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第二部 バンドー皇国編 3章
188.運命の風はある一点に向かって。
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「…それで、これはどういう状況か説明してくれるか?」
赤7の倒したオーガを回収して戻った俺達が目にしたものは…そうだな。混沌だ。
「とりあえずそっちの7人の保護を頼んでたはずのお前らが何であいつらを放置してお茶飲みながら井戸端会議してたか教えてくれ。」
眷属3人正座で項垂れている。
「それからお前ら。今回は俺のミスだ。大怪我させてしまって申し訳ない。どうか許して欲しい。」
俺は90度に腰を折り謝罪したのだが…
「いやいやアニキ、どうでもいいんすよ、そんな事は!」
いや、俺の謝罪をどうでもいいとかそんな事とかちょっと酷くないですか?
「ほら!トラ!トラ!」
「なんか目が覚めたら色々治ってるしなんとなくパワーアップしてる気がするし絶好調だし!」
「そこにトラが通りかかったんですわ。」
「知ってました!?アニキ!腕って斬れてもまた生えてくるんすよ!いやあ、今まで知らなかったなぁ!」
「ねえ、カズトさん、ライムさん、あたし目の色変わったみたいなの!どうかしら?」
「拙者は潰れていた足が膨らんでいたのだ。ほら、その足から水が出る。なんと出した水を玉にして蹴鞠が出来る!」
「…ライム。」
「無理。」
しりとりか。そんな超反応で答えなくても。しかし事態を収拾せねば。
「つまり、眷属チームは落ち込んでたカズにぃを元気にする方策やら一般人の常識レベルを私達に理解させる方策やらを話し合ってた筈なのに、いつの間にかカズにぃの素敵さを語り合うサークルと化していたと。それで盛り上がってしまいすっかりトラも赤7も忘れてしまった。うん、ぎるてぃですね!」
たしかに酷い話なんだが何故だろう?俺、注意し辛いんですけど。
「あー、キミ達、ちょっと落ち着こうか。そうだな。トラ、ありがとう。」
「えへへへ…」
「それからな、腕とか足とか目とかな。生えたり再生したりしないからな?次から気を付けような?」
「ま、マジっすか!?」
「再生したのはライムとアクアの治癒魔法のせいだ。あ、アクアってのは水の精霊王であそこで正座してる青い美人な。一応俺の眷属だ。もう1人、風の精霊王のサンタナってのがいる。そうそう、あの緑の美人さんだ。よろしく頼むよ。それで、欠損した部位がどうもアクアの魔力のせいで変質したらしいんだよ。使い方とかは俺もよくわからん。各自試行錯誤してくれ。」
「アニキ!しこうさくごってなんすか?」
「いろいろ試してやってみろって事だ。」
うん、こんな所かな。
◇◇◇
オーシュー王都
「それではローレル、ガイア。ジュリア皇女を頼みます。カズトの居場所はランが承知しているのですね?」
【任せるがよい。】
「では、お願いします。私達は軍を纏めてカムリ領都に駐留する予定ですがまだ時間は掛かりましょう。」
「ああ、陛下、任せときな。アタシとガイアがいればラン様に乗った殿下を逃がすくらいは訳ないさ。」
「そういうこった。陛下は万全の備えで頼む。」
「あ、あの、セリカ陛下。いろいろとお世話になりました。この御恩には必ず報います。では、お2人さん、お願いしますね?」
◇◇◇
エツリア王都
「ではサーブ陛下。私はこれにて失礼致します。この御恩は必ず。」
「うむ、その事は良い。しかし良いのか?護衛がその従者1人では心許ないであろう?」
「はい。しかし私はバンドーの皇女。エツリアの騎士兵士諸兄には心証が悪かろうと存じます。」
「ふむ、ならばギルドへ行き冒険者を護衛に雇うがよい。我が国としても護衛の1人も付けずに帰したとあっては体面に関わるのでな。」
「承知致しました。ではそのようにさせて頂きます。」
◇◇◇
エツリア王都ギルド前
「ここがテルの生まれた国の都かぁ…」
「俺も初めて来るよ。国境近くの辺境が領地だったからね。こんな中央には来た事がなかったんだ。」
「そうだったか…む?テル。あの馬は…」
「ああ、チェロさんっぽいな。行ってみよう。なんでライムさんがこんなトコにいるんだろうな?」
「そうだな。しかしラン殿が見当たらないがカズト殿は同行していないのだろうか?」
「やあ、チェロさんじゃない?」
【おお、テルにユキですか。久しいと言う程ではありませんがお元気でしたか?】
「ええ、この通り。で、ライムさん1人なんですか?」
【いや、それは…】
「あの…あなた方は?その馬が何か?」
「は?いや、あなたこそ誰なんです?チェロさんはライムさんの乗馬なんですが。」
「え!?もしやカズト様のお知り合いですか!?」
「ええ、まあ。そうですけど?」
「お願いです!私をカズト様の元まで護衛して頂けませんか!?」
「「は!?」」
◇◇◇
「それで小娘共にはおめおめと逃げられたと?」
「面目ないのお。」
「それで2人を助けたというのは?」
「若い男女2人組で恐ろしく腕の立つ輩じゃったなぁ。」
「貴様らよりもか。」
「儂らではせいぜい逃げるのが関の山。連中を討伐せよなどと申されるな。無理じゃ。」
「それで、連中の特徴は?」
「男女共に黒髪黒目。男は黒い装束、女は白銀の鎧。槍の扱いも達者じゃったが妖術の類も相当なもんじゃな。」
「なん…だと…?我らは虎の尾を踏んでしまったかも知れんな。即刻手を打たねばならん。貴様らにも働いてもらう。」
【フフフ…そろそろ妾の出番かの?早うこの力を開放したいものじゃ…】
赤7の倒したオーガを回収して戻った俺達が目にしたものは…そうだな。混沌だ。
「とりあえずそっちの7人の保護を頼んでたはずのお前らが何であいつらを放置してお茶飲みながら井戸端会議してたか教えてくれ。」
眷属3人正座で項垂れている。
「それからお前ら。今回は俺のミスだ。大怪我させてしまって申し訳ない。どうか許して欲しい。」
俺は90度に腰を折り謝罪したのだが…
「いやいやアニキ、どうでもいいんすよ、そんな事は!」
いや、俺の謝罪をどうでもいいとかそんな事とかちょっと酷くないですか?
