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95話 それぞれの考え
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「いかに魔物の類と言えども、生物である限り脳はある。詳しい話は省くが、少々脳に細工をして、マイマスターを絶対的主と認識させるようにしたのさ」
やや大雑把ながらもアスキーが説明する。もっとも、人体に関する詳細な説明をされた所で理解できるとも思えないので、三戸としてはそれでいい。
「まあ、この方法には制限があってね。マイマスターが操れるのは注射器の数と同じ十体まで。それにその蛇杖を介する事でしか命令を聞かないから、この私でも制御する事はできない」
思った以上に制約は大きい。恐らく魔物を操っている間は、その分扱える注射器の数も減るという事だろう。ナイチンゲールが『操作』出来るのは、『改造』した魔物と注射器を合わせて十体。そう考えた方が良さそうだ。そう三戸は判断した。
さらに、アスキーは口にしないが、改造手術をする間は隙だらけだ。魔物が単体で現れる事自体稀であるから、これからこういった方法で改造する機会はないかもしれないが、どちらにしても多用出来るようなものでもなさそうだ。
そして最大の問題は、魔物とはいえ自らの意志を奪われたデーモンに対し、ナイチンゲールが非情に扱う事が出来るかどうかだ。三戸には、その生殺与奪の権限を、全てナイチンゲールに押し付けてしまったように見えて、思わずアスキーを見る目が厳しくなってしまった。
その視線に気付いたアスキーが反応する。
やれやれといったジェスチャーを取りながら口を開いた。
「そんな目で見ないでくれたまえよ。私としても自分のマスターを守る必要がある。だが、私は敵に接近しないとただの医者にすぎない。だが、その敵のすぐ側までマイマスターを近付ける訳にはいかないだろう?」
「……つまり、ナイチンゲールの護衛って事か」
視線を交錯させバチバチと火花を散らす三戸とアスキー。そこにナイチンゲールが割って入った。
「大丈夫ですよ、ミト。私は多くの死を見届けてきました。その中には、拾い上げる命と諦めて捨てざるを得ない命の選択に迫られた事も数多くありました。覚悟なら出来ています」
彼女はそう言い切ったあと、ふっと笑みを浮かべた。
――気遣ってくれてありがとう。
三戸には彼女の笑みがそう言っているように思われた。
「済まないな。そういう事ならよろしく頼む。アスキーもな」
ナイチンゲールはコクリと頷き、アスキーは鷹揚に頷く。
(どっちが主か分からないな)
三戸はそう思い、苦笑するのだった。
*****
「隊長、滑走路ないんですけどどうしましょう?」
場の空気が凍り付いたのは、中谷のそんな一言だった。
せっかくF-15Jが三機もあるというのに、飛び立つ為の滑走路がない。三戸とアンジーのファントムは、アンジーの魔改造によって垂直離着陸が可能だが、三人の機体はノーマルのままだ。
「ふむ……滑走路か」
いっその事F-15Jは諦めて、三人にはアパッチ・ロングボウのようなヘリコプターか、陸戦兵器にでも乗ってもらうか、と考えた三戸だったが、名案が浮かんだ。
「おーい、関さん、リチャード! ちょっと頼みがあるんだ! それから藤井達も」
「む。なんであろうか?」
「余に出来る事なら任せてもらおう!」
三戸の呼びかけに答えてぞろぞろと集まってくる。
「二人には、滑走路を作ってもらいたい」
「カッソウロ?」
「なんじゃそれは?」
そこで三戸は、二人に対し飛行機が飛び立つ為には相応の距離を加速しなければならない事を説明した。飛び立つのに必要な速度に達する為には長い直線が必要で、且つ平坦で固い地面が必要な事も。
「そこで、向こうに森があるだろ? あそこに滑走路を作れば木々に紛れて目立ちにくい。そこで関さんの出番だ」
滑走路はリチャードの地形操作の能力があれば難しくない。しかしどうせ設営するのであれば、目立たない場所にするのが好ましい。しかし森の木々を伐採するのはあまりにも手間がかかる。
「なるほど。それがしというよりは、青龍の力で木々を移動させればよいのだな」
「ん。そういう事」
関羽も自分の役割を理解したところで、あとはその規模だ。
「して、長さと幅はいか程にすればいいのだ?」
「そうだなあ……藤井、中谷、岡本!」
