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独身と偽り女遊びを繰り返す夫の元へ、真実の姿で離縁を告げに参ります。
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私は家同士の約束で、ある殿方と結婚する事に─。
しかし彼は、冴えない容姿の私にすぐに魅力を感じなくなったようで…独身と偽り、あちこちのパーティーに参加しては女遊びを繰り返すようになってしまった。
結婚が決まった時…容姿より中身が大事だ、君をずっと大事にすると約束してくれたのに…あれは嘘だったの?
私は悲しく思うと同時に、このまま夫に好き放題されるのはもう嫌だと思った。
そんな中…私の元を、ある殿方が訪ねて来た。
それは私の幼馴染で…ある出来事から、ずっと私を心配し気にかけてくれて居た人物でもあった。
そんな彼は、私の夫に対し苛立ちを隠せないようで…そんな情のない男とは、もう別れた方がいいと言った。
「…そうね。だったらあの人の元に本当の姿で会いに行って、その場で離縁を告げようと思うわ。あの人は今、隣の地で開かれているパーティーに参加して居るの。どうせそこで、美しい女たちに手当たり次第声をかけて居るでしょう。」
そうして私は真新しいドレスに着替え、夫の元へと向かった。
その会場には、沢山の招待客が居て…案の定、夫もその輪の中に居た。
彼は容姿の良い令嬢に次々と声をかけ、それに応じた者達を傍に侍らせ戯れるのだった。
…全く、何て締まりのない情けない顔をして居るの?
夫の顔を見た瞬間、私は改めて彼への気持ちが冷めるのを感じた。
すると、私の視線に気づいたのか…夫が気取った笑みを浮かべ、足早にこちらへとやって来た。
「やぁ、君と会うのは今日が初めてだね?だって、君の様な美しい人は俺は絶対に覚えて居るからさ─。」
更に夫は、この後俺と会場を抜け出し甘い時間を過ごそうと口説いて来たのだ。
「あなた…私の事がまだ分からない?」
「そ、その声は…!どうしてお前がここに居る!いつもはこんなところに来ないのに…。と言うか、お前はそんなに美しかったか?そんな顔、まるで別人じゃないか!」
「確かに、今の私はあなたにとっては別人だろうけれど…だけどこれが、私の本当の顔なのよ。」
私の言葉に、夫は訳が分からないと言った顔をしたが…するとそんな夫に、後ろに控えて居た私の幼馴染が声をかけた。
「彼女は以前俺の妹を庇い、妹にかけられるはずだった呪いを受けてしまった。そのせいで美しかった顔は、まるで別人のように変わってしまった。そう、呪いをかけたその悪人と同じものにね。」
「私、その呪いをかけた女の顔になってしまったようなの。代わりに、その呪いをかけた女は私の顔を手に入れ…その容姿のまま、姿を消してしまったの。」
「俺はそれが耐えられず、これまでずっとその呪いを解く方法を探して居て…つい先ほどそれが見つかり、彼女を本来の顔に戻すことが出来たんだ。」
「の、呪いって…そんな馬鹿な話ある訳ないと思って居たが、本当だったのか!」
この件は、一緒になる前にちゃんと夫に話して居たが…現実的な彼はそれを信じず、冴えない顔が受け入れられない私が作り上げた妄想だと言って聞かなかった。
それでも、私を大事にすると言ってくれたから夫婦になったが…結局、上手くはいかなかったわね。
「私は、これまでもずっと女遊びを辞めて欲しいと言って夫婦仲の改善を図って来たけど…あなたはそれに全く応じなかった。そしてこの会場で、美人相手にみっともない顔を晒すあなたに私は遂に愛想が尽きました。顔も無事戻ったし…私は気持ちを新たに自分の人生を生きて行きたいです、どうか私と離縁して下さい。」
そんな私の言葉に、お前がそんな美人と分かった今別れたくない…美人妻と別れるなど勿体ないと夫は離縁を拒否したが、私の気持ちは一切変わらなかった。
するとこれまでの様子を見て居た周りの招待客たちは、自分が悪い事をしてきたのに今更縋るとは情けない…男としてのプライドはないのかと、夫の事を一斉に非難し始めた。
するとその事態に、夫はバツが悪くなったのか…この話は家に帰ってから改めてしようと言って、私を置き去りにさっさと会場から逃げ出した。
本当に私を大事にする気があるなら、自分一人で逃げないわよねぇ?
