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AD1855
53話 異変?
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ジャンヌ達が乗ったチヌークと、護衛に当たっていたブリューナクは、結局魔物の追撃を受ける事なくヘキサゴン上空まで近付いていた。敵の追手はアンジーと青龍が、完全に食い止めた事になる。
また、ヘキサゴンの防壁上では、三戸が志願兵に配置を指示したり、更には三戸の戦いを見て集まった有志の数人の対応に苦慮したりと、結構バタバタしていた中でもチヌークが接近してくるのを視認していた。
「連絡がないから心配したが、どうやら無事に帰ってきたようだな」
太陽はすでに中天から西へと傾いており、太陽光を手で遮りながら、チヌークの帰還を見守る。
「……あれ?」
しかし、チヌークはヘキサゴンの上空をそのまま素通りして、東の空へと飛び去って行こうとする。
「おい! アンジー!? どうした! 聞こえるか!? ……応答、なし、だと?」
心配そうに防壁上からチヌークを見上げる三戸を余所に、チヌークの機内でもまた、軽い混乱が起きていた。
「あれ? ヘキサゴンを通り過ぎてしまいましたね」
眼下を通過していく美しい六芒星型の防壁を見ながらジャンヌが怪訝な顔をして言った。
「アンジー嬢に何かあったのじゃろうか?」
「いや、あの娘に何かあれば、コレもこうして飛んではいられまいよ」
アンジーの安否を案ずるサラディンに、チヌークが無事に飛んでいる事こそ無事の証とリチャード。
「ふむ、青龍よ。聞こえるか。アンジーはどうした?」
関羽がアンジーと共にいるはずの相棒に、念話による通信を試みる。近くにいる時は意志疎通ができたが、これだけの距離を置いて話すのは経験がない。
『おお、雲長か。聞こえるぞ。どうした?』
「いや、この空飛ぶ鉄の箱がヘキサゴンを通過してしまってな。そろそろ降りたいのだが、アンジーにそう言ってくれるか」
『あー……』
念話はどうにか繋ぐ事が出来た。関羽が手短に用件を伝えるが、青龍の方は何だか歯切れが悪い。
「どうした! アンジーに何かあったのか!?」
『あー、いや、アンジーは無事だ。無事なんだが……すまん。自力でなんとかしてくれ』
「なんだと!」
『そのうち追いつく。ではな』
「……」
一方的に念話を切られた関羽は唖然としてしまった。
「どうかしたのですか?」
さすがに、いつも冷静な関羽が若干取り乱す様を見ると、ジャンヌも他の二人も心配になる。
「いや、アンジーは無事らしいのだが……どうもな。コレを制御するのが難しい状態であるらしい。詳細は分からぬ。自力でなんとかしろと言われたわ」
「自力で、ですか。この高さから飛び降りるのは少々痛そうですね」
高度二百メートル程を飛行しているチヌークから飛び降りて、いくら救世者と言えども少々痛いで済むはずがない。しかし、ここにはそれを解決できる能力者がいる。
「あー、このチヌークというヤツが進むのを止められれば、降りるのは造作もない事じゃがの」
サラディンが真顔でそう言った。彼の持つジハードの能力は重力操作。宙に浮いているこの機体をゆっくりと降下させる事も可能だろう。しかしチヌークの推進力は健在だ。浮かぼうと、そして進もうとするチヌークを無事に着陸させるのは難儀な事らしい。
「それならば、外を飛んでおるブリューナクに停めてもらえばよいのではないか? あのプロペラというヤツを壊せば停まると思うのだが」
珍しく、リチャードがヒットを飛ばした。彼の言葉に、全員がなるほど! と膝を叩いた。
――ビイィィィン
同時に彼のエクスカリバーが反響音を発する。
『たまにはいい事を言うじゃないか』
リチャード以外の全員も、なんだかエクスカリバーがそう言っているように聞こえてクスリと笑いを零す。
「やかましいわ! 余とて一国の王だったのだ。戦いの事ばかり考えていた訳ではないのだぞ!」
どうやら図星だったらしい。リチャードはソッポを向いて不貞腐れた。
「まあまあ陛下。名案を有難く採用しますのでどうか機嫌を直して下さいな。ブリューナク! 聞いてた? このプロペラというの止めてくれる?」
ジャンヌがリチャードを慰めながら、外を飛んでいるブリューナクに指示を出す。
「あんなブンブン回ってる奴を止めろってなぁ……ぶっ壊してもいいか?」
「ええ、後はサラディン殿がうまくやってくれるでしょう」
「よっしゃ! 分かったぜ!」
ジャンヌの何とも大らかな対応に苦笑を浮かべるサラディンを余所に、景気よく返事をしたブリューナクは、これまた景気よく回転するローター部分に火球を飛ばすのだった。
一方三戸は焦りに焦って叫んだ。
「誰か! LAVを運転して俺に付いてきてくれ! ナイチンゲール! あんたも一緒に頼む」
彼はそれだけ叫ぶと防壁から飛び降り、停めてあるLAVへ飛び乗った。すかざずナイチンゲールが後に続く。
「ミト殿! お供します!」
たまたま近くの車両でMINIMIを取り外す作業をしていた若い男の志願兵が、作業を中断して運転席に乗り込む。
そして三戸のチートな視力は、ブリューナクがチヌークに攻撃をしている様子を捉えた。