「ほら!トラ!トラ!」
「なんか目が覚めたら色々治ってるしなんとなくパワーアップしてる気がするし絶好調だし!」
「そこにトラが通りかかったんですわ。」
「知ってました!?アニキ!腕って斬れてもまた生えてくるんすよ!いやあ、今まで知らなかったなぁ!」
「ねえ、カズトさん、ライムさん、あたし目の色変わったみたいなの!どうかしら?」
「拙者は潰れていた足が膨らんでいたのだ。ほら、その足から水が出る。なんと出した水を玉にして蹴鞠が出来る!」
「…ライム。」
「無理。」
しりとりか。そんな超反応で答えなくても。しかし事態を収拾せねば。
「つまり、眷属チームは落ち込んでたカズにぃを元気にする方策やら一般人の常識レベルを私達に理解させる方策やらを話し合ってた筈なのに、いつの間にかカズにぃの素敵さを語り合うサークルと化していたと。それで盛り上がってしまいすっかりトラも赤7も忘れてしまった。うん、ぎるてぃですね!」
たしかに酷い話なんだが何故だろう?俺、注意し辛いんですけど。
「あー、キミ達、ちょっと落ち着こうか。そうだな。トラ、ありがとう。」
「えへへへ…」
「それからな、腕とか足とか目とかな。生えたり再生したりしないからな?次から気を付けような?」
「ま、マジっすか!?」
「再生したのはライムとアクアの治癒魔法のせいだ。あ、アクアってのは水の精霊王であそこで正座してる青い美人な。一応俺の眷属だ。もう1人、風の精霊王のサンタナってのがいる。そうそう、あの緑の美人さんだ。よろしく頼むよ。それで、欠損した部位がどうもアクアの魔力のせいで変質したらしいんだよ。使い方とかは俺もよくわからん。各自試行錯誤してくれ。」
「アニキ!しこうさくごってなんすか?」
「いろいろ試してやってみろって事だ。」
うん、こんな所かな。
◇◇◇
オーシュー王都
「それではローレル、ガイア。ジュリア皇女を頼みます。カズトの居場所はランが承知しているのですね?」
【任せるがよい。】
「では、お願いします。私達は軍を纏めてカムリ領都に駐留する予定ですがまだ時間は掛かりましょう。」
「ああ、陛下、任せときな。アタシとガイアがいればラン様に乗った殿下を逃がすくらいは訳ないさ。」
「そういうこった。陛下は万全の備えで頼む。」
「あ、あの、セリカ陛下。いろいろとお世話になりました。この御恩には必ず報います。では、お2人さん、お願いしますね?」
◇◇◇
エツリア王都
「ではサーブ陛下。私はこれにて失礼致します。この御恩は必ず。」
「うむ、その事は良い。しかし良いのか?護衛がその従者1人では心許ないであろう?」
「はい。しかし私はバンドーの皇女。エツリアの騎士兵士諸兄には心証が悪かろうと存じます。」
「ふむ、ならばギルドへ行き冒険者を護衛に雇うがよい。我が国としても護衛の1人も付けずに帰したとあっては体面に関わるのでな。」
「承知致しました。ではそのようにさせて頂きます。」
◇◇◇
エツリア王都ギルド前
「ここがテルの生まれた国の都かぁ…」
「俺も初めて来るよ。国境近くの辺境が領地だったからね。こんな中央には来た事がなかったんだ。」
「そうだったか…む?テル。あの馬は…」
「ああ、チェロさんっぽいな。行ってみよう。なんでライムさんがこんなトコにいるんだろうな?」
「そうだな。しかしラン殿が見当たらないがカズト殿は同行していないのだろうか?」
「やあ、チェロさんじゃない?」
【おお、テルにユキですか。久しいと言う程ではありませんがお元気でしたか?】
「ええ、この通り。で、ライムさん1人なんですか?」
【いや、それは…】
「あの…あなた方は?その馬が何か?」
「は?いや、あなたこそ誰なんです?チェロさんはライムさんの乗馬なんですが。」
「え!?もしやカズト様のお知り合いですか!?」
「ええ、まあ。そうですけど?」
「お願いです!私をカズト様の元まで護衛して頂けませんか!?」
「「は!?」」
◇◇◇
「それで小娘共にはおめおめと逃げられたと?」
「面目ないのお。」
「それで2人を助けたというのは?」
「若い男女2人組で恐ろしく腕の立つ輩じゃったなぁ。」
「貴様らよりもか。」
「儂らではせいぜい逃げるのが関の山。連中を討伐せよなどと申されるな。無理じゃ。」
「それで、連中の特徴は?」
「男女共に黒髪黒目。男は黒い装束、女は白銀の鎧。槍の扱いも達者じゃったが妖術の類も相当なもんじゃな。」
「なん…だと…?我らは虎の尾を踏んでしまったかも知れんな。即刻手を打たねばならん。貴様らにも働いてもらう。」
【フフフ…そろそろ妾の出番かの?早うこの力を開放したいものじゃ…】
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