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第二部 バンドー皇国編 3章
223.最強vs最凶
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背中に戦闘の気配を感じて俺のやる気スイッチがカチリと入った。カラクリに魔力を通して挨拶代りの斬撃を飛ばす。
が、白く弧を描きながら飛ばした魔力刃は九尾の掌であっさりかき消された。
「ほう?」
「…妙じゃな。うぬは何者ぞ?勇者以上の力を感じる。」
九尾もここに来て漸く俺の内包されている力を感じたか。
「さてな。この国の皇女に頼まれた助っ人ってトコか。」
「小癪な事を言いよる。お呼びでないわ。往ね。」
今度は九尾の右手から妖気が物質的圧力を持って放たれる。俺もさっき九尾がやったように左の掌で受け止め…握り潰す。
「ぬう?」
「小手調べはもういいだろ?」
俺は再びカラクリに刃を纏わせ一気に間合いを詰めた。
ん?なんだ?手応えが無い。
奴と交錯する際に胴薙ぎに一閃。しかし奴は微動だにしない。カラクリの刃は消えていた。
「一撃にこれだけの魔力を乗せるか。しかしうぬの魔力は美味じゃな。未だ嘗てこれだけの魔力は味わった事がないぞよ?」
「なら、コイツはどうだ?」
今度は割と本気のマジックミサイル256発。索敵が使えないせいで全弾マニュアルで制御しなくちゃいけないけどな。
ズドドドドドドッ!!
今度はどうだ?手応えはあったが。
ブォン!!
土煙の中からムチの様なケリが顔面目掛けて飛んでくる。
「うおっ!?」
完全に虚を突かれたが何とかスウェーで躱す。
「何と…今のを躱すか。これは予想以上じゃ。」
「お前こそ。さっきのを食らってノーダメージかよ…ちょっと自信無くすぜ。」
いや、マジで。
その時九尾が妖艶に笑う。
「ふっ。そうでもないぞよ?ほれ。」
九尾は着衣をはだけ左の鎖骨あたりを指差す。そこには僅かに血が滲んでいた。全く、化け物め。俺のマジックミサイルが虫に刺された程度とはな。
「妾が過去に敗れたのは術者。戦士には傷ひとつ付けられた事はないのじゃ。うぬは強い。誇るがよいぞ?」
「冗談じゃねぇ。こんなんじゃあいつらに顔向け出来ねえじゃねえか。行くぞ。」
今度は体術と気功術。外側からじゃ殆どの魔力は吸収されちまうが内側に直接打ち込んだらどうだ?
左肩を前に半身に構え両腕は力を抜きあくまで自然体。足は軽くステップを踏み…左脚を軸にして一息に右のハイ、ミドル、ハイの三連続蹴りを食らわせる。
「ほっ!」
「むっ?」
一発目のハイキックはスウェーで避けられたが続くミドルとハイはガードさせる事に成功する。そのまま右脚のローリングソバット!
九尾はこれも右腕でガードするが数メートル吹っ飛ばされる。すかさずダッシュで間合いを詰め追撃にかかるが九尾はこちらに背を向け首を捻りニヤリと笑う。
(なんかヤバい!?)
脳内にアラートが鳴り響く。九尾が繰り出したのは九本の尻尾。さながら鋭利な槍の如く襲いかかって来た。
「ちぃっ!!」
咄嗟に両腕でクロスガードして受け止めるが逆に数メートル吹っ飛ばされる。
「……」
「なんと…今ので無傷か。うぬではないが妾も自信をなくしたぞよ?」
「…そうでもねぇよ。魔力障壁を抜けて来たのはお前が初めてだ。誇れよ、九尾。」
俺の右の頬には一条のかすり傷が疾っていた。それにしても、気功術で内部に魔力を打ち込んでも効果が無い?しかも互角?いや、奴の方がいくらか上を行っているか?
そう思った直後。
ブシュッ!
「何じゃ!?」
俺の蹴りをガードした九尾の両腕から血飛沫が上がる。
「これは…『発勁』かの?面白い技を使う。まともに食ろうたら危なかったかの?」
気功術は一応効果はあるみたいだ。
「どうも受けてばかりでは分が悪いようじゃな。今度はこちらの番じゃ。」
九尾は右手を横に水平に上げ手を開く。
ヴォン!
