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第二部 バンドー皇国編 3章
195.再会
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◇◇◇
ジョーシュー領都、ステイブル・ブリジの街門が見えて来ました。でも少し様子がおかしいですね。大勢の兵達が整列しているように見えます。何でしょうか?私を捕らえるにしては大袈裟すぎますし…
【皇女よ。案ずる事はない。あの場に我が主がおる限りそなたに害は及ばぬ。】
あっ!本当です!あの凛々しいお姿はカズト様に間違いありません!
「カズ!!」
あ!ローレルさんが辛抱堪らなくなったのかカズト様に駆け寄って…あーーー!!!抱き着きましたよ!?ああ、カズト様にナデナデして貰っています…うらやま…いえ、なんでもありません。
ソアラさんが言っていましたが、本当にカズト様は多くの女性から愛されているようですね。
ああ、そうこうしている内に街門に着いてしまいました。どうしましょう?ドキドキしてしまいます。
◇◇◇
いきなり抱き着いてきたローレルを引っぺがして、頭を撫でて落ち着かせた俺はガイアのおっちゃんとグータッチだ。ついでランの元へ向かい皇女の下馬を手伝う。
「ご苦労だったな、ラン。よくやってくれた。」
ランを労いながら馬首を撫でてやる。
【主の期待に応えるのは眷属として当然の事。】
相変わらず渋いな。
「あ、あの、カズト様?」
おう、忘れるとこだった。ジュリアだジュリア。
「セリカは色よい返事をしてくれたか?」
「はいっ!カズト様のおかげです!この御恩は必ず…」
「ああ、いいよ。そんな事は。支援を決めたのはセリカだろ?そしてセリカが支援を決めたのはあんたの行動を見ての事だ。この街のみんなの様にな。」
俺は少し離れている所に控えているレックスをはじめとするジョーシュー軍にむかってジュリアの背中を押してやる。
「詳しい事は領主殿に聞くんだな。みんなお前を待っていた。」
さて、後はジュリエッタの方か。まだチェロから連絡は来ないが。
【テルの所にいる『リッケン』と連絡をとってみましょう。】
「なあ、サンタナ。『リッケン』って誰?」
【ああ、テルに置いて来た私の分身体に『リッケン』と名付けたようですね。ユキのところのアクアの分身体は『バッカー』と名付けたらしいですよ?】
へえ、可愛がってるようで何よりだな。
【ああ、夕刻までには到着するようですよ。】
俺はその事をジュリアとレックスに伝えた。
「よかった…ジュリエッタも無事なのですね。本当によかった…」
ジュリアは泣き崩れてしまった。無理もないか。決死の覚悟で『敵国』の王に直談判しに行ったんだ。生きて戻れる保証は無かった。
「見たか、領主殿。これが皇女の覚悟だ。皇女を保護するあんたの判断は間違っちゃいないと思うぞ?」
皇女の無事の帰還にステイブル・ブリジの街はお祭り騒ぎだ。この後確実に来る内乱を思えば騒いでばかりも居られないが今日一日くらいはいいじゃないか。俺はこの時そう思ったんだ。
そして数刻の後ジュリエッタと護衛のテルとユキが到着した。今度は出迎えに姉のジュリアも加わっている。感動の再会だった。そして2人揃って俺に向かって深く礼をしてくる。
(おい、皇女殿下があれだけ頭を下げるあいつって何モンだ!?)
(そういや領主様とも対等に話してたよな?)
あー、ざわついてきたざわついてきた。そろそろ撤収しよっかなー?
「ダメだよカズトさん。今更逃げられないって。」
「うむ。往生際が悪いぞ?カズト殿。」
両腕をテルとユキにがっしりと押さえられてしまった。なあ、なんで?皇女が戻ったんだから俺もういいだろ?
そして双子の皇女が俺の両サイドに来ると、ジュリアが高らかに演説を始めた。何故か良く通る声。これって街中に聞こえてるんじゃないのか?