私は去り行く薄情な夫の姿を見て、誰がこのまま大人しく家に戻るかと思った。
すると幼馴染が、もうあの男の元には戻らなくていい…後の事は知り合いの優秀な弁護士に任せようと言って、私の手を引き周りから守るように会場から連れ出してくれるのだった─。
その後…私は、無事夫と離縁する事が出来た。
と言うのも、彼に独身だと偽られ結婚を約束したと言う女性が何十人も出て来て…それが夫の首を更に絞め、私との離縁に拍車を掛ける事に─。
元夫となった彼は、私に慰謝料を支払ったのは勿論…騙して弄んだ女たちにもそれぞれ慰謝料を払った後、破産してしまった。
だが、彼の不幸はまだ終わって居なかった。
実は彼が弄んだ女の中には、かつて私に呪いをかけ…私の美しい顔を手に入れたあの悪女が居た。
どうやら夫は随分前に、私の本当の顔に入れ込んでいた時期があったらしい。
それを覚えておらず、あの会場で私を口説こうとするなど…数奇な運命と思うと同時に、彼のその神経が理解できないわ。
すると呪いが解け、元の顔に戻ってしまった女は…何もかも失い自暴自棄になった元夫に対し、私だけはまだあなたが好き…この顔でもまた愛してと言い寄ったが…元夫は、そんな地味女など愛せないと激しく拒否し…それに対し、女は激怒。
女は隠し持っていた刃物で元夫を刺し、そのままの勢いで二人は道の下にあった激流に落ち…そのまま行方知れずとなってしまった。
そしてそれを風の噂で知った私は、悪い行いをした者達に相応しい末路と思ったが…次第に、二人の事は記憶の底に消えて行った。
と言うのも、私はあの後生活を支えてくれた幼馴染と恋仲となり…彼の妹さんの応援もあり、近く夫婦になる事が決まったからだ。
だから、新しい幸せに向けての準備に忙しい私には…元夫や悪女がその後どうなったかなど、最早どうでもいい事なのよね─。
しかし彼は、冴えない容姿の私にすぐに魅力を感じなくなったようで…独身と偽り、あちこちのパーティーに参加しては女遊びを繰り返すようになってしまった。
結婚が決まった時…容姿より中身が大事だ、君をずっと大事にすると約束してくれたのに…あれは嘘だったの?
私は悲しく思うと同時に、このまま夫に好き放題されるのはもう嫌だと思った。
そんな中…私の元を、ある殿方が訪ねて来た。
それは私の幼馴染で…ある出来事から、ずっと私を心配し気にかけてくれて居た人物でもあった。
そんな彼は、私の夫に対し苛立ちを隠せないようで…そんな情のない男とは、もう別れた方がいいと言った。
「…そうね。だったらあの人の元に本当の姿で会いに行って、その場で離縁を告げようと思うわ。あの人は今、隣の地で開かれているパーティーに参加して居るの。どうせそこで、美しい女たちに手当たり次第声をかけて居るでしょう。」
そうして私は真新しいドレスに着替え、夫の元へと向かった。
その会場には、沢山の招待客が居て…案の定、夫もその輪の中に居た。
彼は容姿の良い令嬢に次々と声をかけ、それに応じた者達を傍に侍らせ戯れるのだった。
…全く、何て締まりのない情けない顔をして居るの?
