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しおりを挟むアイツというのは勇者だ。
と言ってもまだ勇者には選ばれていない段階の者だ。
だが、この勇者の底なしの潜在能力の高さに気がついた私はいち早く魔王軍へ報告した。それからは引き続きその者を見張って何かあれば報告する事になっている。
私は丁度背丈も勇者と同じ子供だった為、勇者を見つけた直後からこの村に潜入した。
両親がいない私は生きるのに必死で学校にも行ってなかったという設定にし、村に住まわせて貰いながら勇者と一緒に学生時代を送った。
そんな勇者はおめでたい事に私の事を仲の良い親友だと思い込んでおり、今でも村の外れに家を構え1人で住んでいる私に会いにくる。
「あっもうっうるさいうるさいっ!!そんなに私を呼ばなくても大体畑を耕しているから聞こえるって!!」
少しイラつきながら自分の家の前で叫んでいる勇者に会いにいくと、私の怒りにも動じない勇者の顔がめいっぱいの笑顔に変わった。
「へへっ悪い!!アリスと会えると思ったら嬉しくてついっ!!あっそうだ、これ、俺の母ちゃんからアリスちゃんへって」
そう言って手渡された袋には数種類の高価な回復薬草と、滅多に食べられない高級な乾燥干し肉が入っていた。私は勇者の親に恵んで貰う程落ちぶれてはいないんだが……。
「頼んでないのに……」
「まあまあそう言わないでさ!!うちの母ちゃんはアリスの事が大好きでさ、「お前なんかよりアリスちゃんが自分の息子だったらよかったのにっ」てよく言ってるの知ってるだろっ!!だからお前の事も自分の子供だと思っているんだよ」
「お前嫌われてるな……」
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