【ふふふ…ご主人様が注目されて…うふふふ…】
「…サンタナ。お前の風魔法のアシストか?」
【いいえ?私の意を汲んだ風精霊達が勝手にやった事ですね。くふふふ。】
おのれ精霊共め…
「……そしてこの方がオーシュー革命の立役者にして救国の英雄!『天罰』のカズト様です!私達姉妹はカズト様に命を救われ、そしてさらにバンドーの民を!皆さんを救う機会を与えて下さいました! カズト様のお力添えによりオーシュー王国、エツリア王国は協力を確約して下さったのです!この偉大なる英雄が私達を助けて下さるのです!ならば私達バンドーの民も立ち上がらなければならないと思いませんか!?」
ああ、やられた…もうこの大歓声、どうすんのよ。
「ふふふ、カズ。諦めろって。カズくらい強くて頭が切れて見た目がいい男が目立たないなんて無理なんだからさ。」
「お前みたいなエルフの美人が側にいると余計に目立つじゃねーか…」
「なんだよ、美人にくっつかれるのはイヤか?ん?」
こいつ、ライムがいないからってやたらと押しが強いな。
「ま、落ち着いたら城に入ろう。ここにあんまり長居もしてられないんだ。早急に対応を決めなくちゃならない。」
こうして大歓声のなか俺達は城に入っていく。
「ふう、漸く落ち着けた…。領主殿。俺とこのエルフのローレル、ドワーフのガイアは明朝南の街に向かう。援軍の方は宜しく頼むよ。」
「む、急だな。仕方ない、せめて今夜は晩餐だけでも楽しんでいってくれるとありがたい。」
「カズト様?そういえばライム様が見当たらないのですが…」
レックスが皇女2人に現状の説明を始めた。皇女2人はそれ程深刻な事態に急展開しているとは思いもしなかったらしい。
「レックス!明朝私もカズト様と共に発ちます!出せるだけの兵を用意しなさい!」
「承知いたしました。援兵2000、今夜中に整えてご覧に入れましょう。」
「姉上!私も!」
ジュリエッタも同行すると言い張るが。でもここは二手に分かれた方がいいと思う。
「ジュリアにはオーシューの援軍も含めた指揮を、ジュリエッタにはエツリアの援軍を含めた指揮を、どうだ?その方が良くないか?」
俺の提案にジュリエッタは。
「確かに私自ら赴いたエツリアに対し礼を失する事になりますね…わかりました。姉上、カズト様。くれぐれもライム様に宜しくお伝え下さい。」
「それじゃあカズトさん。俺達は引き続きジュリエッタ様と同行するよ。まだ報酬の話も決まってないしね。」
「そうだな、こちらは我らに任されよ。」
そうか、テルとユキは別行動か。一緒に戦えないのは残念だけどジュリエッタの事は安心して任せられるもんな。
とりあえず今夜は再会を祝して晩餐を楽しもうか。
ジョーシュー領都、ステイブル・ブリジの街門が見えて来ました。でも少し様子がおかしいですね。大勢の兵達が整列しているように見えます。何でしょうか?私を捕らえるにしては大袈裟すぎますし…
【皇女よ。案ずる事はない。あの場に我が主がおる限りそなたに害は及ばぬ。】
あっ!本当です!あの凛々しいお姿はカズト様に間違いありません!
「カズ!!」
あ!ローレルさんが辛抱堪らなくなったのかカズト様に駆け寄って…あーーー!!!抱き着きましたよ!?ああ、カズト様にナデナデして貰っています…うらやま…いえ、なんでもありません。
ソアラさんが言っていましたが、本当にカズト様は多くの女性から愛されているようですね。
ああ、そうこうしている内に街門に着いてしまいました。どうしましょう?ドキドキしてしまいます。
◇◇◇
いきなり抱き着いてきたローレルを引っぺがして、頭を撫でて落ち着かせた俺はガイアのおっちゃんとグータッチだ。ついでランの元へ向かい皇女の下馬を手伝う。
「ご苦労だったな、ラン。よくやってくれた。」
ランを労いながら馬首を撫でてやる。
【主の期待に応えるのは眷属として当然の事。】
相変わらず渋いな。
「あ、あの、カズト様?」
おう、忘れるとこだった。ジュリアだジュリア。
「セリカは色よい返事をしてくれたか?」
「はいっ!カズト様のおかげです!この御恩は必ず…」
「ああ、いいよ。そんな事は。支援を決めたのはセリカだろ?そしてセリカが支援を決めたのはあんたの行動を見ての事だ。この街のみんなの様にな。」
俺は少し離れている所に控えているレックスをはじめとするジョーシュー軍にむかってジュリアの背中を押してやる。
「詳しい事は領主殿に聞くんだな。みんなお前を待っていた。」
さて、後はジュリエッタの方か。まだチェロから連絡は来ないが。
【テルの所にいる『リッケン』と連絡をとってみましょう。】
「なあ、サンタナ。『リッケン』って誰?」
【ああ、テルに置いて来た私の分身体に『リッケン』と名付けたようですね。ユキのところのアクアの分身体は『バッカー』と名付けたらしいですよ?】
へえ、可愛がってるようで何よりだな。
【ああ、夕刻までには到着するようですよ。】
俺はその事をジュリアとレックスに伝えた。
「よかった…ジュリエッタも無事なのですね。本当によかった…」
ジュリアは泣き崩れてしまった。無理もないか。決死の覚悟で『敵国』の王に直談判しに行ったんだ。生きて戻れる保証は無かった。
「見たか、領主殿。これが皇女の覚悟だ。皇女を保護するあんたの判断は間違っちゃいないと思うぞ?」
皇女の無事の帰還にステイブル・ブリジの街はお祭り騒ぎだ。この後確実に来る内乱を思えば騒いでばかりも居られないが今日一日くらいはいいじゃないか。俺はこの時そう思ったんだ。
そして数刻の後ジュリエッタと護衛のテルとユキが到着した。今度は出迎えに姉のジュリアも加わっている。感動の再会だった。そして2人揃って俺に向かって深く礼をしてくる。
(おい、皇女殿下があれだけ頭を下げるあいつって何モンだ!?)
