いや、自由に生きろって言われても。

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西国編

狩り

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 120人の歩兵と5騎の騎兵。しっかりと陣形を組み長槍などで騎兵の突撃を止めるとか飛び道具で騎兵が近付く前に勢いを殺すとか、そういう手立てがしてあるなら話は別だが今の連中は只の敗走する統率のされていない兵だ。たった5騎でも心情的にはこっちが狩人、向こうは獲物だ。

 敵の中央に向かい突っ走る俺とランの左右にライムとチェロ、それにテルとユキを乗せたムスタングが並ぶ。俺はカラクリで敵を斬り伏せながら左手を空に翳し50センチ程の魔力球を作り出した。これで天罰の仕込みは完了だ。逃げ惑う敵もいれば立ち向かって来る敵もいる。蘭丸とエスプリは遊撃ポジションで好きなように動いて貰う。それが戦場の混乱に拍車をかけているのだが、俺の天罰の前には大した問題じゃない。

 「そら、いくぞ?」

 気負いも何もない緩い一言を発して俺は空に翳した左手を握る。

 空に浮いた魔力球が爆ぜ、100個の魔弾となってロックオンした敵を追尾する。逃げようが隠れようが敵を穿つまで止まらない魔弾。これが俺の天罰だ。いかに混戦でもフレンドリーファイアなんてやらかしはしないぞ?

 『うにゅ~、おにいちゃん、てき、へった~』

 クレームは受け付けません。一番槍宣言はしました。

 俺達を追跡して来た時点で500人。上陸した時点で450人。ゴーレムと交戦した時点で120人。敗走して俺達に攻撃され残り4人。それが今の奴らの現実だ。4人は俺達に囲まれ成す術なく武器を捨て、投降した。

 「まさか…馬車一台の戦力に我らが壊滅させられるとは思わなかった…」

 敵兵の第一声がこれだった。一応、威圧感を与える為にゴーレムで取り囲んでいる。そんな事をしなくても心は既に折れているようだが。

 「一応聞いとくがお前らの本当の目的は何だ?」

 「国が国を襲うのだ。征服以外に何がある?」

 ちょっと生意気な態度にイラッと来たので一発殴っておこう。

 「グエッ!」

 「んな事ぁ分かってんだよこのハゲ!チンゼイが欲しくて包囲してる訳じゃねえんだろっつってんだ。」

 「う…し、知らん!」

 ちっ。面倒だ。

 「スプライト。こいつ等の周囲を丈夫な檻で囲んてくれるか?」

 「ちょちょいのちょいなのだ?」

 「そーかそーか。じゃあ絶対逃げられないヤツ頼むよ。後で飴ちゃんやるから。」

 「わーい!頑張るのだ!」

 そして次は…スタリオン、エスプリ、こいつ等の側で見張っててくれるか?

 『うん!わかったー!』

 『うむ、心得た。』

 へたり込んでいる四人を見下ろすように巨大な狼と地竜が立っている。

 「ひ、ひいぃぃ…」

 「よし、スプライト、いいぞ。やってくれ。」

 姿や口調は幼いが、こいつも悠久の時を生きる精霊王。俺の意図している所はちゃんと伝わっているようだ。

 エスプリとスタリオン諸共に地面から土の柱が何本も突き出し四人の捕虜を囲う。

 「お前ら、腹減ったら食っていいぞ。」

 四人がマジか?って顔でこっちを見る。現状、こいつ等は逃げ場のない餌だ。スタリオンは

 『え~?これ、たべるの~?』

 とちょっと嫌そうだがエスプリは舌をだらんと出して涎を滴らせている。しかもハァハァしてるし。

 「ま、お前らも食われたくなかったらチャチャっと吐いちまうこったな。こいつらの空腹がマックスになる前に。」

 エスプリがペロリと舌なめずりをしてクンクン匂いを嗅いでいる。んな奴ら、汗臭いだけだろ?それにしてもいいタイミングでいい演技だエスプリ!

 『程よく脂が乗っていて悪くなさそうだ。』

 演技じゃなくてガチで食いたかったのかエスプリめ!
 
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