九尾の右手に現れたのは青龍刀。中国の時代物アクションでよく見かける幅広の片刃剣だ。
「ここからが本番じゃ。いくぞよ?」
「来い。」
俺もカラクリに魔力を通す。しかし。
「面白い剣じゃが…その剣は妾には効かぬ!」
そう叫びながら九尾が猛烈なスピードで間合いを詰めてくる。確かに魔力は吸収されちまうからカラクリも盾代りにしかならないが…
九尾の刀術は剣術とは違う。突きや蹴りなどの体術を絡めた複雑な動きをする。
「ぐっ!畜生が。」
青龍刀と体術だけならばなんとか対応出来ていたが九本の尾が厄介だ。妖気を乗せた尾の一撃がついに俺の脇腹にクリーンヒットする。横に派手にふっ飛ばされている俺をドヤ顔で見ている九尾。
「ふん、どうじゃ?少しは効いたじゃろ?」
「けっ、ヨユーこいてんじゃねーよ。」
脇腹への一撃は確かに無茶苦茶痛かったが俺も黙って受けてた訳じゃない。仕込みは済んでいるんだぜ?親指一本立てた握り拳。そして親指を下に向ける。
「な!?」
俺に攻撃する事に夢中だったヤツは宙に浮かべた魔力球に気付いていなかった。魔力球が無数に分裂して九尾に降り注ぐ。絨毯爆撃と言った所か。
「しかし魔力の攻撃は妾には効かぬぞよ?」
そう言いながらニヤリと歪んだ笑みを浮かべる九尾だが尚も続く絨毯爆撃。爆発による光と土煙で視界が奪われる。
「うおおおおらあぁぁぁぁぁーーー!」
恐らく魔力球のエネルギーを吸収しているであろう九尾の懐に飛び込み鳩尾にアッパーで宙に浮かせ…
「もう一丁ぉぉぉ!」
俺も跳躍し鳩尾の丁度裏のあたり、背中の中央付近に渾身の踵落とし。
ズズン!!
大地にめり込む九尾。どうもヤツは来ると分かっている攻撃には魔力を吸収して対応しているが予想を超える攻撃には魔力吸収は出来ていない節がある。マジックミサイルによるかすり傷しかり。予想外の気功術しかり。
だが俺も脇腹のダメージが抜けずに追撃に移れない。
そうしている内に九尾はよろよろと立ち上がる。
「く。流石にこの程度じゃくたばらねえか。バケモンめ。」
「ぐぼぁっ!!」
お?吐血しやがった。予想外に効いているか?
「おのれぇ…小僧、このままでは済まさんぞ…」
…やれやれ。激闘の予感だぜ…
が、白く弧を描きながら飛ばした魔力刃は九尾の掌であっさりかき消された。
「ほう?」
「…妙じゃな。うぬは何者ぞ?勇者以上の力を感じる。」
九尾もここに来て漸く俺の内包されている力を感じたか。
「さてな。この国の皇女に頼まれた助っ人ってトコか。」
「小癪な事を言いよる。お呼びでないわ。往ね。」
今度は九尾の右手から妖気が物質的圧力を持って放たれる。俺もさっき九尾がやったように左の掌で受け止め…握り潰す。
「ぬう?」
「小手調べはもういいだろ?」
俺は再びカラクリに刃を纏わせ一気に間合いを詰めた。
ん?なんだ?手応えが無い。
奴と交錯する際に胴薙ぎに一閃。しかし奴は微動だにしない。カラクリの刃は消えていた。
「一撃にこれだけの魔力を乗せるか。しかしうぬの魔力は美味じゃな。未だ嘗てこれだけの魔力は味わった事がないぞよ?」
「なら、コイツはどうだ?」
今度は割と本気のマジックミサイル256発。索敵が使えないせいで全弾マニュアルで制御しなくちゃいけないけどな。
ズドドドドドドッ!!
今度はどうだ?手応えはあったが。
ブォン!!
土煙の中からムチの様なケリが顔面目掛けて飛んでくる。
「うおっ!?」
完全に虚を突かれたが何とかスウェーで躱す。
「何と…今のを躱すか。これは予想以上じゃ。」
「お前こそ。さっきのを食らってノーダメージかよ…ちょっと自信無くすぜ。」
いや、マジで。
その時九尾が妖艶に笑う。
「ふっ。そうでもないぞよ?ほれ。」
九尾は着衣をはだけ左の鎖骨あたりを指差す。そこには僅かに血が滲んでいた。全く、化け物め。俺のマジックミサイルが虫に刺された程度とはな。
「妾が過去に敗れたのは術者。戦士には傷ひとつ付けられた事はないのじゃ。うぬは強い。誇るがよいぞ?」
「冗談じゃねぇ。こんなんじゃあいつらに顔向け出来ねえじゃねえか。行くぞ。」
今度は体術と気功術。外側からじゃ殆どの魔力は吸収されちまうが内側に直接打ち込んだらどうだ?
