いのは、京では…。
ゆき君欲しさに子供を手篭めにしたんだから…。
「子供の為にも、寄りを戻すべきです!」
「子供? 子供??」
「久賀様のお兄さんが言ってました…久賀様との子供を妊娠してると。久賀様はとても子供好きです! そんな久賀様とどうかよりを戻して欲しいです!」
あれは子供好きじゃない。好きなのはゆき君だけ。
それはお兄さんがついた嘘よね…。
何を言っても伝わらず、謝罪を繰り返す雪に困り果ててると、先程まで黙っていた恵之助がポンと優し気に雪の肩を叩いた。
顔を上げて恵之助を見上げると人の良さそうな笑みを浮かべ首を振って見せ、雪はそれを黙って見上げた。
「由希さんは久賀の旦那とよりは戻しませんし、まして久賀の旦那との子供を妊娠してません」
「でも、お兄さんが」
「由希さんのお腹見てください。膨らんでないでしょう?」
視線をやると確かに膨らんではおらず、赤ん坊がお腹にいるように見えなかった。
「由希さんは俺と二ヶ月前に夫婦になったんです。なので久賀の旦那とどうこうなりませんし、まして、由希さんのお腹の中には俺の子供が居るんです。まだ膨らんではは居ませんがね」
「お二人は夫婦…?」
頷いた恵之助の目をじっとまっすぐに見上げて、その濁りのない瞳に嘘はないのだと分かった。
「ーーーーおめでとうございます…」
「有難うございます」
そう言って、恵之助は人好きな笑顔を浮かべ、雪も釣られて笑った。
「でも、お兄さんは、なぜ、そのような…嘘を」
久賀様の目に嘘はなかったのに、信じる事が出来なかったけれど、お兄さんの目にも嘘は見当たらなかった。
「隼馬さんは、昔から人の話を聞かないの。誤解があったからで…あんなんでも家族想いの人なのよ」
「北さんは何故…」
「そうね…もしかしたら」
もしかしたら、ゆき君を見かけて、ここへ帰らせる為に嘘を吐いたのかもしれない、と由希は思った。
ふらふらした京の事を心配して嘘を吐いたのでは…。
「久賀様は、お元気ですか…?」
ぼそりと、小さな声で雪は呟いた。
「元気よ」
「良かった…」
元気だと聞いて雪は嬉しそうに微笑む。
たった一言書いた手紙を置いた。
外に出かける時は、行き場所を書きなさいと教えられたけれど、帰るつもりもなく出て行くんだから書けるはずもないし、行き先なんて決まっていなかった。
書く事は沢山あったけれど、
橋の下で助けてくれてありがとう、
優しくしてくれてありがとう、
怪我をした時心配してくれてありがとう、
病気になった時に看病してくれてありがとう、
一緒のお布団で寝てくれてありがとう、
ーーーー私を見つけてくれてありがとう
感謝したい事は沢山あった。
それをまとめたら、あの一言しか思い浮かばなかった。
思い出す余裕も出来ないだろうと思って忙しく動き回った。
それなのに、ふとした瞬間に久賀様の事を思い出しては心細くなる。
あの温かさを忘れなければ生きていけると思っていたけれど、眠る度に毎晩体は冷えてあの温かさを思い出せば思い出す程温かくなる事なんてなかった。
整った綺麗な顔は思い出せるけど、声を忘れて行く。あの、耳元で囁かれる低重音の声で、もう一度名前を呼んで欲しかった。
でも、それでも私はーーー…
「折角、帰ってきたんだもの、京に会ったら…?」
隼馬さんの暴走だと知ったなら、戻っても良いのではと思い雪に提案すると、すぐに首を横に振って会わないと呟いた。
「京は相当探し回ったのよ…? 今も心配して時間を見つけては探し回ってるし、家に戻ってくるのもゆき君が戻っているかもって思って帰るの」
これ以上ゆき君の代わりの女の子を取っ替え引っ替えすれば、女の子ほぼ全員手を出されてしまうか、刺されるかしてしまう。それはどうしても阻止しなければならない。
それに、寂しそうに見える背中をこれ以上どうしても放っておけなかった。
「久賀様は本当に相変わらずお優しいですね…。でも、私なんて久賀様と一緒にいる資格なんてないんです。金食い虫で役に立たないし…役に立つとしたら、性欲処理くらい…」
「でも、こんな体じゃ性欲処理にもならない」と自嘲気味に笑いながら傷付いた顔をした美少女を由希は何とも切ない表情で見つめたのだった。
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