「ちっ! アイツら何やってんだよ! つか、何が起こってる!?」
三戸はチヌークを追ってアクセルを踏み込んだ。
また、ヘキサゴンの防壁上では、三戸が志願兵に配置を指示したり、更には三戸の戦いを見て集まった有志の数人の対応に苦慮したりと、結構バタバタしていた中でもチヌークが接近してくるのを視認していた。
「連絡がないから心配したが、どうやら無事に帰ってきたようだな」
太陽はすでに中天から西へと傾いており、太陽光を手で遮りながら、チヌークの帰還を見守る。
「……あれ?」
しかし、チヌークはヘキサゴンの上空をそのまま素通りして、東の空へと飛び去って行こうとする。
「おい! アンジー!? どうした! 聞こえるか!? ……応答、なし、だと?」
心配そうに防壁上からチヌークを見上げる三戸を余所に、チヌークの機内でもまた、軽い混乱が起きていた。
「あれ? ヘキサゴンを通り過ぎてしまいましたね」
眼下を通過していく美しい六芒星型の防壁を見ながらジャンヌが怪訝な顔をして言った。
「アンジー嬢に何かあったのじゃろうか?」
「いや、あの娘に何かあれば、コレもこうして飛んではいられまいよ」
アンジーの安否を案ずるサラディンに、チヌークが無事に飛んでいる事こそ無事の証とリチャード。
「ふむ、青龍よ。聞こえるか。アンジーはどうした?」
関羽がアンジーと共にいるはずの相棒に、念話による通信を試みる。近くにいる時は意志疎通ができたが、これだけの距離を置いて話すのは経験がない。
『おお、雲長か。聞こえるぞ。どうした?』
「いや、この空飛ぶ鉄の箱がヘキサゴンを通過してしまってな。そろそろ降りたいのだが、アンジーにそう言ってくれるか」
『あー……』
念話はどうにか繋ぐ事が出来た。関羽が手短に用件を伝えるが、青龍の方は何だか歯切れが悪い。
「どうした! アンジーに何かあったのか!?」
『あー、いや、アンジーは無事だ。無事なんだが……すまん。自力でなんとかしてくれ』
「なんだと!」
『そのうち追いつく。ではな』
「……」
一方的に念話を切られた関羽は唖然としてしまった。
「どうかしたのですか?」
さすがに、いつも冷静な関羽が若干取り乱す様を見ると、ジャンヌも他の二人も心配になる。
「いや、アンジーは無事らしいのだが……どうもな。コレを制御するのが難しい状態であるらしい。詳細は分からぬ。自力でなんとかしろと言われたわ」
「自力で、ですか。この高さから飛び降りるのは少々痛そうですね」
高度二百メートル程を飛行しているチヌークから飛び降りて、いくら救世者と言えども少々痛いで済むはずがない。しかし、ここにはそれを解決できる能力者がいる。
「あー、このチヌークというヤツが進むのを止められれば、降りるのは造作もない事じゃがの」
サラディンが真顔でそう言った。彼の持つジハードの能力は重力操作。宙に浮いているこの機体をゆっくりと降下させる事も可能だろう。しかしチヌークの推進力は健在だ。浮かぼうと、そして進もうとするチヌークを無事に着陸させるのは難儀な事らしい。
「それならば、外を飛んでおるブリューナクに停めてもらえばよいのではないか? あのプロペラというヤツを壊せば停まると思うのだが」
珍しく、リチャードがヒットを飛ばした。彼の言葉に、全員がなるほど! と膝を叩いた。
――ビイィィィン
同時に彼のエクスカリバーが反響音を発する。
『たまにはいい事を言うじゃないか』
リチャード以外の全員も、なんだかエクスカリバーがそう言っているように聞こえてクスリと笑いを零す。
「やかましいわ! 余とて一国の王だったのだ。戦いの事ばかり考えていた訳ではないのだぞ!」
どうやら図星だったらしい。リチャードはソッポを向いて不貞腐れた。
「まあまあ陛下。名案を有難く採用しますのでどうか機嫌を直して下さいな。ブリューナク! 聞いてた? このプロペラというの止めてくれる?」
ジャンヌがリチャードを慰めながら、外を飛んでいるブリューナクに指示を出す。
「あんなブンブン回ってる奴を止めろってなぁ……ぶっ壊してもいいか?」
「ええ、後はサラディン殿がうまくやってくれるでしょう」
「よっしゃ! 分かったぜ!」
ジャンヌの何とも大らかな対応に苦笑を浮かべるサラディンを余所に、景気よく返事をしたブリューナクは、これまた景気よく回転するローター部分に火球を飛ばすのだった。
一方三戸は焦りに焦って叫んだ。
「誰か! LAVを運転して俺に付いてきてくれ! ナイチンゲール! あんたも一緒に頼む」
彼はそれだけ叫ぶと防壁から飛び降り、停めてあるLAVへ飛び乗った。すかざずナイチンゲールが後に続く。
「ミト殿! お供します!」
たまたま近くの車両でMINIMIを取り外す作業をしていた若い男の志願兵が、作業を中断して運転席に乗り込む。
そして三戸のチートな視力は、ブリューナクがチヌークに攻撃をしている様子を捉えた。
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三戸はチヌークを追ってアクセルを踏み込んだ。
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