夫の顔を見た瞬間、私は改めて彼への気持ちが冷めるのを感じた。
すると、私の視線に気づいたのか…夫が気取った笑みを浮かべ、足早にこちらへとやって来た。
「やぁ、君と会うのは今日が初めてだね?だって、君の様な美しい人は俺は絶対に覚えて居るからさ─。」
更に夫は、この後俺と会場を抜け出し甘い時間を過ごそうと口説いて来たのだ。
「あなた…私の事がまだ分からない?」
「そ、その声は…!どうしてお前がここに居る!いつもはこんなところに来ないのに…。と言うか、お前はそんなに美しかったか?そんな顔、まるで別人じゃないか!」
「確かに、今の私はあなたにとっては別人だろうけれど…だけどこれが、私の本当の顔なのよ。」
私の言葉に、夫は訳が分からないと言った顔をしたが…するとそんな夫に、後ろに控えて居た私の幼馴染が声をかけた。
「彼女は以前俺の妹を庇い、妹にかけられるはずだった呪いを受けてしまった。そのせいで美しかった顔は、まるで別人のように変わってしまった。そう、呪いをかけたその悪人と同じものにね。」
「私、その呪いをかけた女の顔になってしまったようなの。代わりに、その呪いをかけた女は私の顔を手に入れ…その容姿のまま、姿を消してしまったの。」
「俺はそれが耐えられず、これまでずっとその呪いを解く方法を探して居て…つい先ほどそれが見つかり、彼女を本来の顔に戻すことが出来たんだ。」
「の、呪いって…そんな馬鹿な話ある訳ないと思って居たが、本当だったのか!」
この件は、一緒になる前にちゃんと夫に話して居たが…現実的な彼はそれを信じず、冴えない顔が受け入れられない私が作り上げた妄想だと言って聞かなかった。
それでも、私を大事にすると言ってくれたから夫婦になったが…結局、上手くはいかなかったわね。
「私は、これまでもずっと女遊びを辞めて欲しいと言って夫婦仲の改善を図って来たけど…あなたはそれに全く応じなかった。そしてこの会場で、美人相手にみっともない顔を晒すあなたに私は遂に愛想が尽きました。顔も無事戻ったし…私は気持ちを新たに自分の人生を生きて行きたいです、どうか私と離縁して下さい。」
そんな私の言葉に、お前がそんな美人と分かった今別れたくない…美人妻と別れるなど勿体ないと夫は離縁を拒否したが、私の気持ちは一切変わらなかった。
するとこれまでの様子を見て居た周りの招待客たちは、自分が悪い事をしてきたのに今更縋るとは情けない…男としてのプライドはないのかと、夫の事を一斉に非難し始めた。
するとその事態に、夫はバツが悪くなったのか…この話は家に帰ってから改めてしようと言って、私を置き去りにさっさと会場から逃げ出した。
本当に私を大事にする気があるなら、自分一人で逃げないわよねぇ?
私は去り行く薄情な夫の姿を見て、誰がこのまま大人しく家に戻るかと思った。
すると幼馴染が、もうあの男の元には戻らなくていい…後の事は知り合いの優秀な弁護士に任せようと言って、私の手を引き周りから守るように会場から連れ出してくれるのだった─。
その後…私は、無事夫と離縁する事が出来た。
と言うのも、彼に独身だと偽られ結婚を約束したと言う女性が何十人も出て来て…それが夫の首を更に絞め、私との離縁に拍車を掛ける事に─。
元夫となった彼は、私に慰謝料を支払ったのは勿論…騙して弄んだ女たちにもそれぞれ慰謝料を払った後、破産してしまった。
だが、彼の不幸はまだ終わって居なかった。
実は彼が弄んだ女の中には、かつて私に呪いをかけ…私の美しい顔を手に入れたあの悪女が居た。
どうやら夫は随分前に、私の本当の顔に入れ込んでいた時期があったらしい。
それを覚えておらず、あの会場で私を口説こうとするなど…数奇な運命と思うと同時に、彼のその神経が理解できないわ。
すると呪いが解け、元の顔に戻ってしまった女は…何もかも失い自暴自棄になった元夫に対し、私だけはまだあなたが好き…この顔でもまた愛してと言い寄ったが…元夫は、そんな地味女など愛せないと激しく拒否し…それに対し、女は激怒。
女は隠し持っていた刃物で元夫を刺し、そのままの勢いで二人は道の下にあった激流に落ち…そのまま行方知れずとなってしまった。
そしてそれを風の噂で知った私は、悪い行いをした者達に相応しい末路と思ったが…次第に、二人の事は記憶の底に消えて行った。
と言うのも、私はあの後生活を支えてくれた幼馴染と恋仲となり…彼の妹さんの応援もあり、近く夫婦になる事が決まったからだ。
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