1 / 11
1
しおりを挟む
訳あって学園を休学して居た私、シルビアだが……漸く学園に戻ってみれば、そこは何やらとんでもない事態になって居た。
久しぶりに私の顔を見た友人ミスティアは、挨拶もそこそこに……あなたの婚約者のライオス様が大変だ、よりにもよってあんな平民女を相手にするなんてと興奮した様子で話し始めた。
「あなたが休学中に平民上がりのナナリ―と言う女が学園に転入して来たんだけれど、その子は凄く可愛くて可憐で……。それを見た殿方達は、皆彼女に夢中になってしまったのよ!」
「えぇ?」
「そしたらその内、生徒会の皆様まであの子の事を気に掛けるようになってしまって……。書記を務める私のエバンズ様も、すっかりあの子に夢中で……今や私の事など見向きもしてくれないわ!」
そう言って、ミスティアは私の胸に飛び込むとシクシクと涙を零した。
「ミスティア……今まで辛かったわね。ごめんなさい、あなたがそんな事になって居るのに近くに居られなくて。」
「いえ、その気持ちだけで嬉しいわ。でもそのナナリーときたら、私のエバンズ様を誘惑しただけでは飽き足らず……遂に生徒会長のライオス様、あなたの婚約者にも色目を使い始めたの!」
「……。」
「最初こそ、あなたが居るからと彼女と距離を取ったライオス様だけど……結局は彼女の誘いに負けてしまったようで、今ではすっかり彼女の虜に──。ほら、あそこ……今日もお二人でランチを楽しんで居るわ。」
そう言ってミスティアが指を差す先には……校庭のベンチに仲良く並んで腰掛け、楽しそうにお弁当を広げるライオス様と……それはそれは可愛らしい女の子、ナナリーの姿があった。
「ナナリーはあの可愛さで、ある貴族に気に入られ容姿に迎えられてね。頭もそこそこ良いからって、この学園に転入させて貰ったそうよ。でもいくら可愛いからって、色んな男を手玉に取って……やる事に品が無いわ!」
そう言って、怒りの収まらないミスティアはナナリーの事をキッと睨んだ。
「生徒会長のライオス様があんな調子で、他の役員……エバンス様達もすっかり惚けてしまって、今や生徒会はまともに機能して居ないわ。他の殿方達もあの子に骨抜きで、学園内の風紀は乱れつつあってね。格式高いと評判の我が学園だったのに……本当に嘆かわしいったら無い──。」
まさか私が居ない間にライオス様が、そしてこのサジタリア学園がそのような事になって居たとは──。
全く……そうならない為にも、私はあれをお渡ししたのに。
現状こうなって居ると言う事は、あなたは大事にはしてくれなかったんですね──。
久しぶりに私の顔を見た友人ミスティアは、挨拶もそこそこに……あなたの婚約者のライオス様が大変だ、よりにもよってあんな平民女を相手にするなんてと興奮した様子で話し始めた。
「あなたが休学中に平民上がりのナナリ―と言う女が学園に転入して来たんだけれど、その子は凄く可愛くて可憐で……。それを見た殿方達は、皆彼女に夢中になってしまったのよ!」
「えぇ?」
「そしたらその内、生徒会の皆様まであの子の事を気に掛けるようになってしまって……。書記を務める私のエバンズ様も、すっかりあの子に夢中で……今や私の事など見向きもしてくれないわ!」
そう言って、ミスティアは私の胸に飛び込むとシクシクと涙を零した。
「ミスティア……今まで辛かったわね。ごめんなさい、あなたがそんな事になって居るのに近くに居られなくて。」
「いえ、その気持ちだけで嬉しいわ。でもそのナナリーときたら、私のエバンズ様を誘惑しただけでは飽き足らず……遂に生徒会長のライオス様、あなたの婚約者にも色目を使い始めたの!」
「……。」
「最初こそ、あなたが居るからと彼女と距離を取ったライオス様だけど……結局は彼女の誘いに負けてしまったようで、今ではすっかり彼女の虜に──。ほら、あそこ……今日もお二人でランチを楽しんで居るわ。」
そう言ってミスティアが指を差す先には……校庭のベンチに仲良く並んで腰掛け、楽しそうにお弁当を広げるライオス様と……それはそれは可愛らしい女の子、ナナリーの姿があった。
「ナナリーはあの可愛さで、ある貴族に気に入られ容姿に迎えられてね。頭もそこそこ良いからって、この学園に転入させて貰ったそうよ。でもいくら可愛いからって、色んな男を手玉に取って……やる事に品が無いわ!」
そう言って、怒りの収まらないミスティアはナナリーの事をキッと睨んだ。
「生徒会長のライオス様があんな調子で、他の役員……エバンス様達もすっかり惚けてしまって、今や生徒会はまともに機能して居ないわ。他の殿方達もあの子に骨抜きで、学園内の風紀は乱れつつあってね。格式高いと評判の我が学園だったのに……本当に嘆かわしいったら無い──。」
まさか私が居ない間にライオス様が、そしてこのサジタリア学園がそのような事になって居たとは──。
全く……そうならない為にも、私はあれをお渡ししたのに。
現状こうなって居ると言う事は、あなたは大事にはしてくれなかったんですね──。
1,293
あなたにおすすめの小説
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。
水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。
王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。
しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。
ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。
今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。
ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。
焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。
それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。
※小説になろうでも投稿しています。
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
【完】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
第18回恋愛小説大賞で、『奨励賞』をいただきましたっ!
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)
義妹のせいで、婚約した相手に会う前にすっかり嫌われて婚約が白紙になったのになぜか私のことを探し回っていたようです
珠宮さくら
恋愛
サヴァスティンカ・メテリアは、ルーニア国の伯爵家に生まれた。母を亡くし、父は何を思ったのか再婚した。その再婚相手の連れ子は、義母と一緒で酷かった。いや、義母よりうんと酷かったかも知れない。
そんな義母と義妹によって、せっかく伯爵家に婿入りしてくれることになった子息に会う前にサヴァスティンカは嫌われることになり、婚約も白紙になってしまうのだが、義妹はその子息の兄と婚約することになったようで、義母と一緒になって大喜びしていた
。
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる