婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。

Nao*

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 訳あって学園を休学して居た私、シルビアだが……漸く学園に戻ってみれば、そこは何やらとんでもない事態になって居た。


 久しぶりに私の顔を見た友人ミスティアは、挨拶もそこそこに……あなたの婚約者のライオス様が大変だ、よりにもよってあんな平民女を相手にするなんてと興奮した様子で話し始めた。



「あなたが休学中に平民上がりのナナリ―と言う女が学園に転入して来たんだけれど、その子は凄く可愛くて可憐で……。それを見た殿方達は、皆彼女に夢中になってしまったのよ!」

「えぇ?」

「そしたらその内、生徒会の皆様まであの子の事を気に掛けるようになってしまって……。書記を務める私のエバンズ様も、すっかりあの子に夢中で……今や私の事など見向きもしてくれないわ!」

 そう言って、ミスティアは私の胸に飛び込むとシクシクと涙を零した。



「ミスティア……今まで辛かったわね。ごめんなさい、あなたがそんな事になって居るのに近くに居られなくて。」

「いえ、その気持ちだけで嬉しいわ。でもそのナナリーときたら、私のエバンズ様を誘惑しただけでは飽き足らず……遂に生徒会長のライオス様、あなたの婚約者にも色目を使い始めたの!」

「……。」

「最初こそ、あなたが居るからと彼女と距離を取ったライオス様だけど……結局は彼女の誘いに負けてしまったようで、今ではすっかり彼女の虜に──。ほら、あそこ……今日もお二人でランチを楽しんで居るわ。」



 そう言ってミスティアが指を差す先には……校庭のベンチに仲良く並んで腰掛け、楽しそうにお弁当を広げるライオス様と……それはそれは可愛らしい女の子、ナナリーの姿があった。



「ナナリーはあの可愛さで、ある貴族に気に入られ容姿に迎えられてね。頭もそこそこ良いからって、この学園に転入させて貰ったそうよ。でもいくら可愛いからって、色んな男を手玉に取って……やる事に品が無いわ!」

 そう言って、怒りの収まらないミスティアはナナリーの事をキッと睨んだ。



「生徒会長のライオス様があんな調子で、他の役員……エバンス様達もすっかり惚けてしまって、今や生徒会はまともに機能して居ないわ。他の殿方達もあの子に骨抜きで、学園内の風紀は乱れつつあってね。格式高いと評判の我が学園だったのに……本当に嘆かわしいったら無い──。」

 

 まさか私が居ない間にライオス様が、そしてこのサジタリア学園がそのような事になって居たとは──。
 
 全く……そうならない為にも、私はあれをお渡ししたのに。

 現状こうなって居ると言う事は、あなたは大事にはしてくれなかったんですね──。
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