左肩を前に半身に構え両腕は力を抜きあくまで自然体。足は軽くステップを踏み…左脚を軸にして一息に右のハイ、ミドル、ハイの三連続蹴りを食らわせる。
「ほっ!」
「むっ?」
一発目のハイキックはスウェーで避けられたが続くミドルとハイはガードさせる事に成功する。そのまま右脚のローリングソバット!
九尾はこれも右腕でガードするが数メートル吹っ飛ばされる。すかさずダッシュで間合いを詰め追撃にかかるが九尾はこちらに背を向け首を捻りニヤリと笑う。
(なんかヤバい!?)
脳内にアラートが鳴り響く。九尾が繰り出したのは九本の尻尾。さながら鋭利な槍の如く襲いかかって来た。
「ちぃっ!!」
咄嗟に両腕でクロスガードして受け止めるが逆に数メートル吹っ飛ばされる。
「……」
「なんと…今ので無傷か。うぬではないが妾も自信をなくしたぞよ?」
「…そうでもねぇよ。魔力障壁を抜けて来たのはお前が初めてだ。誇れよ、九尾。」
俺の右の頬には一条のかすり傷が疾っていた。それにしても、気功術で内部に魔力を打ち込んでも効果が無い?しかも互角?いや、奴の方がいくらか上を行っているか?
そう思った直後。
ブシュッ!
「何じゃ!?」
俺の蹴りをガードした九尾の両腕から血飛沫が上がる。
「これは…『発勁』かの?面白い技を使う。まともに食ろうたら危なかったかの?」
気功術は一応効果はあるみたいだ。
「どうも受けてばかりでは分が悪いようじゃな。今度はこちらの番じゃ。」
九尾は右手を横に水平に上げ手を開く。
ヴォン!
九尾の右手に現れたのは青龍刀。中国の時代物アクションでよく見かける幅広の片刃剣だ。
「ここからが本番じゃ。いくぞよ?」
「来い。」
俺もカラクリに魔力を通す。しかし。
「面白い剣じゃが…その剣は妾には効かぬ!」
そう叫びながら九尾が猛烈なスピードで間合いを詰めてくる。確かに魔力は吸収されちまうからカラクリも盾代りにしかならないが…
九尾の刀術は剣術とは違う。突きや蹴りなどの体術を絡めた複雑な動きをする。
「ぐっ!畜生が。」
青龍刀と体術だけならばなんとか対応出来ていたが九本の尾が厄介だ。妖気を乗せた尾の一撃がついに俺の脇腹にクリーンヒットする。横に派手にふっ飛ばされている俺をドヤ顔で見ている九尾。
「ふん、どうじゃ?少しは効いたじゃろ?」
「けっ、ヨユーこいてんじゃねーよ。」
脇腹への一撃は確かに無茶苦茶痛かったが俺も黙って受けてた訳じゃない。仕込みは済んでいるんだぜ?親指一本立てた握り拳。そして親指を下に向ける。
「な!?」
俺に攻撃する事に夢中だったヤツは宙に浮かべた魔力球に気付いていなかった。魔力球が無数に分裂して九尾に降り注ぐ。絨毯爆撃と言った所か。
「しかし魔力の攻撃は妾には効かぬぞよ?」
そう言いながらニヤリと歪んだ笑みを浮かべる九尾だが尚も続く絨毯爆撃。爆発による光と土煙で視界が奪われる。
「うおおおおらあぁぁぁぁぁーーー!」
恐らく魔力球のエネルギーを吸収しているであろう九尾の懐に飛び込み鳩尾にアッパーで宙に浮かせ…
「もう一丁ぉぉぉ!」
俺も跳躍し鳩尾の丁度裏のあたり、背中の中央付近に渾身の踵落とし。
ズズン!!
大地にめり込む九尾。どうもヤツは来ると分かっている攻撃には魔力を吸収して対応しているが予想を超える攻撃には魔力吸収は出来ていない節がある。マジックミサイルによるかすり傷しかり。予想外の気功術しかり。
だが俺も脇腹のダメージが抜けずに追撃に移れない。
そうしている内に九尾はよろよろと立ち上がる。
「く。流石にこの程度じゃくたばらねえか。バケモンめ。」
「ぐぼぁっ!!」
お?吐血しやがった。予想外に効いているか?
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