(そういや領主様とも対等に話してたよな?)
あー、ざわついてきたざわついてきた。そろそろ撤収しよっかなー?
「ダメだよカズトさん。今更逃げられないって。」
「うむ。往生際が悪いぞ?カズト殿。」
両腕をテルとユキにがっしりと押さえられてしまった。なあ、なんで?皇女が戻ったんだから俺もういいだろ?
そして双子の皇女が俺の両サイドに来ると、ジュリアが高らかに演説を始めた。何故か良く通る声。これって街中に聞こえてるんじゃないのか?
【ふふふ…ご主人様が注目されて…うふふふ…】
「…サンタナ。お前の風魔法のアシストか?」
【いいえ?私の意を汲んだ風精霊達が勝手にやった事ですね。くふふふ。】
おのれ精霊共め…
「……そしてこの方がオーシュー革命の立役者にして救国の英雄!『天罰』のカズト様です!私達姉妹はカズト様に命を救われ、そしてさらにバンドーの民を!皆さんを救う機会を与えて下さいました! カズト様のお力添えによりオーシュー王国、エツリア王国は協力を確約して下さったのです!この偉大なる英雄が私達を助けて下さるのです!ならば私達バンドーの民も立ち上がらなければならないと思いませんか!?」
ああ、やられた…もうこの大歓声、どうすんのよ。
「ふふふ、カズ。諦めろって。カズくらい強くて頭が切れて見た目がいい男が目立たないなんて無理なんだからさ。」
「お前みたいなエルフの美人が側にいると余計に目立つじゃねーか…」
「なんだよ、美人にくっつかれるのはイヤか?ん?」
こいつ、ライムがいないからってやたらと押しが強いな。
「ま、落ち着いたら城に入ろう。ここにあんまり長居もしてられないんだ。早急に対応を決めなくちゃならない。」
こうして大歓声のなか俺達は城に入っていく。
「ふう、漸く落ち着けた…。領主殿。俺とこのエルフのローレル、ドワーフのガイアは明朝南の街に向かう。援軍の方は宜しく頼むよ。」
「む、急だな。仕方ない、せめて今夜は晩餐だけでも楽しんでいってくれるとありがたい。」
「カズト様?そういえばライム様が見当たらないのですが…」
レックスが皇女2人に現状の説明を始めた。皇女2人はそれ程深刻な事態に急展開しているとは思いもしなかったらしい。
「レックス!明朝私もカズト様と共に発ちます!出せるだけの兵を用意しなさい!」
「承知いたしました。援兵2000、今夜中に整えてご覧に入れましょう。」
「姉上!私も!」
ジュリエッタも同行すると言い張るが。でもここは二手に分かれた方がいいと思う。
「ジュリアにはオーシューの援軍も含めた指揮を、ジュリエッタにはエツリアの援軍を含めた指揮を、どうだ?その方が良くないか?」
俺の提案にジュリエッタは。
「確かに私自ら赴いたエツリアに対し礼を失する事になりますね…わかりました。姉上、カズト様。くれぐれもライム様に宜しくお伝え下さい。」
「それじゃあカズトさん。俺達は引き続きジュリエッタ様と同行するよ。まだ報酬の話も決まってないしね。」
「そうだな、こちらは我らに任されよ。」
そうか、テルとユキは別行動か。一緒に戦えないのは残念だけどジュリエッタの事は安心して任せられるもんな。
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