リチャードがそう問いかけるが、三戸は三人に声を掛けた。そして自分の声に振り向いた三人に向かい、三戸は続ける。
「お前らアンジーからデータ貰ったろ? F-35B出せるんじゃねえか?」
「なるほど!」
藤井が念じて手を翳すと、黒い機体が現れた。
やや大雑把ながらもアスキーが説明する。もっとも、人体に関する詳細な説明をされた所で理解できるとも思えないので、三戸としてはそれでいい。
「まあ、この方法には制限があってね。マイマスターが操れるのは注射器の数と同じ十体まで。それにその蛇杖を介する事でしか命令を聞かないから、この私でも制御する事はできない」
思った以上に制約は大きい。恐らく魔物を操っている間は、その分扱える注射器の数も減るという事だろう。ナイチンゲールが『操作』出来るのは、『改造』した魔物と注射器を合わせて十体。そう考えた方が良さそうだ。そう三戸は判断した。
さらに、アスキーは口にしないが、改造手術をする間は隙だらけだ。魔物が単体で現れる事自体稀であるから、これからこういった方法で改造する機会はないかもしれないが、どちらにしても多用出来るようなものでもなさそうだ。
そして最大の問題は、魔物とはいえ自らの意志を奪われたデーモンに対し、ナイチンゲールが非情に扱う事が出来るかどうかだ。三戸には、その生殺与奪の権限を、全てナイチンゲールに押し付けてしまったように見えて、思わずアスキーを見る目が厳しくなってしまった。
その視線に気付いたアスキーが反応する。
やれやれといったジェスチャーを取りながら口を開いた。
「そんな目で見ないでくれたまえよ。私としても自分のマスターを守る必要がある。だが、私は敵に接近しないとただの医者にすぎない。だが、その敵のすぐ側までマイマスターを近付ける訳にはいかないだろう?」
「……つまり、ナイチンゲールの護衛って事か」
視線を交錯させバチバチと火花を散らす三戸とアスキー。そこにナイチンゲールが割って入った。
「大丈夫ですよ、ミト。私は多くの死を見届けてきました。その中には、拾い上げる命と諦めて捨てざるを得ない命の選択に迫られた事も数多くありました。覚悟なら出来ています」
彼女はそう言い切ったあと、ふっと笑みを浮かべた。
――気遣ってくれてありがとう。
三戸には彼女の笑みがそう言っているように思われた。
「済まないな。そういう事ならよろしく頼む。アスキーもな」
ナイチンゲールはコクリと頷き、アスキーは鷹揚に頷く。
(どっちが主か分からないな)
三戸はそう思い、苦笑するのだった。
*****
「隊長、滑走路ないんですけどどうしましょう?」
場の空気が凍り付いたのは、中谷のそんな一言だった。
せっかくF-15Jが三機もあるというのに、飛び立つ為の滑走路がない。三戸とアンジーのファントムは、アンジーの魔改造によって垂直離着陸が可能だが、三人の機体はノーマルのままだ。
「ふむ……滑走路か」
いっその事F-15Jは諦めて、三人にはアパッチ・ロングボウのようなヘリコプターか、陸戦兵器にでも乗ってもらうか、と考えた三戸だったが、名案が浮かんだ。
「おーい、関さん、リチャード! ちょっと頼みがあるんだ! それから藤井達も」
「む。なんであろうか?」
「余に出来る事なら任せてもらおう!」
三戸の呼びかけに答えてぞろぞろと集まってくる。
「二人には、滑走路を作ってもらいたい」
「カッソウロ?」
「なんじゃそれは?」
そこで三戸は、二人に対し飛行機が飛び立つ為には相応の距離を加速しなければならない事を説明した。飛び立つのに必要な速度に達する為には長い直線が必要で、且つ平坦で固い地面が必要な事も。
「そこで、向こうに森があるだろ? あそこに滑走路を作れば木々に紛れて目立ちにくい。そこで関さんの出番だ」
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「なるほど。それがしというよりは、青龍の力で木々を移動させればよいのだな」
「ん。そういう事」
関羽も自分の役割を理解したところで、あとはその規模だ。
「して、長さと幅はいか程にすればいいのだ?」
「そうだなあ……藤井、中谷、岡本!」
リチャードがそう問いかけるが、三戸は三人に声を掛けた。そして自分の声に振り向いた三人に向かい、三戸は続ける。
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